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ICU新入生に知ってほしいこと①ELAだけで英語がペラペラになるわけではない?

ELA(※1)を目当てにICUに入学してくる人は多いと思う。確かに他大学と比べると学生の平均した英語力は圧倒的に高い。体感だと外大や上智の英語系の学部よりも高い。
ICUに来る留学生は日本語が伸びないといわれる。これは生活の中心であるICUキャンパスでは、誰しも英語が通じるからだ。こんな不思議な環境は他にはないと思う。

ただし、ICU生が全員英語が”ペラペラ”か、と聞かれると残念ながら実態はそうではない。

ELAで少しずつ英語が”話せる”ようになってから、気づいてくることがある。それは、
英語が”できる”には物凄くレベルの違いがあるということだ。

英語が”通じる”のはレベル1。早い英語を聞き取れるか、自分が聴衆が退屈しない程度に速く話せるのか、聞き取りやすい発音なのか、ネイティブの会話速度についていけるのか、スラングはわかるのか…等言い出したらきりがない。

最初はずるいずるいと思っていた英語圏の帰国子女の中にも当然英語のレベルはある。10年住んでた人と3年住んでた人では話す速度も表現も全然違うし、実はあまり話せない人も(他大には)結構いる。

ただし、

別に帰国子女で外国に住んだから自然に話せるようになるわけではない。

彼/彼女らは、年端もいかないうちにいきなり言葉が通じない全く異なる環境に放り出されて、そこから涙ぐましい日々の失敗と努力を経てきた人たちなのだ。

彼/彼女ですら入学後も日々英語力を維持/改善しようと英語に触れる時間を増やそうと頑張っている。それをたった1年で追いつくのはなかなか難しい!!(あなたにその覚悟はあるか?!)


ただし、ELAは入り口には非常に良いプログラムだ。今までほとんど英語を”話す”という試みをしてこなかった人たちが、初めてそれを強いられる。

この0→1のステップこそが一番難しい。

たかが話すだけと思われるが、「あそこまでどのくらいで着く?」を英語で入学時にすらっと皆が言えるかは非常に怪しい。How longなんて死ぬほど見てきているはずなのに出てこない。Does it takeというのも三単現をどうするというので迷ってしまう。

ICUのELAの教室には、英語を話すという”恥ずかしさ”がない。英語を話すのが自然なキャンパスだというのもあるが、教室の皆はある程度英語力を伸ばすことに真剣な人たちなのだ。また、最初からある程度話せたり、発音がきれいな人もいる。これは体感だが、なぜか女子の方が上達が早いように感じる。周りがこうだから、自然と自分にも英語を話せるようになるプレッシャーがかかる。3カ月だけで帰れる語学学校ではないのだ。コミュニティに属する以上、最低でも皆についていかなきゃという気持ちが、プライドを捨ててどうにか英語を話そうという気持ちにさせるのである。

たまに「俺は〇大落ちだ」みたいな学歴のコンプレックスを抱えたイキった奴が出現するが、すぐに”浄化”される。こういった机に向かって勉強することにアイデンティティがあり、それ以外をある種無意識に見下してしまっている人は、ELAで周りより全然喋れないという残酷な事実に直面する。英語のテストの点数が圧倒的に高くてもである。英語は話す瞬間に正確性を気にして何重にも自分の脳内でフィルターをかけてしまうと、全く喋れない。酒を飲むと外国語を上手く話せるようになるのはこういった原理である。どう頑張っても従来の方法で周りに勝てない彼らであるが、ICUのコミュニティはそんな尖った彼でも受け入れ、やがて彼自身もプライドを捨て、博愛的なICUの雰囲気に”浄化”されて丸くなっていくのである。

この0→1のステップを乗り越えた後は、各々が日々切磋琢磨をしていくしかない。ただし、最初の0の時よりははるかに楽だ。なぜなら、自分が「話す」ということある程度できるようになると、英語がテストの言語ではなく、生きた言語になっていく。It doという音を聞いただけで気持ち悪く感じるし、あんなに意味がわからなかった完了形も感覚がわかるようになっている。全く聞き取れなかったTED Talkも、だんだんわかるようになるし、ニュースであればほとんどわかるようになる。幸い、ICUでは必修の英語の授業の単位が年々増えている。どんなに英語ができなくても、英語を話さないと卒業できないのだ。こうして卒業までにある程度の英語力の向上ははかられることになる。

ただし、これだけでは恐らくあなたが思い描いていた英語が”ペラペラ”というのには少し遠いと思う。英語を話す人が少し手加減を怠ると全く聞き取れなくなってしまうし、自分がすらすら意見を話せるかというのも怪しい。

2つ解決策がある。

1つは英語ディベートのサークル(ICUDS)に入ることである。

このサークルは週3回、月水金で19時から22時までディベートの試合を行っている。毎回15-30分の準備時間で7分の英語のスピーチを一人ずつ考えなければならないだけでなく、試合中も相手の英語が聞き取れないと反論できないため、強制的に英語力をブーストさせられる。大体半年いると7分を話すことは当たり前になって、英検1級は余裕で取れるレベルになる。2年の初めに新人戦が終了するので、その節目でやめる人が多い。

難点は、ある程度実力主義の雰囲気があるので、常にある程度プレッシャーがかかるということ。この点は、かなり世代による。また、使う英語の単語がかなりアカデミックな単語が多いので(demonizeとかdisincentivizeとか)日常会話ができるようになるわけではない。


2つ目は、交換留学に行くことである。

ICUは留学の提携校が非常に充実している。学部でUC BerkleyやGeorgetown, Duke, UPenn, MiddleburyやOxford等、英米の最高峰の大学に枠がある謎の強いコネを持っているだけでなく、ロシア、リトアニア、ポーランド、ハンガリーやその他中南米,アフリカ等全世界的に留学先が用意されている大学は他にないと思う。(例えば東大はトップ大に偏り過ぎていてあまりバラエティがなく、競争率が激高)

留学に行くと就活が不安?いや、それなら留学に行くべきだ。海外留学するとボスキャリ(ボストンキャリアフォーラム)やロンキャリ(ロンドンキャリアフォーラム)といった海外留学組用の就活イベントがあり、そこでも選考プロセスは国内のものと比べて非常に簡単なのだ。(国内の就活は最も勉強意欲が高まっている3年生から4年の春、下手すると夏以降までかかるのに、ボスキャリやロンキャリは1日で内定が出たりする

もちろん、ふらっと行けば内定がもらえるわけではなく、留学準備で忙しい中平行して就活準備もできた人が結果を残す。ただ、いずれにせよ国内就活よりは1000倍楽にとりあえずの内定を殆ど皆獲得してるので、就活が不安という理由ならばぜひ留学を選んでほしい。

ただし、1つだけ大きな罠がある。2年生の春が終わった時点でGPAの平均が3.0以上無いと留学にそもそも申し込めないのである。

これはICU最大の矛盾であるが、英語力を上げるために留学に行こうとすると、英語力が無くて成績が良くなかったELAが足を引っ張って留学に行けないのだ。これは1年の殆どの成績が英語の成績であるからである。また、大学院で留学をしようにもまた海外大は学部時代の成績を非常に気にする。特にアジア圏からはGPAがほぼパーフェクトというような人がたくさん来る。(主に中国から)

そのため、一年次のELAは死ぬ気で頑張ってほしい。他の単位なんて後からいくらでも取れる。とりあえず一年はとにかく英語に集中して欲しい。ちゃんと課題とされたリーディング課題を丁寧にこなす。宿題をやる。一番大事なのは、先生とたくさんコミュニュケーションを取ることだ。エッセイを書くときは先生からチュートリアルという1対1のセッションを設けられ、最低1回は行かなければならないのだが、出来るだけたくさん行くように。エッセイの内容もそうなのだが、そのプロセスが成績に直結する。締め切りぎりぎりに出すタイプはここで死亡するので、今後の未来のためにも死ぬ気で最初の一学期で生活リズムを確立してほしい。


※1 ICUの一年生はELAという英語の授業に一年のほとんどのコマを費やされる。帰国子女/インター卒ないしよっぽど英語ができない限りはストリーム3,4になり、週に13コマ以上の英語の授業が振り当てられる。好きな授業1学期につき1,2種類しか履修登録できないことになる。

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