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記憶に残る姿は

 あぁ、もうすぐ、もう、すぐ、だ。

 きっと、もうすぐ、終わる。

 終わる。終わる、ときが、くる。

 終わってしまえたら、どれだけ楽なのだろう。楽? 楽? 楽……。

 そんなこと、考えたくもなかった。

 考えたくない、感じたくない、そんな気持ち、感じたくなかった。

 けれど、どちらにしても、変わらない。変わらない。

 もうすぐ、終わる。

 それだけが、事実。

 あなたは、私を軽蔑するでしょうか?

 こんな私を、軽蔑するのでしょうか?

 その答えは、聞けない。もう、聞けない。

 きれいなものだけを見て、生きていたい。

 きれいなものだけを見て、生きていきたい、のに。

 なぜ、こんなにも、きれいには生きられないのだろう。

 嫌なものを、醜いものを、見て、聞いて、触れて、感じて、考えて、しまう。

 そこばかりがくっきりと映るように、そこばかりがくっきりとしているように。

 そこばかり、そこばかり、存在しているように。

 なぜ、そんなものばかりが見えてしまうのだろう。

 記憶に映るものは、きれいなものだけではない。

 そんなことは、わかっている。

 あなたを思い出すのは、どんな姿なのだろう。

 今は、まだ、今は、まだ、わからない。わからない。

 けれど……

 きれいものばかりではない。きれいなことばかりではない。

 そう、知っていてなお、怖い。怖い。

 記憶に残るのは、どんな姿なのだろう。

 あなたには、見えますか?

 あなたには、見えますか?

 私の姿は、どんな姿?

 あなたの記憶に残るのは、どんな姿?

 わからない、わからない。

 きれいに、きれいに、生きて、いけたら。

 きれいなものを見て、生きて、いけたら。

 いいのに……。

 あぁ、もうすぐ、もう、すぐ。

 終わる。

 終わって、しまう。

 もう、すぐ、に。

 答えは、出てしまうのかしら。

 あぁ……考えたく、ない。

 

いつも、ありがとうございます。 何か少しでも、感じるものがありましたら幸いです。