論理の恋人

人生の庭に俺はヘチマでも植えて収穫しよう。世の中には二種類の人間しかいない。何かを喋ってる風な人と、喋ってない風な人だ。喋ってるというのは自惚れだ。俺とお前の言葉はそんなに大きく違うまい。論理がそんなに愛しいか。

ヘチマは美味いよな。モグモグ。モグモグ...チッ。ここには西瓜(すいか)はない、南瓜(かぼちゃ)もない。あるのは黒い土、黒い花、黒い夜空。しかし阿呆の足しになりゃ十分だ。俺は腹は減ってない。足りないのは人生だけであった。人生を注(つ)ぎ足す必要がある。倉庫から取ってこよう。ところが倉庫の俺の人生が全て盗まれている!モグラに取られた!全部地中にばら撒かれた。モグモグモグラ、モグモグラ♪

人生を取られたのに、俺は不思議と嫌な気はしない。人生なんてまた種を蒔(ま)いて育てればいい。今度はモグラの種を蒔こう。このモグラが大きくなったら、俺はこいつと一緒に空を飛ぼう。また一つ、黒い予定が増えた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?