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〈読書記録〉宙わたる教室 藤竹先生が魅力的 最高の1冊


最初の章で、定時制高校で今にも学びをやめてしまいそうな生徒・岳人の内なる想いと才能を見出し、彼の弱点であったある障害を見抜き、それを補う方法を教え、科学への興味を誘う藤竹という教師にまず魅力を感じる。

藤竹の授業は、まるで理系ができない私にも興味を持たせてくれるものばかり。「みそ汁で積乱雲」「タバコで青空」「お酢のマグマ」こんな実験を見せられたら、科学を好きにならずにはいられない。

そして、ことあるごとに彼が話す「なんとか手を動かす大切さ」が刺さって仕方ない。どんな環境であろうと何歳であろうとやってみないと始まらないのだ。この言葉は厳しくも温かい。

様々な事情を抱えた生徒たちが苦境を乗り越え科学にのめりこむ姿に胸が熱くなる。研究にかぎらず、良いものは良いと評価される世界はやっぱり美しい。

この物語、様々な科学系の話が出てくるのだが、中でも「オポチュニティの轍」の話は、なぜだろう泣ける。登場人物と一緒になって心熱くなる。

そして、あとがきを読んでさらに感動。ああ。いい本に出会えた。

PS.本屋大賞にノミネートされてほしかった1冊


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