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モヤっとした気持ちの原因は何?認知行動療法で自分のストレスを把握する

読んでくださってありがとうございます。

皆さんは「認知行動療法」を知っていますか?

自分はうつ病の経験があるのですが、10年以上前にこの心理療法に出会って救われました。今でもこの時学んだことを実践しており、ストレス社会を何とか乗り切っています。

自分のうつ病の経験談に関してはこちらから

今回は認知行動療法の技法の中でも
モヤっとした気持ちの原因を探る為の技法。
セルフモニタリング』について説明します。

ストレスって何だ?

皆さんはよく「ストレス」という言葉を使いますよね。
自分も上で「ストレス社会」と言っています。

「上司が嫌な奴で本当ストレスでさ~」
「隣の家がうるさくて、ストレスが溜まっているんだ」

皆さんが日常的に使用している「ストレス」
どちらも同じ言葉を使用していますが
実はニュアンスが少し違います。

心理学のストレスモデルでは、
ストレスを下の図のように捉えます。

「ストレス状況(ストレッサー)」
ストレスの原因のようなもの。
外部の環境的要因のこと。

仕事が多忙、残業が多い
外が寒い
メールが返ってこない
カフェにうるさい子供がいる

「ストレス反応」
ストレス状況によって
個人の中に引き起こされた反応のこと。

仕事に行きたくないと落ち込む
身体が震え、手がかじかむ。
落ち着かずメールを確認する
イライラする。

最初の例は
嫌な上司、ストレス社会=ストレス状況
ストレスが溜まっている=ストレス反応
ということですね。

ストレス反応を細かく見てみよう

認知行動療法ではストレス反応を
以下のように細かく4つの分類に分けます。

「認知」
「気分・感情」
「身体反応」
「行動」

これが認知行動療法の基本モデルになります。

OCDサポートから引用

<認知>とは

 認知とは頭の中に浮かぶ「考え」「イメージ」のことです。
心の中で呟く独り言」みたいなものですね。
自分の意図せず、考えが浮かぶことから
認知行動療法では「自動思考」ともいいます。
例をあげますね。

仕事が忙しい社会人が休日に
さざえさんを見ていたとします。
「もう休みも終わりか。明日、月曜日かあ。提出期限が迫っている書類もあるし、仕事に行きたくないなあ。」
クリスマスに彼女がいない独身男性が外に出たとします。
「皆幸せそう。自分は一人でカフェで読書してるだけだな。目の前でいちゃついてるカップルがうらやましいや。」

映像をイメージするのも認知になります。

自分は注射が嫌いです。
健康診断の時期が近づくと
「自分が看護師に採血されている姿」をイメージし気分が悪くなることがあります。

かぎかっこ「」になっているのが認知ですね。

<気分・感情>とは

<気分・感情>とはその時の心の状態のことを指します。短い言葉で表せるのが特徴です。
言葉だと難しいので例をあげますね(笑)

「快」の気分・感情
楽しい、うれしい、わくわくする、穏やか、ハッピー、やる気が出る
「不快」の気分・感情
悲しい、イライラ、不安、悔しい、パニック、心配、むなしい、罪悪感、恥ずかしい、つらい、寂しい、怖い、うんざり、切ない、もどかしい、惨め

<身体反応>とは

<身体反応>とは身体の内部や表面に現れる生理的な反応のことです。
これも言葉だと説明難しいので例をあげます。

手足が震える、心臓がバクバクする、頭がふらふらする、めまい、疲労感、息苦しい、呼吸が早くなる、お腹が痛くなる

<行動>とは

<行動>とは、外側から見てわかる振る舞いのことです。
先ほど、身体反応の例で「手足が震える」と書きました。
これが寒さで震えているのだとしたら
「手に暖かい空気を送る」は行動になります。

横になる、電話をかける、「うるさい!」と叫ぶ、お茶を飲む、携帯を見る、音楽を聞く、読書をする、深呼吸をする

相互作用的にとらえることが大事

ストレス状況(ストレッサー)とストレス反応の4領域はお互いに関わりあっています。

OCDサポートから引用

一つ例をあげましょう。

自分は今カフェでこの記事を書いています。
店内は暖かいですが、外から人が入ってくると
ドアが開き、冷たい空気が店内に入ってきます。

このような状況を、
先程のモデルで考えていきましょう。

<ストレス状況>
外から人が入り、冷たい空気が入ってくる

<身体反応>
身体が震え、手がかじかむ

<行動>
手を口に当て、暖かい空気を送る

<認知>
「寒いからドアを開けて入店しないでくれ」と思う

<感情・気分>
入ってきた人にイラっとする

<行動>
寒い環境に耐えられず席を変える

上の例では席を変えて、なるべく寒いところから移動して<ストレス状況>に対して働きかけました。

それ以外にも店員さんに「店内の温度を上げてほしい」と頼むことで<ストレス状況>に対して働きかけをすることもできます。

このように、ストレス状況とストレス反応は相互作用的に関わっているのです。

<コーピング>ストレスに対処する

ストレス反応に対し、何かしらの対処をすることを「コーピング」といいます。
先程の例でいうと、手に暖かい空気を送る、席を変えるなどの<行動>がそうですね。

このコーピング(意図的な対処)は
実は<認知>と<行動>に働きかけることしかできません。


今、自分の中で辛い気分をいきなりハッピー変えることはできませんよね?
心臓の動悸が早いから、80bpmの鼓動にしようと思ってもできませんよね?
(呼吸は意図的に遅くすることはできますが)

<認知>というのは
実は「思い直し」ができます。
先ほど、このような例がありました。

<認知>
「寒いから店内に入ってこないでくれ」と思う

<感情・気分>
入ってきた人にイラっとする

これに対して
「駅前の店舗だし、人が入ってくるのは当たり前か。まあしょうがないや。」
と思い直すことで、少しイラっとした気分もおさまるかもしれません。

このような「思い直し」を
認知再構成法」といいます。
それはまた別の記事で取り上げます。

コーピング(意図的な対処)は
<認知>と<行動>にしか働きかけをすることしかできません。
だから「認知行動療法」なんですね。

セルフモニタリングしてみよう

上の例のように自分のストレスを分析することを「セルフモニタリング」といいます。

これができるようになると、自分が今苦しんでいるモヤっとした感じが客観的に把握できて、少しだけ楽になることがあります。

ここでまた、自分の例をあげます。

自分はインターネットで仲良くなった友達とTwitter上でDMをしていました。仲良くなってきたのもあり、話の流れの中で自分は元々精神疾患を持っていたことを打ち明けました。しかし、DMはそこで止まってしまいます。

<ストレス状況>
①精神疾患にかかっていた過去を打ち明けたが、相手から返信が返ってこない

<認知>
②「やっぱり自分は人から理解されないんだ。精神疾患ってだけで人から引かれるのか、自分が悪いわけじゃないのに。改善するために今まで頑張ってきたのにな。何で信頼してDMでカミングアウトしちゃったんだろ。」

<身体反応>
③心臓がバクバクする

<気分・感情>
③悲しみ80%、後悔80%、パニック20%、怒り20%
↓ 
<行動>
④20分後メールを見返す。

<ストレス状況>
④メールはまだ返ってきていない。

<認知>
⑤「ほらやっぱり自分なんてずっと独りぼっちなんだ。」

<気分・感情>
⑥悲しみ90%、孤独感70%

おおよそこんな感じです。
自分が悲しさや孤独感を感じたのは
実は自分の<認知>が原因だったんですね。


今回は折角なので、この時実際に自分が実践したコーピングを書きます。

・Twitterに人から見捨てる不安が沸々としていることを書く。

・「何で返信返ってこないんだー」と布団に包まって叫ぶ

・好きな音楽を聞く

・思い直しをする。
「相手はDMを見ていないだけかも」
「相手は自分の教えた疾患について調べているのかも」
「自分の急なカミングアウトに戸惑って、何て返信しようとしているか困っているのかも」
「このストレス、記事の【ネタ】にすればいいのでは」

・セルフモニタリングをする

・辛い状況を認め、自分を慰める(猫と対話)
自分「ごま、返信が返ってこなくて辛い」
猫(ごま)「そうか、それはつらいニャ」
自分「わかってくれる?辛いんだよー」

・スプラトゥーンをやる

この後、この子からは「辛さをわかっている人の方が人に優しくできるよ」と返信きました。
めっちゃええ子やん。自分が悩んでいたのは一体何だったのか(笑)

セルフモニタリングのコツ

セルフモニタリングは頭の中でやろうと思っても、なかなかうまくできません。
なので紙に書いたり、携帯などのメモを使うことをおすすめします。

自分もうつ病の時は、紙に手書きで沢山書いて自分を観察してました。
自己観察したことを紙に書くことで
外在化」することが出来ます。

また、このようなシートにまとめることも
自己理解を深めることが出来るのでいいですね。

Ⓒ洗足ストレスコーピング・サポートオフィス

この作業は自分を客観的に眺めるスキルを高めることに繋がりますよ。

認知を書き出すときには、正直に書くこと。
自分をごまかしていい人になろうとしてはいけません(笑)

最初は自分の<認知>をつかむのが、難しいかもしれません。
そういうときは「マインドフルネス瞑想」というのが役立つかも。

マインドフルネス」に関しては気が向いたら、別記事にまとめますが、ここでは簡単にできるものを教えます。

「呼吸にずっと意識を向ける。呼吸から意識が逸れたら、また呼吸に意識を戻す」というエクササイズです。

この記事を読んだだけでは
セルフモニタリングはできるようにならないので、ぜひ実践してみてください!

今回は認知行動療法のセルフモニタリングの紹介でした。
この記事は以下の本を参考にして書いてますので、よかったら読んでみてください。

自分で取り組めるワークブックもあります。
※スキーマ療法と書いてますが、
Book1の内容の8割は認知行動療法に関してです。

しつこいですが、よければ自分のうつ体験談も読んでみてね。

こんな長い文章を読んでいただきありがとうございました。

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