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不老長寿をもたらす「大和橘」が、美食と美白の果実だった件

大和橘(やまとたちばな)という薬木をご存じでしょうか?古事記や日本書紀にも記載のある日本古来の柑橘類で、「左近の桜、右近の橘」で知られるようにひな祭りのモチーフとなっていたり、500円玉に大和橘の葉が描かれていたりと、日本文化とも密接な関わりのある植物です。金柑と同じくらいの大きさで、ちょっと皺くちゃで、キュートな果実。

写真はWikipediaより(左下が大和橘)

しかし近年、大和橘は絶滅危惧種となっていました。それを2011年に発足した「なら橘プロジェクト推進協議会(代表:城 健治さん)」が精力的に盛り上げた結果、現在では大和橘は“準”絶滅危惧種まで回復したと言われています。

写真は奈良政経新聞さんの記事ページより

今回のnoteでは同団体の足取りもフォローしながら、大和橘の輪がどのように奈良から広がっているかについて整理したいと思います。

1.献木

過去のクラウドファンディングのページが見つかったのですが、2017年の時点で、なら橘プロジェクト推進協議会さんは約40の寺社に大和橘を奉納されていたようです。

実際、奈良県下の神社にお参りに行っていると大和橘に時々出会います。これも献木された子なのかなぁと思いながら、サトタケも目を細めながら愛でております(^^)/

写真はREADY FOR さんのページより

2.美食

大和橘は柑橘類のジューシーなアロマと、山椒のようなスパイシーさを兼ね備えた稀有な食材でもあります。そのため、高級レストランやパティシエに注目されており、かれらが提供するひと皿に素敵なアロマを加えていることと思います。

写真はボルゴ・コニシさんのInstagramより
写真はカフェ・アバロッツさんのInstagramより
写真はエス小山さんのPRサイトより。No.1に大和橘が使われています

さらに身近に、大和橘のスイーツを楽しめるショップもあります。「ならBonbon」さんというお店なのですが、同店は奈良の食材を用いた飴や焼き菓子などを提供されています。

写真は、ならBonbonさんのサイトより

こちらのショップ、なら食材を幅広くスイーツにアレンジされていて面白いので、皆さんもぜひ訪問してみてください。

3.美白

大和橘にはノビレチンというフラボノイドが多く含まれていて、抗酸化作用・抗炎症作用などが期待できると報告されています。いわゆる、老化防止ですね。

そのあたりに着目された株式会社ヴァンベルさんが、大和橘を用いた化粧品を販売されています。

写真は株式会社ヴァンベルさんのサイトより

また、株式会社テクノーブルさんは大和橘を含む美容成分「和美三美」を提供されていますね。


さて、本記事のタイトルに「不老不死」という言葉を使っていましたが、かつて大和橘は、不老不死の果実と考えられていたようです。サトタケの小説「コトリの薬草珈琲店」から、その説明を行っている一節をご紹介したいと思います。


「川原さん、あの小さな島、ご存じですか?」琴音が川原君に声をかける。
「いやぁ、知らないです。古墳の側に浮かぶ小さな島。何か特別な意味でもあるんですか?」
「あれは、田道間守(たじまもり)さんのお墓だと言われているんです」
「田道間守さん」
「はい。田道間守さんは垂仁天皇に仕えていた方なのですけど・・・もちろん、古墳時代なので、さっきの唐招提寺よりも昔の話です。田道間守さんは垂仁天皇に不老不死の果実を探す課題を与えられ、常世の国へと向かいます。そこで黄金色に輝く非時香菓(ときじくのかくのみ)を見つけて戻ってくるんですけど、時間がかかりすぎたためか、垂仁天皇は亡くなってしまっていました。悲しみに暮れた田道間守さんも、そのお墓の側で亡くなってしまったというお話です」

(中略)

 琴音はその言葉を笑顔で受けながら、話を続ける。「ねぇ、川原さん、そんな非時香菓ですけど、本物を見てみたいですか?」
「え?その不老不死の実を見せてくれるんですか?」
「この子です。大和橘の実」

右下に薄っすらと見える小島が田道間守さんのお墓です


以上、今回は奈良から広がりはじめている大和橘についてお話しましたが、なら橘プロジェクト推進協議会さんから常に新しい情報が発信されているので、そちらもフォローしておいてくださいね。

本記事で紹介していない商品もたくさん載っているので彼らのサイトは要チェックです!

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