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人材育成のコツはコミュニケーション

「ハラスメント」という言葉が市民権を得るようになってから、
教育や人材育成など分野でも「叱る」より「褒める」という文化が加速してきています。しかし、単純に褒めておけば良いというものではないと思います。
私の実体験から、人材育成に関する考えをまとめてみました。


「上の言うことは絶対」という価値観

私は一時期、とある職人見習いとして修行していたことがあります。
職人のような縦社会に厳しい業界には、昔からこんな言葉があったそうです。

「親方が『カラスは白い』といったら、カラスは白くなる」

上の言うことは絶対。
昨今では到底、共感されない価値観です。
若い後継者を育てるためには、こうした昔の考え方はもう通用しません。

昭和世代の上司の苦悩

そうした価値観も、ここ数年でかなり改善されてきたと思いますが、私が先輩方を見ていて感じたことがあります。

それは、「部下への接し方が分かっていない」ということです。

いま、上の立場で働いている先輩方は、

・技術は見て盗むもの
・一人前になるまでは休んでる暇などない
・弟子や若い衆に平気で暴言を吐く
・怒られなくなったら終わり

という環境で育てられてきたので、それ以外の方法が分からないのです。

そのような中でも、コミュニケーションを取ろうと頑張っているのですが、どうも空回りしている人が多いように思えます。

褒めることに慣れていない

そして、何より私が一番問題だと感じたのが、「褒め方が下手」ということです。自分達が褒められた経験が少ないので、どうしたら良いか迷っているようでした。

そうした「褒めるのが下手」だと感じた人達に共通していたのが、以下の2点です。

褒めるのが下手な人の特徴

①誰かと比べて褒める
例えばAさんを褒める時に、
「Bは何回やってもミスするけど、Aは飲み込みが早いな」
「Cと違って器用だな」
と、その場にいない誰かを下げることで、その人を褒めようとします。

②褒めるだけでダメな部分を指摘しない
褒めはするのですが、嫌われることを恐れてかダメな部分は指摘しません。
しかし、思うところはあるため、本人がいない場で「Aは、ああいうところはダメだよね」と周囲に愚痴をこぼしてしまいます。

どちらのパターンにしても、その否定的な意見は必ず本人に伝わってしまいます。
そして、それを聞いた若い子達は「あの先輩の言うことは信用できない」と不信感を募らせてしまうのです。

一人の人間として向き合う

誰かと比べたり、ダメな部分を指摘しないということは、その人としっかりと向き合っていないのではないでしょうか。

心理学でいうところの「鏡の法則」です。

こちらが対等な立場で向き合おうとすれば、部下や後輩も忖度することなく向き合ってくれるはずです。

私自身、いままで多くの人と仕事をしてきて、お叱りを受けることも多々ありました。
その時の受け止め方として、素直に意見を聞き入れることができたのは、日頃から密にコミュニケーションを取っていた方が大半です。

ただ仲が良いだけでなく、自分に厳しいことを言ってくれる人ほど信頼できます。

「言いにくいことをびしっと言ってくれる人ほど大切にすべき」です。

日頃から信頼関係を築いていく

パワハラやセクハラも、受け手の気持ち次第です。
日頃からしっかりと信頼関係を築いていれば、よほどのことでない限り、相手を傷つけることはないはずです。
逆に、信頼関係を築けていない人には、細心の注意が必要です。

部下や後輩が、褒めるだけで成長してくれれば、それは結構なことですが、世の中そんなに甘いことばかりではありません。時には厳しいことを伝えないといけない場面もあります。
そうした時にお互いが対等に向き合えるよう、日頃のコミュニケーションを大切にしていきたいものです。

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