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小樽の海獣とオーストリア人
ご婦人が六花亭のシュークリームをくださった。皮がパリッとしたりサクッとしたり、クリームがとろとろしたりする最近のおしゃれなシュークリームではなく、皮がふにゃっとしていて、カスタードが固い懐かしいシュークリーム。
シュークリーム自体久しぶりに食べたけど、ふにゃっとしたやつはもっと久しぶりに食べた。おしゃれシュークリームもおいしいけど、こちらの方が落ち着く。シュークリーム。
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「ニシン漁最盛期は海が盛り上がるほどのニシンの群れが小樽に来た」と博物館に書いてあったと昨夜ご婦人に話したら、「近くの海では海が盛り上がるほどのイワシの群れが見られる」らしく、一緒に見に行く。
残念ながらイワシは数日前からいなくなってしまったようで、死んだイワシが数匹海面に漂っているばかり。ご婦人は「見せたかったのに!」と悔しそうにしていて、お気持ちがうれしい。
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電車で小樽へ向かう。やはりドアがたくさん。改札前の空間は暖房がきいていて暖かく、北海道出身者が「東京の方が寒い」と言う意味が少しわかった。北海道は寒さ対策が万全。
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小樽駅のホームにあった看板を見て、チーズケーキのルタオが小樽の逆さ読みであったことを知る。わたしだったら「ノマア」か「ミツナ」か。ノマアは愚鈍そう。
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おたる水族館のペンギンショーはペンギンがまるで言うことを聞かないらしいと聞き、俄然興味が湧いたので行ってみる。水族館の奥には海獣公園があり、自然に近い形でアザラシやトドが飼育されている。
ペンギンショーは本当にペンギンがお兄さんの指示を無視する。ゆらゆらの橋は渡らないし、滑り台には見向きもしない。
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ハードルもジャンプしたけど、2つ目のハードルにはひっかかるし、3つ目のハードルは上に乗ってしまい、ショーが終わる頃にはぐちゃぐちゃ。
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ペンギンは餌にしか興味がなく、人間に媚びることはしない。非常に良いショーだった。
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トドのショーは最前列で見ることができ、近さとでかさ、バキバキの目に少し引いてしまった。
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海獣公園ではアザラシにエサをあげることができ、アザラシたちがエサのバケツを持った人の近くにわらわら寄ってくる。
しばらく眺めていたが、寒さに耐えきれず室内に戻る。防寒対策をしっかりするか、気候の良い時期に行けばめちゃくちゃ楽しいと思う。
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室内の展示で30分くらいウミガメを眺め続ける。右手を失ったところを保護されたウミガメの太郎。
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太郎は水槽の隅で微動だにしない。しげしげ見ると、模様はマジックで塗ったみたいな色。太郎は人間に保護されて生きながらえたけど、太郎にとってそれは良いことだったのだろうか。
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イルカショーも見る。アドベンチャーワールドのイルカショーに辟易してしまったので楽しめるか心配だったが、おたる水族館はシンプルにイルカの身体能力を見せるショーで、余計な味付けがないのがよかった。時間も30分足らずと短くて良い。
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江戸時代、石狩川河口付近に住む人はチョウザメを鮭の豊漁をもたらす存在として「鮫様」と呼んでいたらしい。でもチョウザメは鮫ではないらしい。むずかしい。
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夜はご婦人の姪とオーストリア人が来た。オーストリア人はめちゃくちゃたくさんしゃべる。
オーストリアで有名な食べ物はシュニッツェルで、彼の地元のシュニッツェルは子牛を使うそう。パン粉にこだわりがあるようで、「日本のパン粉は違う」としきりにパン粉の大切さを説いていた。パン粉にハード系のパンを使うのが大切らしい。
シュニッツェルの類似品としてとんかつはどうかと聞いたが、だめらしい。シュニッツェルは肉を叩いて薄くするのがポイントで、とんかつは分厚すぎる。そしてソースをつけるのが信じられない様子だった。シュニッツェルはノーソースだそう。
シュニッツェルについて熱く語っているのが面白かった。日本人が外国でクレイジーな寿司を見て「これは寿司と違う!」と荒ぶるような感じだろうか。
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オーストリアでは安いワインをソーダで割って飲むそうで、それをWaxなんちゃらと言うらしい。わたしが飲んでいた小樽の白ワインは甘口なので、ソーダで割るのはおいしそう。
ウォッカのソーダ割は「スキニービッチ」と呼ばれていて、カロリーがないからいくら飲んでも太らないことが語源だと言っていたが、含みがあったので別の意味もありそう。
オーストリアにも温泉があるけれど、水着を着て男女一緒に入る。一方日本の温泉は男女別で裸で入るから、ティーンの男女が一緒に温泉に行って男湯と女湯に別れ、「壁の向こうに裸のあの子がいる」と想像するのは男女共にドキドキするんじゃないか、的なことを言っていた。どの国の人も似たようなことを考える。人類皆同じ。
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