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UXリサーチにおけるバイアスの種類を特定する|Identify types of bias in UX research

この記事では、バイアスが具体的にデザイン・ワークにどのように影響するかについて説明します。 以下の6種類のバイアスについて解説します。

バイアスの種類|Kinds of biases

  1. 確証バイアス|Confirmation bias

  2. 誤合意バイアス|False consensus bias

  3. 優先バイアス|Primacy bias

  4. 最新性バイアス|Recency bias

  5. 潜在的バイアス|Implicit bias

  6. サンクコスト・ファラシー|Sunk cost fallacy

バイアス|Bias

限られた情報をもとに何かを好んだり、または先入観/偏見を持ったりすることです。
Favoring or having prejudice against something based on limited information

それは、実際に知り合う前に相手のことを決めつけてしまうようなものです。 皆偏見を持っていますが、無意識に偏見を持っていることがよくあります。 偏見を完全に取り除くことはできませんが、偏見をもっと認識し、克服するために取り組むことはできます。 これはUX デザインでは、非常に重要です。 デザイナーはユーザーではないこと、デザインを決定する際に、ユーザーの立場に立つことがUXデザインでは大事なことですが、 偏見はこれを邪魔する可能性があります。

確証バイアス|Confirmation bias

自分の仮説を証明するための証拠を探し始めるときに発生します。
Occurs when you start looking for evidence to prove a hypothesis you have

注意すべき最初のバイアスは確証バイアスです。 このバイアスは、自分の仮説を証明するための証拠を探し始めるときに起こります。すでに答えを知った気でいるので、自分の信念や先入観を裏付ける情報に惹かれてしまいます。 左利きの人は右利きの人よりも創造的であるという先入観を持っているとします。 研究を進めていくと、この信念を裏付ける証拠に引き寄せられる傾向があり、必ずしも真実ではない場合でも、それを自分の主張の構築に利用することになります。

確証バイアスを克服するために|Overcoming confirmation bias

  • 自由回答形式の質問をする|Ask open-ended questions

  • 積極的に聞く|Actively listen

  • 大規模なユーザーのサンプルを含める|Include a large sample of users

リサーチを行っているとき、確証バイアスを克服するための最も効果的な方法の 1 つは、インタビューを行うときに自由形式の質問をすることです。 自由回答形式の質問では、インタビューを受ける人が「はい」か「いいえ」で答えるのではなく自由に答えることができます。 また、自分の意見を加えずに、積極的に聞く習慣を身につけたいです。インタビュー対象者をあなたが望んでいる答えに導かないようにすることです。 確証バイアスを回避するもう 1 つの方法は、大規模なユーザーのサンプルを含めることです。 自分の先入観に合う少数の人を探さないように気をつけましょう。 多様な視点を持つ多数のユーザーのサンプルが必要です。



誤合意バイアス|False consensus bias

自分のアイデアやデザインに同意する人の数を過大評価する。
Overestimate the number of people who will agree with our idea or design

誤合意バイアスを見てみましょう。これは、他の人も自分と同じように考えるだろうという思い込みです。 UXリサーチでは、自分たちのアイデアやデザインに同意する人の数を過大評価することで誤合意バイアスが発生します。 誤合意バイアスが広まり、自分の意見に同意しない人は異常者であるとみなす可能性があります。 自分の仮定を特定して明確にすることで、誤合意バイアスを避けることができます。たとえば、特定の政治的信念を共有するコミュニティに住んでいるとします。 新しい人に会うとき、あなたは同じ町に住んでいるために、その人もあなたの政治的信念を共有していると思うかもしれません。 しかし、それは必ずしも真実ではありません。 自分の信念に同調する少数の人々を見つけて、彼らがコミュニティ全体を代表していると考えるのは誤った合意です。 これも、大規模なグループを対象にリサーチを行うもう 1 つの理由です。

誤合意バイアスを克服するために|Overcoming false consensus bias

  • 自分自身の仮定を特定し、明確にする|Identify and articulate your own assumptions

  • 大人数を対象に調査を行う|Survey large groups of people


最新性バイアス|Recency bias

最後に聞いたことを思い出すのが最も簡単です
It's easiest to remember the last thing you heard

デザイナーに影響を与えるもう 1 つの種類のバイアスは、最新性バイアスです。 このとき、インタビュー、会話、または同様の環境で最後に聞いた内容が最新であるため、最も簡単に思い出すことができます。 誰かと話しているとき、会話の最後に共有した内容を覚えている可能性が高くなります。

最新性バイアスを克服するには、インタビューや会話ごとに詳細なメモや録音をします。 こうすることで、覚えていない場合に備えて、会話の初めに人が言ったことを見直すことができます。

優先バイアス|Primacy bias

最初の参加者のことを最も強く覚えています
Remember the first participant most strongly

UX デザイナーは、最初の参加者を最も強く覚えているという優先バイアスにも悩まされる場合があります。 新しい状況や新しい経験をしているため、最初に会った人が最も強い印象を残すことがあります。

最新性・優先バイアスを克服するために|Overcoming recency & primacy bias

  • 詳細なメモや録音を取る|Take detailed notes or recordings

  • 各参加者に同じ方法でインタビューする|Interview each participant in the same way

最新性バイアスと同様に、優先バイアスも、詳細なメモや録音を作成するもう 1 つの理由です。これにより、記憶に残る第一印象だけでなく、起こったことすべてを見直すことができます。 最新性バイアスと優先性バイアスはを克服するために、各参加者に同じ方法でインタビューすることも大事です。 一貫性により、時間の経過とともに比較や対比が容易になります。 一貫性があると、研究全体で起こった異常で重要な瞬間を覚えている可能性が高くなります。

暗黙・無意識バイアス|Implicit bias

私たちが意識的に知らないうちに人々に対して抱いている態度や固定観念の集まり
The collection of attitudes and stereotypes we associate to people without our conscious knowledge

次に取り上げるバイアスは、無意識のバイアスとしても知られる暗黙のバイアスです。 暗黙のバイアスとは、私たちが意識的に知らないうちに人々に対して抱いている態度や固定観念の集まりです。 UXにおける暗黙のバイアスの最も一般的なもの 1 つは、人種、年齢、性別、社会経済的地位、能力などの限られたアイデンティティ・プロファイル内の人々のみにインタビューする場合です。 これらのプロファイルは通常、特定のタイプの人々についての仮定に基づいています。 たとえば、暗黙の偏見により、自分とは人生経験が異なる人にインタビューすることに不快感を感じる可能性があります。

一方で、私たちは、通常は排除されているグループの人々にインタビューすることを選択するかもしれません。そして無意識な固定観念のせいで攻撃的な質問をする可能性があります。 これらのシナリオは両方とも問題があり、研究と設計のプロセスでの表現の欠如につながります。 暗黙のバイアスについて注意すべき最も重要なことは、暗黙のバイアスは誰もが持っているということです。 自分の偏見を克服するには、自分の行動を振り返り、人に暗黙の偏見を指摘してもらうことができます。 それは私たちが自分の偏見に気づくための最良の方法の 1 つです。

暗黙のバイアスを克服するために|Overcoming implicit bias

  • 自分の行動を振り返る|Reflect on our behaviors

  • 人に自分の暗黙の偏見を指摘してもらう|Ask others to point out our implicit biases

サンクコスト・ファラシー|Sunk cost fallacy

投資したプロジェクトに深く入り込むほど、方向転換が難しくなる
The deeper we get into a project we've invested in, the harder it is to change course

最後のバイアスは、サンクコスト・ファラシーです。 これは、プロジェクトに時間やエネルギーをかければかけるほど、失敗したり時間を無駄にしたと感じづらくなり、方向転換するのが難しくなるという考えです。サンクコストという言葉は、プロジェクトや活動にすでに費やした時間を指します。 たとえば、もうすでにこのつまらない映画を 1 時間も観てしまったので、このまま見続けてもいいかと思うかもしれません。 UX デザイナーの場合、デザインに取り組むときにサンクコスト・ファラシーが影響します。 新しい機能の設計に何時間も費やしたものの、その機能が実際にはユーザーの問題に対処していないことがわかったかもしれません。 時間をかけて取り組んだデザインに取り組み続けるのは簡単です。 しかし最終的には、ユーザーにプラスの影響を与える仕事に集中する必要があります。

サンクコスト・ファラシーを克服するために|Overcoming sunk cost fallacy

  • プロジェクトをより小さなフェーズに分割する|Break down your project into smaller phases

  • 継続するかどうかを決定するポイントを概説する|Outline points where you can decide whether to continue or stop

サンクコスト・ファラシーを回避するには、プロジェクトを小さなフェーズに分割し、続行するか停止するかを決定するための指定ポイントの概要をはっきりさせておきます。 これにより、プロジェクトが進みすぎる前に、新しい洞察に基づいて戻ることができます。

ここまで、ユーザー・リサーチにおけるバイアスの最も一般的なものについて解説してきました。 ここでは取り上げていないバイアスは他にまあります。 バイアスは、UX デザインやユーザー・リサーチの分野をはるかに超えて広がる制限です。 それらは、私たちが友達を作ったり、仕事でプロジェクトを管理したり、家族とコミュニケーションしたりする方法に忍び込む可能性があります。 バイアスを特定することが習慣になればなるほど、デザイン・プロセスでバイアスを回避することがうまくなります。

今回英語の単語を日本語に直しながら書いていますが、日本語訳が適切ではないものもあると思います。日本語訳は英語の単語の理解のため程度に捉えていただけると嬉しいです。私としては、すでにある英語の単語を日本語訳することで、たくさんの用語が出来上がるのは良くないと考えています。英語のまま理解して、覚えられたらいいかなと思います。

下記に参考になる記事を載せておきます。ぜひみてみてください。


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