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だからわたしは、海外に行く。

わたしが海外に行く理由は、すごくネガティヴだ。

今まで周りの友人や知人に「どうしてそんなに海外に行くの?」と聞かれたら、「世界遺産が好きだから」「非日常感を味わいたいから」みたいなことを答えていた。もちろん、それも間違いじゃない。世界遺産や絶景が好きだし、それを写真に収めたい。何よりわたしは、暇さえあれば電車の路線図や世界地図を指でなぞっているような人間だ。地球の裏側だって、自分の足で行ってみたい。だからそういうことも、海外に行く理由のひとつであることは間違いない。

海外に行くようになって、またひとつ思ったことがある。それは、日本人がいないところに行きたい、ということだ。
今の時代、世界中のどこにでも日本人はいるだろうから、難しい話ではあるけれど、それでも、日本人とすれ違うことがほとんどないような場所に行きたいのだ。

でもそれじゃあまるで、わたしが、日本人のことが嫌いみたいに聞こえてしまう。そうじゃない、わたしは日本も、日本人も好きだ。
じゃあなんでだろう、と考えたとき、答えはすぐに見つかった。

人と比べたくないからだ。

わたしは自分の容姿とか、性格とか、喋り方とか、とにかく色んなところにそれはもう富士山を上回るような大きな大きなたくさんのコンプレックスを抱えている。
日本にいて、日本人と時間を過ごすとき、わたしは人と比べることをやめられない。ああ、この子、わたしなんかよりすごくかわいい。目がぱっちりしてて、顔も小さいし、笑顔がかわいくて、足も細くて、お喋りも上手。それに比べてわたしは、なんてみっともなくて滑稽なんだろう、と。

海外に行ったときだけは、そんなことを考えないで済む。周りの景色や目新しいものに興味を惹かれてそんなことを考えている暇はなくなるし、なによりわたしのコンプレックスなんて、本当に何でもなくなるから。

わたしは自分の容姿や体型で服を選ぶから、着たい服も着れない。でも外国人はそうじゃない。みんな、自分の好きな服を着ている。人と違うことを、自分らしさだと捉えて幸せそうに笑う。
多くの日本人は、自分の写真をたくさん撮りたがる外国人をみて恥ずかしいと言うけれど、それだけ自分自身を愛せたら、どれだけ幸せだろう。

海外に行くと、すべてがボーダーレスになるんだ。人と比べることのくだらなさ、自分のコンプレックスを個性と捉えることの大切さを教えてくれる。

まあ、簡単にまとめるなら、現実逃避なわけで。海外に逃げるより、日本にいて自分と向き合えばいいのに、とか、もっと自分磨きに勤しめばいいのに、とか、そんな声が聞こえてくる気もするけれど。
日本にいるときのわたしのネガティヴ思考は本当に類を見ないものだと思うし(例えば、わたしはデパートの化粧品売り場にいけない。あんなキラキラして自分に自信がある人しかいない空間に、わたしなんかの居場所はないと思ってしまうから)、自分磨きをしたところで根本的なところは変えられないような気がする。

こうして時々、海外に行くことを繰り返すことで、ボーダーレスで周りを気にしない生き方を知ることができたのだから、少しずつでもその生き方を身につけることもできるかもしれないと思うのだ。

だからわたしは、海外に行く。
自分を愛し、わたしがわたしらしく生きていけるように。

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世界はそれを愛と呼ぶんだぜ