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【#ショートショート(410字)note杯】『数学ギョウザ』

高校の同級生が地元にギョウザ専門店を開店させるらしい、と同じく同級生の金子が教えてくれた。
珍しい話ではないが、その店を開くのが母校史上最高の天才と呼ばれていた西田だったのは、俺の好奇心を十二分に刺激した。
フィールズ賞でも獲るかと思っていた数学の天才が、ギョウザとは..

俺は居ても立っても居られずに、開店準備中の西田の店に向かった。
店名を見た瞬間、俺は吹き出した!
【数学ギョウザ】
そのまんまか!

その時、店の入口が開き、西田が顔を出した。
「ん、町井か?懐かしいな」
西田は昔より、かなり柔らかい表情でそう言った。
「お前、なんでギョウザ…」
俺が西田を問い詰めようとした瞬間、後ろから可愛い女性が顔を出した。

俺は全てを悟った。そして彼女に聞いた。
「…ギョウザが大好きなんですね」
彼女は不思議そうに答えた。
「え、どうして解かったんですか?」
彼女の為か…
西田の身に起こった恋の科学反応…
天才にも計算出来なかったのだろう。

【終】


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