見出し画像

スイカバー発明秘話(想像100%)

7月14日。夏だ。

今日は実家に帰っていた。
母は昔からスイカが好きで、「夏はスイカを食べると元気になる」と言い、台所に立ったままシンクに身を乗り出し、果汁を滴らせながら1/8カットを1人でジャクジャクと食べ尽くす。

「あんたも食べたら?」と、食べかけのスイカを渡された。

私は小さい頃から、別にスイカが好きではない。
ほんのり瓜臭さのある、あのぼんやりした淡い甘さを特別おいしいとは思わない。

でも、母がスイカをあまりにおいしそうに食べるので、「夏の風物詩としてちょっと楽しんでおくか」という気持ちになった。

ジャクジャクとスイカに歯を立てて、「スイカってやっぱりこういう味だよな〜これをおいしいと思えたらもっと夏を楽しめそうなんだけど」と、夏好き人間としてすこし残念に思う。

タネを噛まないように気をつけていたのに、果肉の間にひそんでいたタネに気付かず、ついジャリッと砕いてしまった。

スイカを好きじゃない理由は、タネに気をつけてぺっぺと吐きながらわざわざ食べ進める気力労力に、おいしさがつり合っていないと思うから。

スイカのタネがいっそのこととても固くて、歯で噛んだくらいでは割れなければ、タネを集約して出すのも楽だろう。でも実際、気をつけてゆっくりゆっくり慎重に果肉を噛み締めても、ジャリッという音とともに口の中でバラバラになる。それが腹立たしい。

一口かじっただけでスイカを母に返し、「あーあ、スイカのタネがチョコだったらな〜」と言い、ハッとした。

スイカバーを発明した人は、「スイカのタネがチョコだったらいいのにな〜」と思って、「じゃあ果肉部分はアイスにすればいいか」と、スイカバーを思いついたのか!

万人が感じている不満を、「言ってもしょうがないバカバカしいもの」として見過ごさず、前向きな発想に転換したことで、スイカバーというおいしい食べ物を提供し、さらには"スイカバーのある夏"というすばらしい青春までつくりだしたのではないか。

そう思うと、自分の不満やネガティブな感想をよくないものとして見ぬふりしてしまうより、一旦前向きに受け止めてあげることで、ポジティブな発明を起こせたりするのかも。

なんて勝手に想像し、なんの根拠もない教訓を得た1日だった。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?