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33課メモ「命令形」「禁止形」『みんなの日本語』

まず、大前提としてこの課の(該当部分の)目標は

・指示、命令を理解することができる。(『みんなの日本語初級Ⅱ第2版教え方の手引き』より)

もちろん、手引きの通りにしなければならないわけではなく、それぞれの機関で目標はちがうのでしょうが、ひとまず、ここでは、ほかの課のように「言える」とか「伝えられる」とか話すことが目標ではなく、理解できることが目標ということで話します。

「命令形」「禁止形」自体は作り方も単純でそう問題はありません。(いうまでもありませんが、「命令形」と「禁止形」を同時に記載していますが、実際には別々に導入します)

問題は場面でしょうか。教師が女性である場合、自分が言う言葉として導入するのはむずかしいので、私は、学生たちが「時には厳しいことも言われるけれど大好きな男性」に登場してもらいます。

例えば、バイト先の店長とか。バイト中に地震が起こったら、何と言われるだろうかと考えてみてもらいます。

「机の下に入ったほうがいいです」「危ないですから、動かないほうがいいです」「火事になるかもしれません。逃げてください」

そんな、悠長な!

ここは短く強く!「机の下に入れ!」「危ない!動くな」「火事だ!逃げろ!」

形の名前は「命令・禁止」だけど、必ずしも強制力の強さを表すとはかぎりません。その意味で、登場人物を普段から高圧的な怖い人にせず、店長さんはバイト生のことを思っていっていることが伝わるといいと思います。

あとは、イラストで命令形や禁止形が使われる場面をみせて、場面のイメージを広げておくといいと思います。

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どうでしょう。サッカーの場面は練習Bにもあるので、教科書は見せずにこの2人は何と言って応援しているか出しあいます。その他、それぞれのイラストの人達が何と言っているか想像して言ってみたりします。警察官の「在留カードを見せろ」という例文が学生から出てきた時はびっくりしましたが、そんなこともあるかもしれません。(予想される例:頑張れ、負けるな、行け、走れ、戻れ、いれろ、手を挙げろ、金を出せ、動くな、しゃべるな、早くしろ、泣くな、元気を出せ、見せろ、止まれ、待て、心配するな、下を見るな、あきらめるな、など)

それから、『みんなの日本語』には「〜なさい」という表現が出てきません。でも、学生はアルバイト先などで、「これ飲みなさい」とか「帽子をかぶりなさい」「いるなら持って帰りなさい」などとよく言われているようなので合わせて、紹介したいところです。

上のイラストだと、「待ちなさい」とか「元気を出しな」「やってみな」などありそうです。『大地』には、お母さんが子どもに「早く起きなさい」とか「早くしなさい」などと言っている練習があります。言う練習まではせずとも、聞いてわからなければ困ったり、せっかくの好意を受けとれなかったりするかもしれません。

教科書の練習を離れた表現を紹介しましたが、理解できればいい表現なので、それほど時間はとらないと思います。

もう一段階上まで目指せるなら、「待ってくれ」「教えてくれ」といった「くれる」の命令形や、「待ってろ」「押さえてろ」といった「ている」の短縮の命令形、「やっとけ」「言っとけ」という「ておく」の短縮の命令形まで広げてもいいですが、通常33課の段階で、ここまでしなくてもいいと思います。

注意点としては、男性が使う言葉であると明示しますが、現代の中高生女子は案外使っていますから、あまり強く言わなくてもいいかもしれません。『千と千尋の神隠し』のリンが「油断するなよ、わからないことはオレにきけ」と言っていましたが、あのイメージです。もちろん、男女ともに丁寧な話し方をしなければならない場面では使わないほうがいいことはつけ加えます。

命令形・禁止形と聞くと、強制力の強い表現をイメージしてしまいます。でも、これならどうでしょう。

「こっちを見ろよ。待て。行くな。一人で決めるなよ。こっちに来い。ここ座れよ。もう無理するな。言いたいことはちゃんと言え。わからないことは俺に聞け。少し休めよ。泣くな。我慢するな。何でも俺に話せ。ずっとそばにいろ。」

どんな場面かはご想像にお任せします。

これが初級でわかるって、ちょっと嬉しいと思いませんか?

では、今回はこのへんで。「いい夢見ろよ」

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14課メモ「動詞のグループ分け」

17課メモ「~ないでください」

18課メモ 「~ことができますか」

19課 16課 5課 メモ

21課メモ「~しないと」

23課メモ「問題」

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27課メモ「可能動詞」1 ・27課メモ レベル差