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【変えたい常識シリーズ】体は柔らかいほど健康的?

【柔軟体操】

体の専門家としては一般の方の常識に違和感を覚えることは多々あります。

今回は「柔軟性」に関して。

体が柔かい方が健康的という常識がありますね。柔軟体操を必死こいてやっている人多いですよね。ヨガも柔軟なほどいいと思って練習している人は多いでしょう。

でも、、、柔軟性は医学的には度が過ぎると「関節のルーズニング」といって、関節の不安定性の原因として問題視されます。

何事も限度があるんです。

関節の柔軟性の限度は基本的に関節関節可動域と言って、整形外科・リハビリテーション科の医師たちによって世界的に範囲が定められています。

【関節のゆるさ】

関節のルーズニングを実は先天的に持っている人がいます。

関節弛緩性、英語では「Laxity ラキシティ」と言います。

ラキシティは「反張膝」、「肘の過伸展」、「足の過背屈」、「親指の過剰掌側外転」、「指の過伸展」でワインデイビスの5徴候と言います。

この方々は、関節がもともと緩いので、新体操やバレエ、ヨガなどでは楽にポーズが取れると思い、一見向いていると思いがちです。

しかし、関節が不安定なため、動きすぎて関節に痛みや障害を起こしてしまう確率が高くなります。

【変形性関節症】

歳をとると、変形性関節症という病気が増えます。これは関節が劣化して、軟骨や関節円板の減少、消失によって、骨同士が擦れ合うことで関節が崩壊して行く疾患です。

関節のルーズニングの方、ラキシティの方はこの関節症のリスクが高いということです。

変形性股関節症は関節症が股関節に起こるものですが、その8割が臼蓋形成不全という、股関節のルーズニングによって引き起こされています。

そういう意味では、臼蓋形成不全の方がその事実を早い段階で知っていれば、関節症にならずにすむのです。つまり予防できる疾患です!

現状ではそのような医療システムはできていません。痛みが出たらレントゲンを撮って初めて気づくという状態です。

歯が痛くなってから初めて気づくのと一緒です。予防歯科かがあるように、本来は予防できるのに、残念な現状です

ヨガなどで、臼蓋形成不全なのに股関節を柔らかくしたいといって柔軟体操をしている方を見るといたたまれなくなります。自分でわざわざ関節症になろうとしているわけですから、、、。

僕のヨガの先生(60代)が、こう言ってました。「僕の周りの友人は今ことごとく人工股関節の手術をしているよ。ヨガが体にいいと思ってやってきた結果がこれだよ。今僕らはヨガを継続すると何が起こるかを証明しているんだ。Naotoは股関節をどんどん柔軟にするようなヨガ指導はしちゃダメだよ。」そう指導されました。

分かりますか?関節のルーズニングは全てがいい事ではないのです。特にヨガの指導者、ストレッチを指導している指導者には心に留めておいて欲しい事実です。

【予防方法】

では関節が緩い方は何をすれば関節症を予防できるのでしょう?

それは、筋肉をつけることです。関節が緩いというのは、靱帯が緩いのと同じことです。靭帯は他動的な安定化機構ですが、人には自動的な安定化機構もあります。

それが筋肉なのです。

関節周りの筋肉ですから、以下のものが重要です。

  ・肩なら回旋筋腱板
  ・股関節なら深層外旋六筋腸腰筋中殿筋
  ・膝関節なら大腿四頭筋の中でも広筋群ハムストリングが重要です。
  ・腰部なら腰方形筋腸腰筋
  ・頚部なら舌骨下筋群、頚直筋、斜角筋など。

股関節のルーズニングの方は、骨盤の傾斜はリスクを高めます。ですから脚長差などには敏感になる必要があります。

一般の方の常識が変わることを祈ります。


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