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【本】「土とワイン」(1) 序章~1章:火成岩

【概要(Amazonより)】

ワインの味を決めるのは製法や気候だけではなく、何よりもブドウが育まれた土壌こそがすべてである。世界各地のさまざまなワイン産地を土壌の基盤岩ごとに分類し、それぞれの土壌特性とその地で生まれるブドウやワインの特徴を考察した、これまでになかった究極のワインガイド。

【目次】

土とワイン

【本の内容】

序章 ← ★今回はここ★

■はじめに
・この本は地質学の本ではない。土壌と土地に対して、ワインの味わいの違いを知るもの。
・重粘土質土壌で育ったぶどうで、こうした土壌から生まれたワインは、たいてい厚みのある味わいになる。(27)
・ピノノワールを石灰質と花崗岩の地域で、同じような日当たりと気候下で育てれば、ぶどうの熟し方は違ってくる。(27)
・玄武岩質土壌から生まれたワインは、灰のような後味を感じられるに違いない。(28)

■土壌とは
・基盤岩(bedrock)と土壌は全く異なるもの
 ・土壌:地面の最上層にある表土を意味する
  ・土壌は、地球の硬い岩石、すなわち基盤岩を覆っているもの。
  ・土壌の源になるのは、海に堆積した土砂や火山灰などの鉱物質と、草花や樹木、木の葉、動物、微生物に由来する有機物
  ・表土は、砂、砂利、年度などさまざまな粒子を含み、いくつもの層を形成している

■表土とその構成粒子
・一つの地域の表土を特徴づけるものは、粘土、砂、砂利、シルトや黄土、ロームといった粒子。
・粘土
 ・水としっかり保持し、植物の消化吸収を助けてくれる
 ・口に含んで少し経ってから感じるリッチな味わい、ときにはさびたような印象
 ・一般に粘土質土壌の地域のワインの味わいはどっしりとしている
 ・豊潤で丸みのある味わい
 ・粘土質土壌らしい味わいのワインができる産地:イタリアのアブルッツオ州、エミリアロマーニャ州、そしてジョージアのイメレティ州
・砂
 ・砂はあくまで粒子であり、岩石の種類ではない。
 ・砂質土壌はざるのように水はけがよい。
 ・砂質土壌は一般に繊細なワインを生む。複雑さはない。
・砂利
 ・大きさが中礫から大礫におよび、堆積岩の地域でよくみられる
 ・熱を吸収しやすいため、アルコール度が高めのワインを造るのに効果的
 ・NZのギンブレットグラベルズ、米ワシントン州ワラワラがこの土壌。
 ・有名な産地は、シャトーヌフデュパプ、ボルドーのメドック、グラーブ。グラーブは、太陽光を反射しつつ、地面を温める効果や保温性に優れる
 ・水はけ良い
・シルト
 ・岩粉とも呼ばれる
 ・より肥沃で、かつ保水力が優れている
 ・ワイン栽培に最適な土壌とは言えない
・黄土
 ・粒の大きさがシルトとロームとの中間
 ・主として風で飛ばされて堆積したシリカ(二酸化ケイ素)からなる。
・ローム
 ・粒子の一種ではなく、異なる種類の粒子が混合したもの
 ・砂とシルト、年度がほぼ統う分ずつ堆積して混ざってる
 ・米CA州の大部分でよくみられる。同州の肥沃な土壌とあいまって、かなり果実味の豊かなワインになる
 ※不毛でやせた土壌からしかいいワインが生まれるわけではない
・やせた土壌がよい。

■ワインの風味や色に影響を与えるもの(50)
・農法は慣行農法か、有機農法か、ビオディナミか
・ぶどうは手摘みか機械収穫か
・選果は、専用の選果代か、畑で行うか
・除梗するか、しないか
・全房か、果粒のみを使うか
・ぶどうを足で破砕するか、プレスか
・破砕後、果皮をただちに取り除くか、スキンコンタクトするか
・酸化防止剤として亜硫酸を添加するか、するならどの程度か

■土の味(56)
・土壌は、ワインの酸とタンニンの発生、および質に影響を与える
・火打石:シレックス
・ムルソーのもつショウガのような特徴の風味:石灰質に由来する
・木樽熟成はワインにタンニンをもたらし、全房発酵はある種のスパイスの風味をもたらす

1章:火成岩 ← ★今回はここ★

・火成岩質土壌の海の親は、熱く溶けたマグマ
 ・マグマは、最終的に貫入岩または火山岩になる
  ・熱せられたマグマは冷えて加圧されることで形成される斑レイ岩や花崗岩は、貫入岩の仲間
  ・火山岩は、地球の胎内、つまり地中から地表への溶岩が流出して固まったもの

■玄武岩質土壌
・火山岩の一種である玄武岩は、鉄を豊富に含み熱い溶岩流が冷えて形成される
・カナリア諸島
 ・ランサローテ島とラ・パルマ島の一部には黒い火山灰質の土壌が見られる
・米ワシントン、コロンビア盆地にあるワラワラは玄武岩質土壌
・玄武岩は熱を放射して果実の成熟を促してくれるため、どんな冷涼な地域のぶどう畑でもプラスに働く
・さびたような印象とやや酸化を思わせる酸とともに、、灰のような印象をはっきりと感じる

◇エトナ
・絶え間なく噴煙を上げている
・黒っぽい火山灰が見られる
 ・ランサローテ、ラ・パルマも。piconと呼ばれる
・ネレッロマスカレーゼが代表
・フランクコーネリッセン。アンフォラに入れるが、熟成期間は長くとらない
・「エドアルド・トーレス・アコスタ」テネリフェからシチリア島に移住。
・白ワインで注目すべきは、塩味を感じさせるカリカンテ。
・アルベレッロ仕立てのぶどう樹:栗の木で作った一本の市中にぶどう樹を固定する

◇カナリア諸島
・2つの特徴
 ・これまで一度もフィロキセラの被害を受けていない
 ・火山性の玄武岩質土壌
・火山性土壌は、ランツザローテとラ・パルマにみられるpiconという黒い灰
・火山灰に掘られたくぼみでぶどうを育てるのは、アフリカ大陸から吹き付ける強風からぶどう樹を守るため
・テネリフェ島は、piconは見られない。テイデ山という火山で、火山としては世界第3位の高さを誇る
 ・ロベルト・サンタナは、「エンヴィナーテ」というワインの会社を始めた
 ・鉄のニュアンスをもつワインが生まれる
・品種は、白はリスタン・ブランコ(=パロミノ)。マルヴァジアは甘口ワインの品種として知られる

◇ウィラメットヴァレー
・ジョリー(Jory)。深部まで風化した玄武岩が混ざっている。
・赤土であるジョリーは、鉄分が豊富で、粘土交じりの砂質土壌

■凝灰岩質土壌
・火山活動から生まれた別の火成岩が凝灰岩である
・凝灰岩は、火山から噴出して吹き飛ばされる砕けた玄武岩などの物質と、シリカを豊富に含んだ流紋岩などの混合物である

◇イタリア アルト・ピエモンテ
・最も魅力を感じる産地は、ボーカとプラマテッラ。
 ・貫入製の斑岩と、溶岩などの噴出性の火成岩、そして凝灰岩がまざりあって生まれた土壌
 ・この地域の凝灰岩は、シリカと鉄を豊富に含む

■花崗岩質土壌
・際立ったストラクチャーと刺すようなピリッとした酸味、そして爽やかさ。ミネラル感。
・分解された花崗岩はPH値が低いので、土壌は酸性である
・栄養分の乏しい花崗岩質土壌は、粘土質の含有量が少ない場合は多く、あまり多く実をつけない。そのため収量が減る。

◇ローヌ北部
・コートロティは、花崗岩よりへ円質が進んだ片麻岩や粘板岩が多い
・ローヌ北部の斜面のように、あまり粘土質を多く含まないと、土壌の保水性が悪い。が、シラーはほかの品種より水分を必要としない。
・サンペレイは、石灰質土壌(白ワインのみ)
・クローズエルミタージュ、エルミタージュ、コルナスは、花崗岩多い

◇豪ヴィクトリア州ビーチワース地区
・ジュリアン・カスターニャが、「カスターニャ・ヴィンヤード」でワインを造っている
・花崗岩質土壌は、果実を適度に抑制し、タンニンをなめらかにし、ストラクチャーを与える
・ソレンバーグ。ガメイが秀逸。

◇ロワール地方ミュスカデ
・先カンブリア紀の間ずっと起こっていた海の激しい隆起で、主に貫入性火成岩と変成岩類が押し上げられた⇒アルモリカン山地
・片岩と片麻岩が火山性物質と入り混じった
・花崗岩と正片麻岩。
 ・フレッシュさと酸味。正片麻岩はこってりしている。
・斑レイ岩室土壌:ゴルジュ、花崗岩質土壌:クリッソン、正片麻岩室土壌と斑レイ岩室土壌:ル・パレ
 ・雲母片麻岩質土壌と片麻岩質土壌:グレーヌ(2019認定済)
※ミュスカデの詳細地域と土壌の関係は、P164

◇ボージョレ
・ガメイは、ブルゴーニュ地方のサントーバンの郊外にあるガメイという町で見いだされた
・1395年にフィリップ豪胆公がガメイの引き抜き命令
・花崗岩質土壌のガメイは切れ味があって酸味が強く感じられ、冷涼で湿気のある土地と相性がよい
※ボージョレの詳細地域と土壌の関係は、P172

◇リアスバイシャス
・海からさほど離れていないところでは、紅水晶(バラ石英)をまだらに含む花崗岩質土壌が見られる
・ペルゴラ仕立て
・アルヴァリーニョは果皮が比較的厚く、乾燥した土壌が適している。花崗岩の水はけのよさがアルバリーニョを救ってくれる

2章:堆積岩

3章:変成岩

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