見出し画像

「昇格しました」

といっても、自然現象である。
私は新卒で入社をして4年目、弊社は等級制だから
在籍年数に応じて自然に昇格しただけのこと。

「みんな出来ることなのだから、喜ぶなんて馬鹿馬鹿しい」

本当は嬉しいくせに
「昇格した!でも自然現象なの。もう4年目だから、みんなするんだよ。」
保険をかけながら家族にそう報告した。

本当は叫びたいくらい嬉しい。
自分を褒めてあげたい。
自分の成果や自分を褒めることに保険をかけ出したのは、何でだっけ。

中学3年の夏、夏休みの宿題で書いた読書感想文が市の優秀賞に選ばれた。
その知らせを担任から聞いた時、嬉しかった。興奮して机から身を乗り出したくらいには。
担任は半笑いで言った
「でも(県じゃなくて)市だぞ?」

ああ、これは喜ぶことじゃないんだ。
簡単なことで、誰でも出来るようなことは喜んではいけないんだ、恥ずかしい。
みんな出来ることなのだから、喜ぶなんて馬鹿馬鹿しい。

でも褒めて欲しい、認めて欲しい、承認欲求は消えない。
だから、私は保険をかけだした。
「でも、みんな出来るから」「私なんてまだまだ」
全部分かってるから、傷つけないで。
私を褒めて。認めて。

今の私が中学生に戻ることができるなら、
「市の優秀賞、すごく嬉しいです!」
と言いたいな。

戻ることはできないから、昇格した私を褒めよう。
自分の成果に保険をかけることをやめよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?