曇天【詩】
15年の間机の上に棲んでいる。
粘土でよく練られていて、型取られて身勝手に生き物にされた。
ネームプレートがワイヤーで縫い付けられてある。
ペットにしては残酷だ。
家畜にしては大人しい。
題名:月の魚
〜〜〜〜
目の中は真っ黒な空洞。
どこまでも吸い込まれてしまうような。
ブラックホール。
鱗はない。
深い藍色で塗られている。
ニスの生臭さはもうなくなってしまっている。
干物。
腹面はぺったんこ。
卵を蓄えることもできそうにない。
〜〜〜〜
生殖原理を知る由もない頃。
当たり前だった。
そんな概念すら生じ得ない。
こいつはきっと月の魚なのだ。
雨がどこから降ってきているか知っているか。
固められた理論。
観測されている現象は実際か。
魚は月から降ってきたのだ。
築き上げてきた人間の考えは及ばない。
月の魚は地球に住み続ける。
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