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沖縄旅行前に起こった奇跡。

2019年11月。

社員旅行のようなもので沖縄に行くことに。
初めて行く沖縄への旅は、僕にとってたくさんの意味を持つことになる。

もうひとつの出来事は、こちらから。

祖父の兄の遺品が見つかる。

沖縄に行く2週間ほど前。高知の実家にいる母親から電話があった。

祖父の兄の遺品が沖縄で見つかったと、高知新聞の人から連絡があったとのこと。

祖父の兄は、第二次世界大戦で徴兵され、戦死していた。
もちろん遺骨などなく、残っているのは遺影だけだった。

沖縄戦で亡くなったらしいと祖母から聞かされていたが、僕が沖縄に行くタイミングよく見つかるなと。

見つかったのは透明なアクリルで作られたような印鑑だった。

後日、高知新聞の記者の方が印鑑を持って訪ねてきてくれた。

遺品の謎。

しかし、この印鑑には不思議な点が1つあったのだ。

母方の姓は、旧字体を使った姓であるのだが、旧字が2種類ある。
母が独身時代に使っていた旧字とは違う字体で掘られたものだったのだ。

ただ、様々な状況証拠から、祖父の兄の物であることには、間違いなさそうである。

高知県の部隊が印鑑発見場所を拠点としていたり、母方の苗字で戦死しているのは、祖父の兄だけだとのこと。

そうして、その印鑑は遺骨の代わりにお墓に納めることになった。

当日、母が墓石に刻まれた祖父の兄の名前を見たところ、新たな事実が判明したのだ。

墓石に刻まれていたのは。

祖父の兄の墓石には、印鑑の文字と同じ旧字体で名前が刻まれていたのだ。

祖父の両親は、普段使っていた旧字体で掘ってあるのに、なぜか祖父の兄だけが違う文字だった。

今になっては、なぜなのかわからないが、確かにこの印鑑は祖父の兄の遺品であろうと、僕達家族も納得した。

墓前に沖縄の石を。

沖縄旅行中、飲み会終わりにタクシーに乗った。

そして運転手さんに、ことの顛末を話した。
すると、石を拾って墓前に供えるといいよと教えてくれた。

翌朝、国際通りのホテルから少し歩き、石を拾った。
後日、高知帰省の際に墓前に供えることができた。

74年の時を超えて。

74年の時を超えて、印鑑はふるさとへ帰ってきた。

けれど、祖父のお兄さんはあの遺影の写真のまま、20代前半で命を落としている。
遺骨は、まだ沖縄のどこかに眠っている。

戦争がなければ、どんなおじいさんになっていただろうか。
お酒が好きだった祖父と飲んでいただろうな、なんて考えた。

そんな、沖縄旅で僕はある島に魅了されてしまった。
次回はその島と、あるシンガーソングライターについて書きたいと思います。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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