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【読書レビュー】この気持ちもいつか忘れる

青春の淡い思い出がひとつふえました。

【情報】

著者 住野よる氏
ジャンル 恋愛小説・ファンタジー
発行日 2020年9月15日

【感想】

使われなくなったバス停の中。
偶然ラジオのチューニングが合ったように。
そこにいたのは、目と爪しか見えない異世界に住む女性。
時々現れる彼女と過ごす時間。
ひとつひとつお互いの知識を増やしていく。

主人公は香弥という高校生男子。
「どうやらこの生涯っていうのは、くそつまんねえものだ。」という一文目からもわかるように、人生に何も見いだせない高校生だ。
そこに吹く突風のような出来事。
そうしてなぜ生きているのかわからなかった人生に花が咲く。
また会えるのが楽しみになる。

確かに初めての彼女って、異世界の人みたいだ。
最近はネットでの出会いなども多く、名前も知らない人と付き合ったり、場合によっては会ったこともない人と付き合うこともある。
また、遠距離恋愛で次になかなか会えない場合もある。
そして少しずつお互いのことを知り理解を深めていく。
こういった状況を異世界から来た目と爪しか見えない彼女として表しているのかもしれない。

本を読むと文字ではなく情景が思い浮かぶ。情景をビデオのような映像で記憶する。そして自分の体験として記憶する。
そうすることで人生がひとつ豊かになる気がする。
青春の淡い思い出がひとつ増えた気分だ。

久しぶりに単行本を定価で買った。しかも発売日に。
やはり、著者からすると単行本を一番買ってほしいんだろうな。
何年かすると文庫本になるけど文庫本は背表紙が統一されてしまう。
本は表紙も含めて1つの芸術だと思うので、本当は単行本を買いたい。
今回は、単行本を発売日に買って読んだことで、最前線に立った気分になった。