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【臨床日記】理学的検査と理学的診断の重要性

医師は主訴を持ってこられた患者さんがこられると、まず問診をして、そこから想定される疾患をある程度決め、それに即した検査を依頼します。
その後、検査結果をみながら疾患の重症度や疾患を特定し、次に必要な処置や対処方法を決定します。

どこの施設もこの流れは一緒でしょう。

一般的に言っても専門的に言っても当たり前の流れです。

では理学療法、リハビリテーションはどうでしょうか?
医師の診察ののち、リハビリの方に患者さんと一緒に指示箋がきます。

内容的には、運動療法の指示やリスク、禁忌、ゴール設定などが記載してあります。
その内容に沿って、いわゆる評価を行なって治療方法を決定します。
ある意味医師の流れと一緒ですね。

理学療法での評価項目はこちらの書籍の目次が参考になると思います。

ただどうでしょう?
神経学的な検査や整形外科のスパシャルテストと言われる診察の補助となる検査は本当に理学療法士がすべきことでしょうか?

医師の検査結果を参照するときに必要な知識であることは間違い無いですが、臨床的に理学療法士がするものはこの項目の中では本当に一部です。

僕が思うところですと以下の項目くらいでしょう。

  • 情報収集

  • 形態測定

  • 反射検査

  • 姿勢反射検査

  • 協調機能検査(運動失調)

  • 疼痛の評価

  • 歩行観察 

  • 10 m歩行テスト(10MWT)

  • 片脚立位

  • 臼蓋形態評価

  • パトリックテスト(Patrick Test ; Faber Test)

  • 下肢伸展挙上テスト(SLRテスト)

  • ニアーのインピンジメントテスト(Neer Impingment Test)

  • ホーキンス─ケネディのインピンジメントテスト(Hawkins-Kenndy Impingment Test) 

  • 心胸郭比(CTR)

  • 心電図の基本事項

  • 心拍数(脈拍)、血圧測定 

  • 呼吸不全の分類呼吸不全の分類

  • 呼吸困難の評価(Borgスケール)

  • 腹式呼吸の熟達度(千住らのGrade評価)

  • 肺活量測定(肺気量分画)

  • 努力肺活量測定(努力呼気曲線)

  • 努力肺活量測定(フローボリューム曲線)

  • 換気障害分類

  • 代表的な胸部X線所見

  • 胸郭の形態(変形)評価

  • 胸郭拡張差の正常値

  • 呼吸数とパターン

でも、上記の検査で理学療法的な問題点は明確になるのでしょうか?
甚だ疑問です。
なぜなら、上記の評価のほとんどは結果を数値化しているにすぎないからです。
情報収集もありますがどこまで突っ込んでいるかは疑問ですね、、、。
まぁ書籍を読んでみないと分かりませんが。

数値化に関しては、例えば痛みを数値化したところで、その痛みの原因は分からないですよね。
片足立ちの時間を測ったところで、そのバランス不良の原因は分からないのです。
原因が分からないのに、最適なアプローチが決定できるのでしょうか?

形態を測定することは条件ですので、必須です。
でもこれもそれだけではどうしたらいいかは分かりません。

僕が言いたいのは、数値化は重要だけれども因果関係を明確化する評価がなければあまり意味はないということです。
正常値か異常値かを明確にすることと、原因を明確にすることは違う過程なのです。

評価というものをもっと概念的に分類すべきです。
まずは2分類。

  • 現状を数値化して客観化する検査

  • 現状を引き起こした原因を明確にする検査

数値化は効果判定などに重要ですし、痛いというその程度を共有するために重要です。

原因追求には、既往歴から現病歴までの問診、生活習慣の聴取が必須です。
また、歩行は観察ではなく、分析が重要です。
この分析とは、他の検査結果との照合であり、起こっている現象について矛盾のない説明ができるかどうかです。

多くの現場では、原因追求はせずに、取り敢えずの対症療法で国民のお金である医療保険を使っているということになります。
それ大丈夫ですか?と国民に聞きたいですね。

ちなみに理学療法士協会の標準評価はこちらになります。

これがスタンダードなら理学療法の特殊性は無くなりますね。
なんのスペシャリストなのでしょうか?

逆に、セラピストの評価に価値を持っているところも稀ですがあります。
こういうところいいですね。

ここで仕事しているセラピストは幸せなんじゃないかなぁ。
自分のしたいことと、お客さんの利害が一致している。
我慢するわけでも偽るわけでもなく、医師から理不尽に咎められるわけでもなく、、、。
真っ当な仕事ができるクリニックなどは実際少ないですよ。
患者さんの立場からは考えられない事実かもしれませんが、医療なんてそんなもんです。
科学と言いながら医師の威厳を保つためにコメディカルを駒としてしか使わないところは多いです。
そもそも医師のシラバスにリハビリテーションはありませんし、コメディカルの理解なんてありませんから、、、。
俺の指示通りに動け!では、運動療法の専門家の出る幕はないわけです。

僕はよく後輩に言うんですが、運動療法や保存療法を理解してくれる医師は貴重なので大切にしてねと。
日本では医師の指示のもとでしか医療保険は理学療法士は使えないので、そこはわきまえつつ、相互理解ができる貴重な医師と理想的な医療を提供しようねと。

僕は自費で独立しましたが、本当は医療で予防をしたい、予防運動の考え方で医師と対等に意見し合い患者さんファーストで仕事をしたいと思っています。
中々予防運動に賛同してくれる医師は現れませんが、生涯を通じて諦めずにパートナーを見つけたいと思っています。

理学療法評価と医師の検査は違うのです。
専門家がお互いに尊敬して対等に患者さんのために活動できる体制が増えることを願います。


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