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一期学舎をはじめます その2
の続きです。
前回は、内発的動機づけを引き出すアプローチとして自己マスタリーを軸にしたい、というところで力尽きました……。
自己マスタリーとは少年漫画のアレ
さて、自己マスタリー。ぱっと聞いてぱっとイメージ湧きませんよね。
マスタリー(mastery)は、熟達という意味で
自己マスタリーとは
自分自身の熟達
自分自身をマスターしていくこと
かなと思っています。言い換えると
自分自身に本来備わっている力を解放するために
自分自身を深く知り、取り扱い方法を極めていくこと
でしょうか。
少年漫画によくあるパターンで
主人公が勝負に勝つためにトレーニングして筋肉をつけたり装備を充実させたり新しい技を覚えたりするんだけど
そういう自分になかった物を身につけるようなやり方ではマスタークラスの強敵には全く歯が立たず、極限まで追い込まれ、ギリギリのところで
自分の内側に元々備わっていた力を解放する
だけど最初はその力を制御できなくて暴走して
試行錯誤の結果、その力の本質を知り、自分のものにする
例のアレです。
ドラゴンボールだと悟空とスーパーサイヤ人との関係
ナルトだとナルトと九尾との関係
鬼滅の刃だと炭治郎とヒノカミ神楽との関係
などなど。
この自己マスタリーの修行に必要な要素として『学習する組織 システム思考で未来を創造する』
で真っ先に出てくるのが……ビジョン
たいていの大人は本当の意味でのビジョンを理解していない
え!?
ビジョン!?
……って夢や目標のことじゃないの?
それなら前回アドラー心理学に滅多斬りにされたやーん!
となる前に一呼吸。水の呼吸、拾壱ノ型「凪」。
たいていの大人は本当の意味でのビジョンを理解していない。ゴールや目標はあるが、それはビジョンではない。 *203頁
ビジョンはゴールや目標ではない!って言い切ってる!
結局、ビジョンは内発的なものであり相対的なものではない。他人と比べて相対的にどうにかなれるからではなく、その内在する価値ゆえに望むものである。 *205頁
「内発的なもの」だとも!
そして、ここからが新展開。自己マスタリーとは
人が心からめざしたいもの、すなわちビジョンに絶えず焦点を当てたり、新たに焦点を当て直したりするプロセスなのだ。 *206頁
とあり、ビジョンは新たに焦点を当て直したりして変化するものとして設定されています。
夢や目標って割と固定的なイメージありません?
一度決めたらそう簡単には変えられない、達成するまで諦めない。
NPOなんかだとビジョン・ミッションは活動の柱。ぐらぐらしてもらったら困る。
でも自己マスタリーで扱うビジョンは、動的であることを許容されている。そう思うと少し楽になるのは私だけでしょうか。
それをさらに裏付けるのが、自己マスタリーの修行に必要な要素として挙げられているのがビジョンだけではなく
ビジョンと今の現実
そしてその乖離「創造的緊張(クリエイティブ・テンション)」
という3つで
その3つの相互作用の中でマスタリー=熟達していくのが自己マスタリーだと書いてある(ような気がする)からです。
この一連の自己マスタリーのプロセスが「内発的動機づけ」のプロセスになりうるのではないか。
さらに、自己マスタリー以外の残り4つのディシプリンが内発的動機づけの補完的役割を果たすと考えられます。
学習する組織の5つのディシプリン
ディシプリンとは「実践するために勉強し、習得しなければならない理論と手法の体型」(45頁)。
学習する組織の実践には、自己マスタリー、メンタルモデル、共有ビジョン、チーム学習、そしてシステム思考の5つのディシプリンの相互作用が必要。
自己マスタリーとの関係でいうと、ビジョンと今の現実をどう捉えるかの大元になっている内面の世界観がメンタル・モデルであり、このメンタル・モデルに働きかけることでビジョンと今の現実をどう捉えるかが変化していきます。
共有ビジョンは、組織の一員として活動するときに「個人のビジョンを共有ビジジョンにつなげるためのディシプリン」(43頁)。
そして、自己マスタリーに取り組む個人同士の1+1の足し算を2以上にするのがチーム学習。ここではダイアログが鍵を握ってます。
それは、チームのメンバーが、前提を保留して本当の意味で「共に考える」能力である。ギリシャ人にとって、「ディアロゴス〔dia-logos〕」は、「個人では得ることのできない洞察をグループとして発見することを可能にするような、グループ全体に自由に広がる意味の流れ」を意味した。 *44頁
ダイアログは、より一般的な言葉である「ディスカッション」とは異なる。「ディスカッション」は「叩打(パーカッション)」や「衝撃(コンカッション)」を語源としていて、文字どおり、勝者が全てを得る競争の中で考えを互いにぶつけ合うことである *44頁
システム思考は、現象を様々な要素のつながり、システムとして全体像を把握し、アプローチする第五のディシプリンで、「すべてのディシプリンを統合し、融合させて一貫性のある理論と実践の体系をつくるディシプリンでもある」(47頁)。
システム思考は、学習する組織の最もとらえにくい側面ーー個人が自分自身と自分の世界をとらえる新しい方法ーーを理解できるようにするものである。学習する組織の核心にあるのは、認識の変容である。自分自身が世界から切り離されているとする見方から、つながっているとする見方へ、問題は「外側の」誰かが何かが引き起こすものだと考えることから、いかに私たち自身の行動が自分の直面する問題を生み出しているのかに目を向けることへの変容だ。学習する組織は、「いかに私たちの行動が私たちの現実を生み出すか、そして私たちはいかにそれを変えられるか」ということを人々が継続的に発見し続ける道である。アルキメデスが「われに支点を与えよ。さらば片手で世界を動かさん」と言ったように。 *48-49頁
…というわけで
自己マスタリーを始めとする学習する組織の5つのディシプリンが「内発的動機づけ」を引き出す手法として最適
という仮説にたどり着きました!長い道のりだった…。
自己マスタリーを始めとする学習する組織の5つのディプリンを自主学習支援事業に取り入れることにします!
一期学舎の名の由来
最後に自主学習支援事業の名前「一期学舎」の由来について。
一期一会の一期には「一生に一度しかないようなこと」だけではなく「生まれてから死ぬまで。一生。一生涯」という意味もあり
「一期学舎」は生涯学習の学び舎(まなびや)ってことになります。
割とフツー(笑。
生涯学習って昔から使われてきた言葉だけど
Volatility(変動性)
Uncertainty(不確実性)
Complexity(複雑性)
Ambiguity(不透明性)
の頭文字をつなげた VUCA の時代と言われる今こそ、生涯に渡る学習をみんな必要としているんじゃないかと。
『学習する組織 システム思考で未来を創造する』の中にも
ディシプリンを実践することは、一生涯学習者になることだ。目的地に到達することは決してない。生涯をかけてディシプリンを習得するのである。 *45頁
とあります。
なので、中学生から高校生、大学生、社会人もぜひ!
あと、「一期」の部分は1と5と数字として読んで「15」、15歳を意識しています。やっぱり中学生大事。
15歳は義務教育を終える年齢。子どもと大人の狭間で思い悩む時期。自分の世代だと「15の夜」なんて曲もありました。
今の自分が15歳の自分に知っておいて欲しかったこと、自分の娘たちが15歳になる頃に話したいこと、そんなことを意識してみようかと。
あっ、タイトル画像の苺は関係ありません。あしからず。
コロナの渦中にあって
それにしても、VUCA の時代と心構えはしていたつもりだったけど、まさかこうなるとは……
医療福祉の現場に立たれている方々には感謝しかありません。
自分がやろうとしていることは、休校で学習ペースが乱れている子どもたちの学習支援にもつながることだし、with コロナ、after コロナの生き方を模索する大人にも貢献できると思っているので
暗中模索して一歩一歩、あるいは一歩進んで二歩下がる場面もあるかもしれませんが、ビジョンと今の現実、そしてその乖離「創造的緊張(クリエイティブ・テンション)」を感じながら進んでいきたいと思います。応援していただけると嬉しいです。
バーカウンターで「あちらのお客様からです」ってあこがれます。