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喫茶店風ナポリタンの作り方、またはPOPで前向きな詩 [日記と短歌]23,1,9


励ましの呪文としてのナポリタン元気になるよナポリタン、ほら/夏野ネコ


以前、いわゆるカフェじゃない喫茶店でアルバイトをしていました。ホールも厨房もこなさねばならない小さな店で日々ナポリタンを作っていたので、喫茶店風ナポリタンの作り方については、まぁまぁ自信があります。手順はこんな感じです…

  • スパゲティは茹でおき。1.7ミリくらいのを指定時間より「1分多め」に茹でてザルにあげ、粗熱が取れたらサラダ油をまぶしておく。

  • 油を引いたフランパンでニンニクみじん切りを熱する。香りが出たら玉ねぎ、ピーマン、ソーセージ、あればマッシュルームを入れて炒める。塩胡椒適宜。終始弱火でゆっくり火を通し、火が通ったらフライパンから一旦上げる。

  • フライパンに、ケチャップ、バター、あればトマトピューレ、野菜ジュースとかあったらそれも適宜、あとウスターソース的なやつもちょいちょい入れて、ケチャップよか少し高い粘度になるまで火を通す。

  • 茹で置き麺を投入し強火で焼くように炒める。あっつくなったら具を戻してひとまぜ、で完成。おいしい。

喫茶店ナポリタンって、そもそもケチャップというアメリカンな調味料をたくさん使いつつ、軽食を供するお店で、短時間で出されるメニューなんですよね。だからどこか、日本の高度成長時代にアメリカナイズされた消費社会の文脈が、ナポリタンの背景には見え隠れしている。

なればこそ、作り方も味付けもイージーなナポリタンに、でも惹かれてしまう心性に興味があるのですよね。
経済成長期における大量消費そのものをアートにしたPOPカルチャーは、ハイカルチャーに対するカウンターでもありましたが、一方で同じ消費社会を背景にもつナポリタンが、ハイカルチャーとの対立をかわしつつ独自の文化文脈を今でも持っているのは素晴らしい、と。POPアートの一枚上のレイヤーで愛されているな、と、お昼のナポリタンを作りながら思いました。

問答無用に元気が出るメニュー、という点でもナポリタンは素晴らしい食べ物だと思いますし、ナポリタンを愛するのは(そして作って食べるのは)すでに実践的な詩なんじゃないか、とさえ思ってしまう今日この頃です。

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