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勘違いすることを死ぬまで止められないかもしれない恐怖

 Xのタイムラインでふと見かけて読んで、心が抉られた漫画がありました。

 内容は見ていただければいいと思うのですが、簡単に言うと男性(後輩)が女性(先輩)に恋をした状況について、恋をした男性側の視点からの描写と相手の女性側の視点からの描写が描かれています。
 以下、内容に触れながら書いていきます。いわゆるネタバレありですので、本記事を読まれる前に漫画の方を御一読されることをお勧めします。15ページほどの短い作品なのですぐに読めると思います。





 まずあの漫画を読んで一番最初に私の心に生じたのは、「あー過去に俺が告白した時も相手側から見たらこんな感じだったんかなぁ……」という落ち込み、悲しさでした。私は過去、仲の良かった職場の女性に告白して振られ、その後避けられた経験があったからです。

 この漫画で示されている状況は、私のその過去を想起させるのに十分な内容でした。
 この漫画で示されている状況が、私の過去の状況と近いものであるという前提のもと、私が心抉られたポイントを挙げてみます。


〇男性側からの好意によるアプローチが女性側にとってみると恐怖でしか無かったこと。

女性からしたら恐怖

 男性側からは相手に好かれたいと思って行っているアプローチが全て相手の女性にとっては恐怖を喚起するものでしかなかったこと。しかも、女性が恐怖を感じていることを男性は察することができなかったこと。その二重の意味での恐怖がこの場面で描かれています。
 女性側の視点では、周囲の人に相談し、周囲も男性のことをマークして女性を守るように動いているのですが、男性視点では一切そのことについて触れられていません。つまり、男性側は女性が恐怖を覚えていたことも、周囲の人が女性を守るように動いていたことも気づいていなかったのです。
 さらにこの漫画の描写によれば、男性はその後(フラれた後)も女性が恐怖を覚えていたことに気づいていません。

 私が男性側の立場であったなら、この男性と同じようになっていた可能性は高いです。
 そして過去の私がこの男性と同じようなことをしていたとするなら、今の私がそうであるように、私は未だに相手が恐怖を感じていたという事実を知らないままでいるのでしょう。

 

〇男性視点だと、自分自身についても相手方の女性についても美化している(可能性がある)。

左側:男性視点 右側:女性視点

 左側の男性視点だと、男性自身の描写はシュッとした感じのイケメンで、女性側も美人に描かれています。片や女性視点だと、女性自身は少し地味に描かれていて、男性側は若干ふくよかでパッとしない外見で描かれています。
 つまり、男性の認識においては自分自身と相手方の女性の両方が美化されていることがここで描写されています。

 私は男性が自分の容姿を美化して認識していることよりも、女性を美化しているところに心抉られました。女性を美化しているということは、男性が相手方の女性に自分の理想を投影していることの描写だと思います。
 私も今まで女性を好きになった時は、その女性個人を好きになったというより、私の理想を押し付けられそうな相手を好きになっていた(と勘違いしていた)だけだったので、相手の女性を美化する心性が非常によく分かりました。というか私も美化していました。
 男性視点での描写で、女性の容姿や性格の美点についての言及がありますが、それらも本当にその女性の特長というよりは、この男性の理想をその女性に投影しているだけである可能性が高いです。


 そして私がこの漫画を読んで最も辛いなぁというか、苦しく思ったのは「どうやって(男性の)その状態を改善したら良いか分からない」ということです。

 女性視点から、この男性が周囲から浮いた存在であることが言及されています。

周囲から浮いた存在である男性(後輩)

 「これまでちゃんと対人経験を積んでない人特有の妙な距離感やテンション」という言い回しの破壊力。この一文で私は致命傷を負いました。

 この漫画では最後まで男性は女性が感じていた困惑や恐怖を気づくことはありませんでした。その後の人生においても、誰からも指摘されなければずっと気づかないままでしょう。
 私が同じことをしていた場合、私もこの男性と同じく気づくこともなく、気づいていないから改善する機会もありません。一生このままです。そして同じ過ちを繰り返すでしょう。そのことに私は恐怖しました。

 いや、気づいたからといって改善できるかどうかは別なのですが。「これまでちゃんと対人経験を積んでない人特有の妙な距離感やテンション」ってどうやったら治るの?


 話が少しそれますが、見知らぬ男性と対応するときにめちゃくちゃ冷たく対応する女性が時々います。私は以前は「感じ悪っ!」と思っていましたが、私が女性に優しくされると勘違いしてしまう性質であることを自覚してからは、そうした女性の対応は非常に的確な自己防衛であると思い、むしろ推奨すべき態度であるように考え直しました。冷たく対応されれば鈍い私でもさすがに分かるので、冷たく対応することでその女性が勘違いされる危険性は下がるでしょう。


 なんにせよ、勘違いしてしまうことについて改善する方法が分からないので、私が取れる対処法としては女性と接する機会を極力減らすことだ、というのが暫定的な私の結論です。


 本日は以上です。最後まで読んでくださりありがとうございました!
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