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短編小説『ポテト』

私は、ファーストフードのポテトが好きだ。
ホクホクの方ではなく、カリカリの細いのが大好きである。
そして今日は、週に一度の私の楽しみである、公園ファーストフードランチの日である!
しかし、こういう日に限って嫌味な部長に午後の会議で使うからとコピーを頼まれ、昼休みが遅れた。
ようやくコピーが終わり、急いでランチに向かうといつものお店が案の定混んでいた。
しばらく並びようやく私の番になり、定番のセットを注文し、受付番号を呼ばれるのを待った。
当然この混み具合なら待つだろうなと、思っていると、案外早く呼ばれたなと商品を受け取り外に出て中身を確認しながら歩いていると、ポテトがないでは無いか。
また小さな苛立ちが募り、急いで店内に戻り説明したら、
「今、揚げているのでしばらくお待ちください。」
との事。まだ待たせるのかよ?と思いながらも仕方ないなど、更に待ち、ようやく念願のフライドポテトを手に入れ公園に向かいました。

やっと食べられると思い早速、長椅子に座りポテトを1つ咥えハンバーガーを取り出しながら幸せに浸っていると、私の横に1人の子供が座って来ました。

気にせず飲み物を飲み食事を進めようとポテトに手を伸ばすとその子供の手に触れてしまい、驚きました。
何だこの子は?私のポテトをつまみ食いしにきたのか?幸せを奪おうとしているのか?親は?と思考していると、その子は、そのままポテトをつまみ、何を思ったか笑顔で「どうぞ」と勧めてきたのだ。

私のものなのに、どういうメンタル?と混乱しながらも、まぁ子供のする事だし我慢しよう、大人の余裕だ。ポテト1つで怒ってどうする。
自分でも分かるくらいの取り繕った笑顔でありがとうと伝えポテトを食べる。

その子は、親らしき人に呼ばれたのか、「どういたしまして!」と笑顔で立ち去った。
親の元にたどり着きこちらを振り返り、笑顔で手を振るその子は、るんるんで立ち去った。

残りのポテトを手に、、、。

止められる程の思考回路は、その時の私にはなかった。
ただ残りのハンバーガーをやけ食いするしかできなかった。
フガフガと鼻息荒く食べ終わりくしゃくしゃにしたゴミを袋に入れようとしたところで、
違和感に気づいた。

おかしい、空の袋が何故か重い。
中には、奴がいた。
正真正銘の『私のポテト』が。
その時の私は、過去一頭脳がフル回転した、世の天才なんか目じゃないくらいの速度で回った。
そして、至った時に気づくのだ。
(大人の)私なんかより余程あの子供の方が余裕があったのだと。
自分が、日々の現実からどれだけ焦燥していたのか、と。

その日の内に、明日から有給休暇で休みます!と上司に伝え。その夜、実家に電話して、帰る!とだけ。
次に、昔からの親友に電話し、遊ぼう!と無理矢理アポを取って押しかけに行くのだった。





あとがき

ありがとうございました。
現代人は、なかなか自分の疲れに気付きません。
しかも日々トレーニングされて耐久力が上がるので余計に疲れます。
ここで問題なのは、上がるのが体力ではなく、忍耐力なのです。
つまり自分の回復力や現在のHPは、変わってないのにHPが減りにくくなってるだけです。
脳ミソが勘違いしているだけです。
いつか倒れます。
そこのあなた、しっかり休んでください。
さて、そんな私も最近多忙で辛いですが頑張って生きてます。
どこかで、ひと息ついて休んでくださいね!
リフレッシュしていきましょう!


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