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人を複数のレイヤーにおいて見ること

 今現場に入っている親方に対して、私は「良い人だ」という印象を抱いています。私に対して世話を焼いてくださるし、自分の会社の社員の人たちの面倒も良くみているし、自分と違う意見(わたしとか)に対しても耳を傾ける度量もあります。
 ただ、私と相性はあまりよくないな、とも思っています。私は一つ一つを確認しながら、どちらかというとゆっくり動く方なのですが、親方はテキパキ早く、速く動いて作業することを良しとします。なので、私は作業中はけっこう手痛い指摘をよく受けます。

 というようなことを考えていて、私が人について思う時、「自分との相性」と「相手の人間性」というのを分けて考えていることに気づきました。
 それに気づいて、私は恐らく人を複数のレイヤー(層)に分けて捉えていることにも続いて気づいたので、少し内省してみて自分が人をどう捉えているか省察してみました。


 まず、私は人の「気質」というものを見ます。これは「優しい」とか「厳しい」と言った性格とは異なり、それらの元になる基盤のような性質を想定しています。
 例えば、私のように理屈っぽく、論理的な整合性を気にしてしまいがちな気質や、好き嫌いといった感情的な反応を重視する気質や、人との優劣・勝ち負けを気にする気質、といったようなものです。私はこれらは性格に先立って存在するものだと捉えています。
 つまり、理屈っぽい優しさもあるし、感情的な(共感的な)優しさもあるし、相手を成長させようとして発奮させるような優しさもある、と私は考えています。それらは、相手に対しての優しさの発露ではありますが、具体的な言動はおそらく異なるものでしょう。

 「気質」の次に来るのが「性格」あるいは「人間性」です。
 優しい性格、冷たい性格、責任感のある性格、無責任な性格etc…一般的に性格、人間性と呼ばれるような特性、心的傾向性です。

 最後に「知識」あるいは「情報」です。
 これはその人がどういうことを知っているか、どういう情報を持っているか、ということです。
 例えば私で言えば仏教の知識や環境改善や林業についての知識は少しく持っています。別の人は金融の知識に詳しかったり、法律の知識に詳しかったり、国際情勢に詳しかったりするでしょう。
 どんな知識や情報を持っているかによって、具体的な行動が変わります。例えば、私は環境改善についてある程度の意見を述べたり実践を行ったりできますが、福祉の問題について意見を述べたり実践を行うことは難しい、というようなことなどです。

 

 上記の分け方について、少々分かりにくいと思うので具体例を挙げてみます。
 まず、理屈っぽいという気質と優しいという性格が同じで、持っている情報・知識が異なっている二人がいるとします。
 その人たちは優しいため人のために何かしたいと思い行動するかもしれません。理屈っぽい気質は、公平性を気にするかもしれません。そこまでは二人は同じですが、それぞれが持っている情報が違えば行動が変わります。
 一人は自然環境について知識や情報を持っているとします。そうであるなら、環境問題に対して行動をするでしょう。理屈っぽい気質から、特定の地域や人に向けての行動より、広く啓蒙活動を行ったり環境教育に注目するかもしれません。

 一方、もう一人は社会福祉についての知識・情報を持っているとします。公平性を気にする気質であることから、社会的弱者と呼ばれる人たちのために活動するかもしれません。その場合も社会的弱者がどうして生まれてしまうのか、といった社会構造を明らかにし、その問題点を啓蒙する活動をするかもしれません。

 このように、気質や人間性に近いものがあっても、知識・情報が異なれば具体的な行動が変わります。

 
 同じように、持っている知識や情報が同じでも気質や人間性が異なれば、行動は変わるでしょう。
 例えば社会福祉について知識や情報を持っているのが同じで、優しい人間性が同じであっても、理屈っぽい気質でなく、感情的(共感的)な気質を持つ人であれば、啓蒙活動などより実際の社会的弱者の方に寄り添う活動をするかもしれません。
 また、気質や知識・情報が同じでも、自分さえ良ければ良い、という人間性であれば社会的弱者を利用して自分が利益を得ようという行動に出るかもしれません。この場合も行動は変わってくるでしょう。


 というように、私はどうやら人を「気質」「性格・人間性」「知識・情報」という三つのレイヤーに分けてみているようです。
 そのため「私と相性が悪いけど、この人は良い人だな」とか、「具体的な活動は異なるけど、この人とは相性が良いな」といったことを思うことがあります。まあ逆に「やってる活動は近いものがあるけど、この人嫌だなぁ…」ということもあるのですが…。

 ただ、複数のレイヤーで相手を見ることで、自分と活動や興味関心が異なる人に対してもその人の良いところを見ることができやすいので、一つ利点のある見方かもしれない、と思いました。

 
 今回は私が無意識に見ている人の見方について内省し、言語化してみました。


 本日は以上です。スキやコメントいただけると嬉しいです。
 最後まで読んでくださりありがとうございました!