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技術を飛躍的に向上させるにはどうしたらいいか。

最近自分の仕事をしていて、「轆轤上手くなったなー」と思うことが増えました(特技:自画自賛)。陶芸家なんだから上手くて当たり前じゃん!という話かもしれませんが、最初から完璧なクオリティーを叩き出せる人なんていません。誰しも最初は初心者だし、ヒット作の漫画家さんだって、1巻と28巻で全然作画違うな!ってことありますもんね(そこがまたよかったりする)

私は、美大で芸術を学んだり、窯元で修行したこともなければ窯業訓練学校に通って朝から晩まで土を触るなんて生活をしたわけでもありません。

陶芸の技術を学んだという意味では、師匠のところで過ごした半年間がとても濃厚でした。基本的な土練りから轆轤(ろくろ:映画ゴーストのアレね!)の挽き方、窯の焚き方、多岐にわたる技法や道具の作り方など、技術的なものはほとんどをそこで学ばせていただきました。

師匠、師匠の奥様、そして姉弟子にあたる先輩(この呼び方がそれぞれ正しいのかはわからないけれど笑)。このお三方には本当に尊敬と感謝が尽きません。この方々に出会えなければ私はあのとき陶芸を辞めていたと思う。自分がこの先陶芸を続けたいのか、続けるためにどうしたらいいのかが見えなくなっていた時期で、とても苦しかった。先輩に聞くと、相当困り果てて思い詰めていたいたように見え、「だいぶヤバかった」らしい笑。そんな当時の様子を笑い飛ばしてくれるところも大好き。

いつだったか、師匠が、陶芸の技術はやった分だけきちんと成果が表れるんだよというような話をしてくれたとき、「その人がどれだけ轆轤の前に座っていたかってことが分かっちゃうんだよね」とおっしゃっていた。細かい文脈や前後の内容は全く覚えていないんだけど、その言葉のトーンと、情景は今でも脳裏に残っている。

その言葉がようやく今、少しだけ分かってきたような気がする。

これを思い返して書いてるだけで泣きそうになるんですけど(最近どうも涙腺が弱い)、続けてきてよかったな、ほんとそれだけだな、と思うのです。諦めるタイミングなんていくらでもあったのに。

前述の通り、私は陶芸に触れてきた年月が圧倒的に少ないので、学生の頃から陶芸をやってきた人と比べてしまうと10年20年の差がザラにある。そこを今から埋めようとすることは物理的に不可能である。

じゃあ自分の技術力を上げるためにはどうしたらいいのか。

答えは「時間をかけること」と、「売るための商品をつくること」だと思います。

「時間をかける」というのは文字通りそこにたくさんの時間を費やすこと。さっきの話と矛盾するようだけど、触れてきた年月が少ないんだったら、その差は密度で埋めるしかない。集中して向き合う、ただぼんやり触っているんじゃなくて、どうしてこうなるのかを理解した上で手を動かして、指先と脳みそに同時にインプットしていく。テスト直前の2日間みたいな爆発的なインプット力を常にキープして毎日続ける。そうすれば、窯業訓練校の2年分の経験値を半年で吸収することも不可能ではないと思う(行ったことないけど!あくまで私の想像と理論上の話です!)。

次に「売るための商品をつくること」。ただ自分のための趣味や勉強でモノを作っているのと、それに値段をつけて誰かに売るための商品を作るのとでは圧倒的に意識が異なる。お金をもらう、その価値のあるものとしての作品を作らなきゃいけない。これはとても怖いこと(自分の足りなさや不甲斐なさを自覚することはほんとにキツイ)だけれど、そうでないと分かり得ないことがたくさんある。技術がまだ足りないだとか、自分の作風が定まってないなんて言い訳でしかないので、そうやって謙遜の影に隠れて自分の手をごまかしていると、どんどん成長のチャンスは失われていってしまう。

双方まとめると、とにかくやるしかないってことですね(結論が雑!)。

体育会系の発想で、そんなスポ根漫画じゃないんだから、という気もするけど、結局成功している人は圧倒的な量をこなしている人なんだと思います。才能だけで仕事できてる人なんて本当に稀有だし、そういう人の場合はちょっと再現性が無いので参考にならない笑。天才に生まれなかった時点で天才になる必要はない。けど努力、練習、勉強はいくらでもできる。質より量。質なんてものは、量をこなした上でようやく問うことができるもので、最初っから質がどうのこうの言うのなんておこがましい。

あと必要に迫られると人はなぜか急激に成長するので、急成長せざるを得ない状況を自分で作るのもいいと思います。

今回オンラインの受注制作が予想以上の数量になって、正直納期キツイんじゃないかとびびってるんですが、どこかで「まあいけるっしょ」みたいな声が聞こえています。たぶんここが自分の成長のタイミングで、また一段階ギアを上げないと間に合わないよ、ほらほら早く成長して、と言われているような気分です。

と、散々技術の話をしてきたけれど、技術だけでモノは売れないよねっていうのも事実です。クオリティーは根性でカバーできるけど、それだけでは価値にならない。その話はまた別の機会に。

読んでいただきありがとうございました! サポートしていただいた資金で美味しいものを食べて制作に励みます。餃子と焼肉とカオマンガイが好きです。