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架空の日記

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実際に起こっていない出来事を無理矢理日記にする
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架空の日記6「飲み会」

架空の日記6「飲み会」

気乗りのしない飲み会に行ってみることにした。タロットカードはソードのエースだった。何かが始まる。だけど良い予感はしなかった。村上龍の短編みたいな、空虚な、意味のない、無味乾燥な時間が流れた。人がいるのにいないみたい。気分が悪いから、何度も何度もトイレに行った。やけに馴れ馴れしい張り紙の文章を覚えた。会話の内容は忘れた。どうしてここにいるんだろう。いつもよりたくさんお酒を飲んだのに、ちっとも酔っ払え

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架空の日記5「散歩」

架空の日記5「散歩」

散歩中、考えてみた。なぜに散歩をしているのか。歩きたいから散歩をしているのか、散歩をしたいから歩いているのか。分からなかったので、もう少しだけ歩いてみることにした。歩いてみても、分からなかった。分からないということだけが分かった。とりあえず一旦家に帰ろうか。しかし、すでに相当遠くまで来ていて帰る道すらよく分からなくなっていた。陽が落ちて辺りが暗くなってきた。だんだん悲しくなってきた。何も分からない

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架空の日記4「池」

架空の日記4「池」

すいすいと池を泳ぐ夢を見た。池の中はきらきらで、息ができて、池から出ると何故か息ができなくなったので目が覚めた。朝の光が強すぎるくらいに差していた。キンキンの冬の空気はとっくによわよわの湿気を含んだ春のにおいに変わっていた。毎年びっくりするけどそれはそうだよなと思った。机の上に昨日書いていた日記が開いたままになっていた。寝て起きたら全く違う気分になっていて、昨日の自分に全く共感できなかった。パンを

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架空の日記3「パン」

架空の日記3「パン」

起きた時、頭の中にメロディがあった。口ずさんでみた。存在するのかしないのか、いいのか悪いのか判断がつかなかった。お腹が空いていた。何が食べたいか分からなかった。昔から一つの食べ物にハマってやめられなくなる時がある。梅干し、ドーナツ、おせんべい。コンビニのチョコが入ったパンにハマってしまった。週7で買っている。飽きるまで食べないと気が済まないので2個買った。基本無心で食べている。歩きながら食べて帰っ

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架空の日記2「師匠」

架空の日記2「師匠」

知らない間に眠ってしまったようだった。寝る前に見ていた映画の夢を見た。飲みかけのオレンジジュースを朝ごはんの代わりにした。ぼんやり外を眺めていると、不思議な鳥が一羽いた。全体的に青っぽいグレーで頭のとこだけふわふわしていた。話しかけようと窓を開けるとどこかへ飛んでいってしまった。竹トンボを作る専門の師匠とお茶をした。竹トンボには大して興味がないけれど、師匠はいつも大事なことを教えてくれてる気がして

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架空の日記1「雛人形」

架空の日記1「雛人形」

朝5:05に目が覚めた。早起きしたら必ずやかんにお湯を沸かすことにしている。沸かしたお湯は、飲んだり飲まなかったりする。そういえば、雛人形をしまうのを忘れていた。しまったら、殺風景になったのでやっぱり飾っておくことにした。なんとなく、おだいりさまとおひなさまを入れ替えてみた。気持ちよかった。ついでと言ってはなんだけど五人囃子を三人囃子に変えてみた。音圧が足りなくなった。やけに電車が混んでいて、マッ

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