見出し画像

【 忘れられない日 〜その日までのこと〜 】

前回の記事【 忘れられない日 】では、大切な人との別れについて書きました。
さくらと一緒に過ごせたのは、たったの1年と1か月です。
期間は短いけれど、とても濃密で、その後の私の人生に大きな影響を与えることになりました。
今回はそのことについて、書いてみようと思います。

1994年4月、さくらとは同じ班活(『部活』のことです)で知り合いました。
彼女は小柄で、お人形さんのようにかわいくて、セーラー服がよく似合う子です。
同性の私から見ても、ため息が出るような外見の持ち主でした。
声は高くて、少し掠れたハスキーボイス。
とても人懐こい子でした。

私とさくらは初めて会ったその日から、一緒に下校するようになりました。
学校から最寄り駅までの30分、話が尽きることはありません。
勉強のこと、班活のこと、恋愛のことなど、何でもオープンにできる唯一の存在でした。

さくらはとても努力家で、テストでは学年のトップになることもありました。
彼女は薬学部、私はほかの学部を目指していて、私たちはその両方がある大学へ、一緒に行く約束をしていました。
遠方の大学ですが、さくらと一緒なら心配ないと、私は確信していたのです。

私は亡くなったさくらの顔を見ながら、ぼんやりと考えていたことがあります。
さくらの夢は、どこへ行ってしまうのだろう……
あれほど一生懸命に生きていた、さくらの努力や希望はどうなってしまうのか……
私は混乱した状態ながらも、そんなことを冷静に 考えていました。

さくらがいなくなったことで、私の心は空っぽになってしまいました。
一緒に行こうと約束した大学にも、全く興味がなくなりました。
当時は就職氷河期と呼ばれていた時代です。
就職に有利なのは医療または介護職だと、私は思いました。
だから私は指定校推薦の枠で、東京の専門学校に進学することを決めたのです。

私は今までにたくさんのことを諦めてきました。
その中にはこの出来事に纏わることも、少なくありません。
いつかこの『諦めたこと』について、記事にしたいと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?