こんな風に

また詩を書いてみようかな。詩を捨てる場所があるから、だから安心する。安心して言葉を動かせる。駒みたいに。(マトモな)文章を書かないでいることと詩を書くことは似ていて。なにも書かないように書くことができたら上出来だ。それを詩と呼んでいいだろう。なにかを書こうとする人って、きっと詩人にはなれないんだよ。なにかをしようとする人って、阿呆にはなれないんだ。生き方を知らない人だけが自分になれる。

自由。自由について考えてみる。自由な言葉は、僕たちのすぐそばにある。見つけてやるのか、拾ってやるのか、自由は勇気が要って、不格好で難しい。砂浜に落ちてる欠けた貝を拾うようなものかな。大人になったらできないさ。僕に拾われた言葉は、どれも目新しいものではないけれど、ところどころ意味が欠けていたり、変に光っていたり、あるいは黒く煤けていたり、とにかくなにか変なものが多い。変じゃなきゃ変だから。

雑さ。雑さについて考えてみる。雑な言葉と雑な詩。今まで僕が書いてきた詩は雑なものが多かった。この点、少し改められるかもしれない。ーー。雑さについて考えるのやっぱりやめた。

青い空。黒い空。青い森、黒い森。森の中を自分が彷徨っているのを見つけて。声にならない声で呼びかけた。振り向いた自分には顔がなくて。ホラーだね。泣くこともできなかったんじゃないかな。森にはさまざまな扉があって。また、さまざまな井戸もあった。全部壊してきたよ。入る気なかったから。だって、どの扉も井戸も、気持ち悪い笑顔をした人間みたいなものがこっちを見ていたから。だから壊した。天才なら、あんな顔しないはずだからだ。

文章、文章。文章を書くって気持ちいいね。ただし、誰も書かなかったことでなくてはならない。一応、創作だから。人とやりとりしたり。話したり。そういう文章もいいけど。そうでない文章って、こうやって書いてみると、やっぱりとても異様で。そして、とても美しい。これ、自分なんだよ。もう、こんな風になれたよ。


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