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架空の日記5「散歩」

散歩中、考えてみた。なぜに散歩をしているのか。歩きたいから散歩をしているのか、散歩をしたいから歩いているのか。分からなかったので、もう少しだけ歩いてみることにした。歩いてみても、分からなかった。分からないということだけが分かった。とりあえず一旦家に帰ろうか。しかし、すでに相当遠くまで来ていて帰る道すらよく分からなくなっていた。陽が落ちて辺りが暗くなってきた。だんだん悲しくなってきた。何も分からないじゃないか。もういやだ。全てが分かるようになりたい。ただ一つだけ、何も分からないという事だけが分かっていて、それはそれで素晴らしいことのように思えてきた。分からないことが分からないということほど恐ろしいことはないのだから。分からないことが分かった。最高だ。散歩してよかった。