「白」

精神的な限界を感じない日はない。繰り返し私を巻き込む望まぬ出来事に心は引き裂かれ、引き裂かれたまま埋まらなくなった空白が私を苦しめる。止めどない不安や漠然とした無力感。自我を覆う仮面を被り、毎朝会社に行く。希望通りでない部署の不完全燃焼な業務。ただ居るだけでも時間が経過していく物足りない閑散期に仮面に覆われた自我が発狂しそうになる。

どうしても女の子といちゃいちゃしたくなってしまう時が多い。退屈と不安に押し潰されそうになり、前を向こうにも心が歩みを進めようとしない。そんな元気もないはずなのに、温もりと現実逃避を求めて、女の子といちゃいちゃする空間に足を運んでしまう。かわいい女の子の滑らかで色白な柔肌に触れている僕の向かい側で、女の子は僕の最も感情的な部分を優しく撫でてくれる。

20代前半の女の子ばかりのいる空間に行く。激しさも巧みさもいらない。ただただ可哀想な僕の慰めになるような、他愛ない会話とささやかな身体の触れあい。その世界に染まりきっていない、真っ白な部分を残した彼女たちの手に感情的な白を染め上げる。彩られた爪先が白く覆われるその瞬間にいつも申し訳なさを覚える。その一方で心がふっと心が軽くなる。心の雑味や汚れを一瞬忘却できる。ただ、それ以上の快楽を僕は望んでいないし、この先は空しさばかりであることを心得ている。このぐらいがちょうどよく生を感じられる。

自傷行為もこんな感じだと思う。僕は試みたことがないが、心が一瞬軽くなる感覚が、僕を再び同じ行動へと誘う。自傷行為を行う人たちも逃れようのない感情から一瞬ふっと逃れるために楽になるのだと思う。自傷行為にも似た束の間の快楽が僕を明日以降の世界へと突き動かす。

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