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あの頃のわたしが憧れていたもの

地下にひそむ秘密の温室
20歳のわたし
パルテノン神殿
雲の上を歩くこと
知らない誰かがわたしを迎えにくること
木の上につくる秘密基地
わがままなお姫様
普通の女の子
運命を変えるような恋
そしてその恋を失ってしまうこと

海の中で歌を歌うこと
真っ赤な口紅
世界中にわたしだけになってしまうこと
異国の寝台列車
自分を映さない鏡
開かない扉の向こう
運命に選ばれること
灯台守
傘で空を飛ぶこと
タイムスリップ

憧れは憧れのまま、とても叶いそうにないことばかりで。ただ言葉にすることしかできないけれど、それであの頃のわたしを肯定することができるのなら。

今のわたしはね、あの頃とは変わっていて、憧れと現実の区別がつくようになったよ。
そのかわり、少し手を伸ばせば届くかもしれない光を、見つけたよ。

世界はそれを愛と呼ぶんだぜ