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【詩】「春」


街のざわめきが大きくなっていくのを感じるたびに
春が来るのに気付かされた

いつまでも終わらない季節だと意味なく思ってしまう心
どこまで過ごしてもこの咳が止らないままで
僕はもうそれに馴れきって毎日を描いてる
こんな僕を心配そうな顔と困惑顔で見つめる人たちがいる

やさしい笑顔の作り方を知らないままに
ずっと張り付いたこのちょっと変わった笑顔の方で
どこか救われているようなアンバランスな日々
そう諦めもしないままに認めてしまっているよ

どこかで雪融け水は流れて
いつかは誰かの心を潤してくれるだろう
それでもそれは僕のことじゃないと悟ってはみても

きっと春は来てしまうだろう
そして春は去ってしまうだろう
この僕に何にも残さずに

哀しい気持ちの癒し方を気付かぬままで
ずっと凍っていくだけのこの感情の氷山を抱きしめ
いつも泣きそうになっている崩れかけた日々
そう改めもしないままに放ってしまっているよ

どこかで春待草は花を咲かせ
いつかは誰かの明日を華やがせてくれるだろう
それでもそれは僕のことじゃないと分かってはみても

きっと春は来るだろう
そして春は去るだろう
この僕に何にも教えずに

灼熱と極寒に挟まれたほんの短い季節
それに憧れて僕は手を伸ばす
その繰り返しで僕はずっと年を重ねていくだろう

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