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歌に必要なのは「感情」だ


チャプター1:最近の音楽はつまらない?

最近の音楽は、10年20年前の音楽と比べて、体感面白くない、聴いていてつまらないと感じる。それに、やけにリアルな声の合成音声なのになんか違う、と感じることもある(特にSynthesizer V製品!)。音楽番組も見なくなってしまった。その理由って何かな、と思った時、ふと考えついたのは「歌手の演技力不足」ではないかということだ。

歌とは声で音を出す以外にも、「言葉で感情を表現する」という役割がある。曲調に言葉が乗っかっているので、小説や朗読、語りなどの文章だけの表現方法よりも感情がわかりやすい。人間という生き物は、嬉しい時には笑い、悲しい時には涙を流す。それを曲調や歌詞で表現するのが歌手という人間の役目である。すなわち、歌手とは俳優や声優と同義なのだ。

だから、J-POP歌手も演歌歌手も歌い手もVOCALOIDも皆同じように、どれだけ音を正しく取っていても、どれだけ発音が良くても、声に感情がこもっていなければ歌とは言えない

SNSの発展により、素人が歌い手、Vtuber、ボカロP=音楽家として世に出るという事例が増えた。それに、アイドルも見た目重視で売り出している。だからこそ、あまり音をよくわかっていない人が目立っている…気がする。


チャプター2:合成音声における感情〜「メルト」の初音ミクの歌い方〜

合成音声の調声とは難しいものだ。命を持たない声に命を吹き込む必要がある。が、彼女たちが人間のように歌い、レコーディングをしているようなイメージを持てばやりやすいのではないか?

①天気予報が嘘をついた 土砂降りの雨が降る
鞄に入れたままの折り畳み傘 嬉しくない ため息をついた
②そんな時「しょうがないから入ってやる」なんて
隣にいる君が笑う 恋に落ちる音がした

ryo「メルト」二番より。表記揺れがあります。

人気ボカロ楽曲「メルト」の二番がわかりやすいだろう。まず①の部分。彼とのデート中、天気予報とは違い、土砂降りの雨が降ってしまった。(多分二人で雨宿りをしているのだろう)相合傘をしたいのに、自分では言えず、彼の言葉を待っていた…と私は考えた。ここの主人公の心情は「嬉しくない ため息をついた」の部分=悲しい、残念である。だから、この部分でミクは「悲しい」という気持ちを声から感じられるように歌っている。
そして②の部分。彼が笑いながら相合傘にOKを出した。それを見た主人公の彼への気持ちがさらに増していく。残念、悲しいと思っていたところに、彼の行動があって、その気持ちは消え、代わりに更なる恋心に変わっていく。この部分でミクは「嬉しさ、恋心」を声に乗せて歌っている。

このように同じ曲の中での些細な感情の移り変わりも声に乗せていかないとあまり魅力的な歌とは言えない。

しかし、曲によってはあえて機械的に歌うのもありだろう。皮肉を込めたもの、意味不明なもの…など。でも活用する場が結構少ないと思う。


私は日常の、ふと歌を口ずさむ時も、無意識に感情を乗せるようになった。別にプロの歌手になりたいわけでもないのに、癖になってしまったようだ。

「歌に感情を入れないといけないのは普通だろ」と思う方もいるかもしれないが、それをいちいち考えなくてはいけないくらい最近の音楽はめんどくさくなったと感じるから、私はこの記事を書いた。

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