大学の公募人事に関しての一石

最近、ある公募人事の募集要項作成に携わった。

ようやくその人事に決着がついたのでいろいろメモをしておこうと思う。このメモを見て、参考してくれる大学部局や組織が出てくればありがたい。

大学の公募人事に関して、前々から気になっていたことがあった。
どうしていきなり全員に業績の現物(コピー可)を3点とか5点とか提出させるの?
正直、全員の業績の現物、見てないでしょ?
履歴書と業績一覧見て、これはと思った3人とか5人とかの業績を初めてじっくり読むでしょ?
一生懸命、本や抜き刷りを揃えて、コピーとってホチキス止めして、揃えた書類が「クリップも動かされた形跡なく」(永田・斎藤 2019:12-13)返送された(返送するだけマシだけど)書類を応募者がどんな気持ちで受け取るか、考えたことある? 第1次審査から全員に業績出させたあげく「応募された業績は原則返却しません」なんて横暴なことをやっちゃあいけないよ。

だから、募集要項に口を出せるポジションになったから、以下の方法にチャレンジした。

第1次審査での必要書類は
1)履歴書
2)業績一覧
3)これまでの研究の概要
4)教育での貢献と抱負

JREC-INでのWEB応募も受け付けた。ファイル1個しか添付できないので、4つの書類をくっつけたPDFにするか、圧縮ファイルにするかになる。1)と2)は書式自由。reseachmapのリンクでも構わない。
全体で何件応募があったかは書けないが、全体の50%がWEB応募。残りが郵送だった。

応募者一覧をエクセルに入力して(WEB応募の方はコピペ。郵送の方は手入力だからやっぱり大変だった。WEB応募のほうが受け取る方はありがたい)セルにリンク張って飛べるようにした。それを選考担当者で確認する。評価の基準は人事ごとに異なるがまずは業績。それに加えて、科目適合性、研究分野。担当してほしい科目、組織として補強したい研究分野など。最近では、ジェンダー比率を文科省に報告するのでジェンダーが決め手になることすらある。

この段階で半分は分野違いでリストから外れる。どんなに業績すごい人でも、分野違いはどうにもならない。分野適合性・科目適合性がある50%の方の業績を更に比較して、一桁(3人から5人ぐらい)に絞り込む。

この段階まで絞り込んだ方にようやく「主要な業績3点とそのリスト」をお願いする。電子ジャーナルの人はリンクでよい。印刷やコピーぐらい、こっちでやる。本を送るっていろいろ大変だけど、やっぱり単著ってインパクトあるから単著がある方は本を送ってくださる事が多い。

そこから面接に呼んだり、模擬講義やってもらったりして、最終候補者が決まる。一人しか面接に呼ばない大学もあれば、複数の人を必ず面接に呼ぶ大学もあるそうだ。ただね、面接に呼ばれた側って結構な勢いで期待値高まっちゃうから、複数呼ぶってかなり罪作りだよ。
呼ばれた人は大学の近くを歩いちゃったりなんかして、最寄りの駅に降りたときに「ああ、ここに通うことになるのかもな。ちょっと駅から遠いから自転車新しく買っちゃおうかな」とか思うんだよ。
だから、面接に複数名を呼ぶんじゃなくて、ちゃんと順位付けて上から呼んでよ。最初に呼んだ人にご縁がなかったらそこから2人目呼ぼうよ。交通費払えないなら絶対。
あと、いろんな事情があって面接に来れない人もいるし、海外や遠方、子育てや介護中の人もいるよね。ZOOMとかでもいいよ、とか書いてあったら優しいよね。(今回は募集要項にビデオチャット面接可って書きたい、って言ってみたけど「いきなり書かんでもええやろ」って却下された)

ある大学の公募で「業績リストに載っている全部の現物」という鬼のような募集要項を見た。たぶん、設置認可とかの事情があるんだろうけど、それを準備するのがどれだけ大変で、郵便局やコンビニにダンボール抱えて行く応募者の姿を想像したらやりきれなくなった。

「採ってやるかもしれないんだから黙って従え」ってやっぱり良くない。公募出した人は採用された人以外は「私を落とした大学」ってずっとずっと思って研究者やっていくんだよ。だからせめて、応募してくれてありがとう、という気持ちを募集要項で示そうよ。公募で落とされ続けた経験を忘れちゃいけない、と思うよ。

募集を締め切ってから最終候補者が決まるまで、大体2、3ヶ月はかかる。選考委員の教員にも日常の講義や研究があり、選考委員全員のスケジュールが合うのは週に1回ぐらいで、議論はその都度丁寧に行うので、どうしてもこれぐらいはかかる。その間、待たされる側はずっと待たされる。これもよくないので、せめて今どんな段階ぐらいかは伝えたい。JREC-INのWEB応募は応募ステータスを変更できる機能があって「受理済ー不採用(書類)ー不採用(面接)ー採用」とかってあるけど、増えてほしい項目は「書類選考中」と「面談選考中」かな。加えて、一言ぐらいなんか添えられるようにしてくれるとよい。いきなり「不採用(書類)」だけって結構気分悪くない?

以上、あまり整理されてないけど、書いてみました。学内でもそこそこ評判は良かったと思うので、今後もさらに改善してこの手の方法は続けたい。そしてもしもこれを読んでいるあなたが選考する側に回ったら、少しでも応募者に負担の少ない方法を導入していただきたいと思います。

永田夏来・斎藤直子 2019「対談ー社会学、あなたはどこから?ー『社会学はどこから来てどこへ行くのか』スピンオフ」『書斎の窓』2019年9月号:4-17

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自転車・社会保障関係のつぶやき。障害者福祉政策研究、家族政策研究、社会福祉実習教育などに従事しています。趣味はロードバイク、グランフォンドやヒルクライムにコツコツ参加しています。2015年からブルベ始めました。ヤジに弱いので集団走行があるイベントにはでません。

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