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予防運動関連まとめ

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予防医学を運動の側面から実現するのが予防運動療法です。予防運動の考え方や啓蒙のための記事を集めました。
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2021年1月の記事一覧

【啓蒙】姿勢を確認する前屈テストはぜひ数値化を

前屈テスト(FBT;forward bending test)は側弯症(scoliosis)の評価法として有名です。学校検診でも奨励されているものです。前屈した状態を後ろから観察して背中の隆起(hump)の左右差を確認するものです。 ここでみられる隆起は、胸部は肋骨の隆起で、腰部は肋骨突起の隆起です。これは脊柱の回旋(捻れ)を示しています。 場合によっては、筋肉の張りによる隆起のこともありますので骨の隆起かどうかを確認する必要はあります。 側弯症の場合レントゲン像による

【日記】正常を語ると同時にノーマライゼーションに想いを馳せる

僕は予防医学(特に筋骨格系の障害予防)を広めようと人生を過ごしています。そうするとどうしても「正常とは!」という話になります。 「異常とは、正常からの逸脱」と考えるからです。 正しい姿勢とは? 正しい歩き方とは? 正しい呼吸のあり方とは? 正しい心の状態とは? 正しい生活習慣とは? 正しいが連発されてしまいます。その正しさを生物学や比較解剖学、進化学などから学び、先住民や文化から学ぼうとしています。 しかし、この正しいという表現には、常に正しくない、異常という言葉が対

【PT日記】養成校教育と臨床の知識の大きな違い〜筋肉編〜

たくさんあるのですが、今回は筋肉について。 学校では筋肉を並列で習います。例えば、腸腰筋と大腿四頭筋、中殿筋、深層外旋六筋を羅列して、それぞれ股関節の屈曲筋に、膝の伸展筋、股関節の外転筋、股関節の外旋筋と説明します。 簡単にいうと、筋肉に優劣がないということです。 でもですね、実際の臨床では完全に優先順位があるのです。 僕からしたら、ヒトとしてなくてはならない最優先の筋肉は腸腰筋です。並列で紹介される様な筋肉ではありません。もう完全に主役なんです。かつ、空気のような主

【PT日記】矢状面の崩壊は前額面として代償される

変形性膝関節症の方や股関節疾患の方々は、左右に揺れるような歩容を呈します。デュシャンヌ様破行やトレンデレンブルグ破行などと表現されることもあります。 この左右の動揺は、前額面上で起こっているものですが、多くは矢状面上の機能不全の代償として起こってきています。 これを前額面上の問題として対応してしまうと、支離滅裂な運動指導になってしまいます。 例えば、中殿筋が弱いから鍛えようとか、内転筋が効いていないので鍛えようとかです。または、足の問題だからインソールで外側ウェッジを入

【PT日記】運動療法の結果とは何か?

よく理学療法は臨床家として、結果が大事だと言います。職人的な感じですね。「結果を出さないと!」とか「結果を出せるために手技を勉強する。」とか。 僕も若い頃はそうでした。結果が全てだと。 今でも患者さん、クライアントさんと関わるからには結果を出す!という思いは同じです。でも若い頃とは、結果の意味が違っています。特に予防運動の世界に飛び出してからは、、、。 多くの方の使う結果という意味は「症状の改善」のことでしょう。結果とは症状の改善ではないということに気づきいました。

【日記】上を向いて歩こう〜首と胸の機能チェック〜

永六輔さんと坂本九さんで有名な曲のタイトルですが、これ健康のためにもとっても重要なことですね。 人の首の筋肉は結構貧弱です。頚椎には棘突起というでっぱりが存在しますが、人は触れないくらい小さいのですが、類人猿は腰並みに大きいです。これはそこに付着する筋肉の大きさに比例するので、人は首の筋肉が弱いということになります。 詳細はこちらの記事を参考にして下さい。 そして、類人猿は背中が丸いのが特徴ですね。なので、上を見上げるには適していません。長時間上を見続けられるのは、ヒト

【啓蒙】親として子どもの体に対して日常的に意識すべきこと

パーソナルレッスンにいらっしゃる方の中にはお子様もいらっしゃいます。親御さんも当然同席されます。その中で、アセスメント結果や歩行動画を一緒にみながら分析の詳細をお伝えすると、「なんか変だと思ったんだけどここまでとは!」と驚かれる方も多くいらっしゃいます。 そうです、気づかないうちに子どもの姿勢は偏位したり、成長抑制が起こったり、骨格的な偏り(いわゆる歪み)が生じたりしているのです。 親として子どもの姿勢や骨格に対して、観察する、修正するなどの責任というか役割があります。

【日記】意識的に行うなら有酸素運動

体力は年齢とともに低下するものですが、その中でも低下するのは持久力です。瞬発力は持久力に比べるとそこまで落ちません。 体力については健康長寿ネットの記事を参照して下さい。 結局、老化は呼吸循環器系ということになりますね。それに伴って筋持久力も低下します。 正しい姿勢をとっていると、そもそも筋力はほぼ低下しません。筋力低下という言葉に関しても少し再考が必要です。筋力低下に関しては以前の記事を参照して下さい。 正しい姿勢は正しいアライメントですから、筋力低下は起きないはず

【PT日記】筋力低下についての一考察〜アライメント性筋機能不全〜

筋力低下という言葉は、日常でもトレーニングや運動指導、運動療法でもよく用いられる言葉です。正常の筋力よりも低下しているという概念です。 医療では各筋肉ごとに抵抗をかけて筋力の強さを測る検査法が設定されています。有名なのはMMT(徒手筋力検査法 Manual Muscle Testinig)で、国家試験でも必須の項目です。 または機器を用いて数値化したりします。どちらにせよ、筋力を抵抗値として測定します。このような筋力低下は、様々な原因で起こる神経麻痺や筋肉の崩壊などによる

【紹介】バランスロッカーのトレーニング動画をアップしました

とことん攻めるバランストレーニングです。スポーツパフォーマンスの向上だけでなく、歩きに特化した運動療法の補助具としても用いることができます。 足のストラテジーの機能向上並みならず、体幹との連動、直立二足歩行というヒトならではの姿勢戦略の再構築を目指しています。 楽しみながら体が整う、姿勢が整う、歩きが正しくなる!そんなバランストレーニングを目指しました。 まだ生産数に限りがあるので一般販売は未定ですが、まずは熱意のある方々を集めて、認定マスタートレーナー講座を開催します

【症例紹介】重心の位置を修正するだけでここまで変わります

同じ日のパーソナルレッスンの前後の違いです。実際は、問診などのアセスメントが中心ですので、エクササイズなどはほとんどしていません。 ご本人の現状を把握して、理解してもらい、自覚してもらって上でどこを修正すべきかを歩行の修正を通して感じてもらったときの動画のスクショです。 どこが違うかわかりますか? どっちが今までで、どっちが修正歩行でしょうか? 左が来店時で、右側がアセスメント後の修正歩行です。 明らかに右の方がいいというのは分かってもらえると思います。 外側スラ

【日記】ピラティスって何が特徴なのか?

ピラティスというエクササイズの目的は、姿勢改善や動きの効率化、関節などに負担のない動きの獲得、そしてリハビリテーションのような機能改善などであり、一般的にはマットエクササイズと機器を用いたエクササズに分けられます。 もともとダンサーに支持されて、ダンスの基礎的な体作りや、怪我からの復帰のためのトレーニングとして発展してきましたが、考案者であるジョゼフ氏は人類の健康を常に念頭に置いていたのは間違い無いでしょう。 養生訓的な事を記していることから、少しお節介な、でも言わずにい

【日記】坐骨を感じよう〜ここ・ざこつ〜

坐骨という骨はほんとんどの方が知っている骨だと思います。座る骨と書くのでそのままですね、座る時に一番出ているお尻の骨です。 骨盤の一番下ですね。 この骨は簡単に触れることができます。 椅子に座って、お尻の下に手を入れていみましょう。そうすると手の指に固い骨が当たるはずです。 そして骨盤を前後に傾けると、その手の当たる圧力が変わると思います。 一番骨盤が起きて体が伸びる位置にすると、その手を押す力が一番強くなります。ということは逆も然りで、手を当てて一番強く押されると