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子宮の病気のこと⑥入院生活

術後三日目。

ご飯の配膳やタオルやパジャマを毎日部屋に届けてくれていたおばさんから、タオルやパジャマを全然使ってないね、と言われた。
小さいタオルは、顔を洗ったり歯磨きの時に使っていたけど、まだシャワーは浴びてなかったから、バスタオルとパジャマはきれいなものがたまっていってた。


昨日、硬膜外麻酔が取れたから、シャワーを浴びて良かったんだけど、浴びる気力がまだなかった。
いろいろ体に付いていたから、パジャマも一度も交換してなかった。
そういや、入院診療計画書には、看護師が体を拭きますと書いてあったけど、一度も拭いてもらってなかった。

今日、シャワーを浴びて着替えます、とおばさんに言った。
昨日まで、ご飯も食べてなかったから、心配されていた。
一人でシャワー浴びれるの?と聞かれたから、たぶん大丈夫って答えた。

「シャンプーしてあげようか?」
思いがけないことを言われた。

きっと業務外だと思ったし、病室のシャワーでシャンプーしてもらうって、わたしは裸??と思って、丁寧に断った。
けど、押し切られた。
いろんな病室にタオルやパジャマを届けるのに忙しいですよね?と食い下がると、○時にシャンプーに来るからね、と言って出て行った。

○時に本当に来てくれた。
シャワーありの個室だったから、部屋でシャンプーしてくれるのかと思っていたら、タオルやシャンプーを持って病室から連れ出された。

連れていかれた場所には、お風呂と一昔前の美容院のシャンプー台があった。
病院にシャンプー台があることにびっくりした。

おばさんは、衣服が濡れないようにするケープを持っていた。
顔にタオルを乗せられ、おばさんにされるがままに委ねた。


「配膳が仕事なんですか?」

「わたしヘルパーなのよ。」

ヘルパーさんだったのか。


シャンプーだけでもね、してもらうと楽でしょ?
身体だけ、あとでさっと流せばいいからね。
手術したあとは、シャンプーは結構疲れるからね~。
わたしは仕事の合間に、たまにシャンプーしてあげるんだ。
気持ちいいでしょ?

そんなようなことを言いながら、ガシガシ、シャンプーしてくれた。
さっきまで、なんか少し、ありがた迷惑、、と思っていたのに、
涙が出そうになってきて、喉の奥がひりひりした。
ひりひりを突破して、涙がいっぱい出てきてしまった。
タオルをかぶっていてよかったと思った。
美容院のような繊細な心地よいシャンプーではなかったけど、力強くて優しいシャンプーだった。

シャンプーが終わると、また豪快にガシガシしながら、ドライヤーで乾かしてくれた。そこまでしてくれるのか。ありがたすぎた。
家族ですら、一度も着替えてないこと、体を拭いてないことに気付いてなかったのに。

この日の夕飯は、ほぼ全部食べた。
夕飯後、恐る恐るはじめてシャワーを浴びた。
シャンプーが終わっているから、思ったより楽だった。
そういうことか。
ヘルパーさん、ありがとう。

身体がさっぱりして、食欲も出てきたから、パラマウントベッドを上げたり下げたりしてみたり、テレビを見る余裕も出てきた。



術後四日目。

ついに退院日だ。
朝ご飯は全部食べた。下げに来たヘルパーさんが喜んでくれた。
ヘルパーさんにお礼を言ったら、少しさみしくなった。

朝ご飯を食べるとゆっくり動きながら、荷造りを始めた。
ほぼ何も出さなかったから、あっという間に終わった。
DVDとか絶対要らなかったな。

お腹は痛くて寝返りもつらい。
尿カテーテルの違和感もある。
まだまだ、よちよち歩きしかできない。
家に帰るのが不安だけど、家に帰れることがうれしかった。

五日ぶりに私服に着替えた。
窓の外を記念に写真に撮った。
空が青かった。

退院後のことは、こちら


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