27歳、夏の初恋?
最近は夏だというのに、図書館やカフェにこもって勉強をしている。
花火とか、海とか、もっと色とりどりのイベントがあるけれど、今のわたしにはそれと同じくらい、勉強が楽しいからそれでいいんだ。
午後からは彼も合流して、図書館で勉強。
デートとか待ち合わせをするときって、彼氏・彼女がどんな服装でくるか、わくわくする人は多いと思う。
でもわたしの彼はあまりおしゃれに関心がない人で、わたしは彼のワードローブすべてを把握しているから『どんな服を着てくるのかな』なんて思ったこともなくて。
だから今日も期待はゼロだったし、むしろそんなこと思いもしていなかった。
なのに、ねえ、どうしたの。
今日の服、かっこよすぎるよ…。
わたし好みの細身で、顔が小さくて目鼻立ちがくっきり整っている彼は、ちゃんとおしゃれをすれば、ちゃんと…、どころか、とてもかっこいい。
開いた口が塞がらなくて、目も離せなくて、でもそのうちかっこよすぎて恥ずかしくなって目をそらして、でも気になってチラチラみてしまう。
どきどきして、触れたいと思って手を繋いだけど、照れてしまってすぐに離した。
そんな状態だから、言うまでもなく、勉強が手につくわけがなかったのです、今日は。
まさかまさか、隣りに座る彼がかっこよすぎて勉強が手につかないなんて、そんな中学生の初恋みたいなこと、あるはずないと思っていたのに。
彼はこのあとインド人との飲み会?に行くと言って、楽しそうに出かけていった。
インド人と会うからはりきっておしゃれをしたの?よくわからないけど。彼は本当にインドが好きだなあ。
もしそうだとしたらインド人様々だし、わたしは彼にとってインドより下なのかと思ってしまうし、できるなら今度はわたしと会うためにおしゃれしてください。
あ、でもやっぱりかっこよすぎてどうしていいかわからなくなるからやめてほしいかも…。
いやでも本当にかっこよかったからまた見たい…でもでも…。
今日の彼の姿をまぶたの裏に描いて、ああでもないこうでもないと思いながら帰り道を歩く。
ふと夜空を見上げると、満月なのかな。とても綺麗な月。
インド人と楽しく過ごしているであろう彼に、LINEを送った。
「月がまんまるで綺麗だから、見てね。」
世界はそれを愛と呼ぶんだぜ