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君は美しい HGYMワンマンライブ「-5 Anniversary Concert」2021.12.5 青山月見ル君想フ ライブ感想

それは11人が紡ぎ繋げた1年9ヶ月。僕は多幸感に会いに来た。


12月5日、大好きなHGYMのライブに行って来ました。
たくさん笑ってたくさん泣いた2時間を忘れないために、ここに残しておきたいとおもいます。


HGYMって?/セトリなど

まずはHGYMというバンドそのものを知っていただきたいので、簡単に紹介させてください!

HGYM
2016年12月8日に虚血性心疾患で急逝した音楽家・橋口靖正。彼は稀有な音楽的才能と愛すべき人柄で多くのアーティストに慕われてきた。
そんな橋口が生前に残した素晴らしい楽曲をよりたくさんの人たちに届け、広めることを目的とするバンド、それが「HGYM」。
これまで追悼イベントを開催してきた”HGYMモテ計画”のメンバーが中心となり、バンド形態にしてよりフットワーク軽い活動をしたい!という願いから2018年3月14日に結成された。
言い出しっぺは上の4人[中澤寛規(GOING UNDER GROUND)、磯貝サイモン、岡田梨沙(ex. D.W.ニコルズ)、はまちゅんこと濱口尚]であるが、橋口の音楽を愛するミュージシャンが続々と集まっており、メンバーは増える一方!

http://hgym.jp/

この日のHGYM:
Dr&Vo.岡田梨沙/Ba.出口博之/Vo.桃野陽介/Key&Vo.磯貝サイモン/Gt&Vo.中澤寛規(GOING UNDER GROUND)/Vo.ワタナベタカシ(meiyo)/Vo.近藤美里/Gt.カトウタロウ/Gt.平田崇/Hc.はまちゅん

参加メンバーは、学生の頃邦楽ロックが好きだったアラサーの僕にとってはすごく豪華。この日のメンバーで最近は固定化されてきています。
最年少ワタナベタカシことmeiyoくんは今年TikTokでバズった売れっ子です。

セットリストは下記()は担当ボーカル敬称略

◆第一部
シャナナナ (vo.中澤寛規)
(-5) (vo.桃野陽介)
Your Father(vo.桃野陽介)
Gifts(vo.ワタナベタカシ)
シンクロナイズドテレパシー(vo.桃野陽介)
ウォーリー(vo.磯貝サイモン)
《VTR》
◆第二部
Top of the world (vo.中澤寛規/近藤美里/カトウタロウ/岡田梨沙)
メグ (vo.桃野陽介 ラップ/はまちゅん)
Kind of crossover (vo.桃野陽介)
朝の光 (vo.桃野陽介)
◆アンコール
春色の君はかわいい (vo.桃野陽介)
Noel (vo.桃野陽介)
HGYM (vo.桃野陽介)


1年9か月振りの有観客ライブ

前回の有観客ライブは2020年3月14日。コロナ禍に入ったばかりでウイルスへの漠然とした恐怖感が一気に広がっていった頃でした。

当日の朝までライブを見に行くか、見に行ってもいいのか悩みに悩んで参加した。その結果、幸いクラスターになることもなく、僕や一緒に足を運んだ彼女のどちらも感染することなくライブを楽しむことが出来た。

そんなライブから1年9か月振りのライブがこの日だった。
前回の開演前の会場は緊張感でピンと張りつめた空気で、誰もが足を運ぶことに悩んだり、足を運ぶことに責任感を持ってその場にいることが伝わってきていた。心なしかマスク越しにひんやりとした冷たささえ感じていた。比べて今回はとても和やかで。控えめながらもおしゃべりを楽しみながら開演を楽しみにする人が多く、そうでない人でもあの日の緊張感は感じられなかった。少しだけコロナ禍以前のHGYMのライブに戻りつつあることを感じて、ホッとしながら入場口から吹き抜けの階下にあるフロアに降りた。

この日のライブはタイトルにもある橋口さんのアルバム「(-5)」(フラットフィフス)の発売5周年を記念した公演で、セットリストも本編はこのアルバムと同じ曲順になっている。
アルバムは最近サブスクでも聴けるようになったのでよかったら聴いてほしい。損はさせない。


開演。
1曲目は中澤さんがボーカルを担当する「シャナナナ」。セトリにも書いたけれどボーカルを担当出来るメンバーが豊富なのもHGYMの数ある魅力のひとつだ。
中澤さんの底抜けの明るさとチャームポイントの特徴的な歌声が、一瞬で僕たちをHGYMのハッピーな世界観に引っ張り込んでくれる。まるでおもちゃ箱に飛び込むような感覚。久しぶりのHGYM。またここに来れてよかった。
曲のラストの「最上級の未来約束するぜ」という歌詞は、橋口さんそのものなんだと思う。だけどその上で、とても中澤さんに似合うフレーズだとも思う。GOING UNDER GROUNDにしろ、同じくHGYMメンバーのカトウタロウさんと組んでいるユニットのナカザタロウにしろ、中澤さんはいつだって楽しいことを有言実行してくれる。そんな頼もしさがある。
はまちゅんのわちゃわちゃも久しぶりでワクワクが止まらない。

あの男をを忘れちゃいないか、なんて問いかけから2曲目「(-5)」。
イントロのフレーズを歌いながら一つ上のフロアから飛び出す桃野さん。定番になってきた演出がこれまた嬉しい。HGYMのライブに帰ってきたと思える。
声を出せなくてもサビで手を左右に振りながら、観客の楽しんでいる想いはきっとステージ上に伝播したんじゃないだろうか。ぐっと会場がひとつになっていた。なんてドラマチックなボーカルなんだろう、桃野さんの歌う姿はそう思わせる唯一無二さがある。(それなのに静止画にも映えるから最高なのです)歌声というか歌うその姿そのものがドラマチック。手の癖も相変わらず(タロウさん曰く「手のシャドウ」)。
最高にかっこいい。かっこいい方のHGYM!可愛い方のHGYMも好き!(春色の〜とか)

メンバー紹介を挟み、打って変わってしっとりとした3曲目「Your Father」。
結婚式を迎えた娘の巣立ちを見守る父を歌ったこの曲で、桃野さんは姪御さんのことを思い浮かべるのだろうか。少し頼りなさのある、だけど娘思いな父親像を愛情たっぷりに歌い上げた。
以前のHGYMでの弾き語りイベントではりっちゃんこと岡田梨沙さんがこの曲を歌っていた。娘側が父の気持ちを歌うように見えて微笑ましく、そして橋口さんを思って目を潤ませていたのがとても印象的だった。りっちゃんVer.も良かったけれど桃野さんVer.もなかなかグッとくる。なんだかすごく父親っぽさがある。お父さんが少し頼りない分しっかりした子に成長した娘の花嫁姿情景も浮かぶ
この曲を演奏しながら笑うメンバーが本当に楽しそうで、曲も相まって涙が込み上げた。多幸感が溢れすぎると、なんだか泣けてしまうから不思議だ。

4曲目は「Gifts」。
磯ちゃん(磯貝サイモンさん)のキーボードのイントロがかわいい。この曲はワタナベタカシがボーカルを務めた。代わりにコーラスは磯ちゃん&こんちゃん(近藤美里さん)のコンビ。
彼は最年少で唯一橋口さんと直接の関りがなかったメンバーだけど、そんなことを全く感じさせないのはそれだけ彼が彼なりに橋口さんの世界観を自分の歌声に乗せることが出来ているからだと思う。それは尊敬であり憧れであり、伝えていきたいという願いでもあって。
間奏含め桃野さんとはまちゅんが手拍子しながらわちゃわちゃしていたり、ナカザタロウのふたりがギター弾きながら目配せして遊んでるのが可愛くて。楽曲の世界観そのままの、なんとも優しい空気に包まれた。

続いて5曲目は「シンクロナイズドテレパシー」。
お馴染みりっちゃんの「あなたっていつもそう」のセリフから始まる。ここのりっちゃんかっこいいんです。
この曲は本当に切なくてかっこいい。桃野さんのドラマチックさが最高潮に達する曲だと思う。この曲を歌う桃野さんをなんて言ったらいいのか毎回悩む。筆舌し難い魅力が爆発している。切ない、の一言では済まない。縋るでもなく、切実さ、願い、もっと苦しみを抱えながら希望を絶対に手放さないような。そんな歌い方をする姿が本当にドラマチック。

6曲目もお馴染みの「ウォーリー」
相変わらず磯ちゃんはかっこよすぎてずるい。桃野さんは橋口さんを自分に重ねて歌いいている印象があるけど、磯ちゃんは自分のものとして歌っている様に感じます。ナベタカちゃんもかな?どちらも素敵なんですけどね。大前提として。
しっとりと歌い上げるのもいい。いつもいいのだけど。

ここでメンバーは中座。(-5)発売時のライブの映像と共にVTRが始まった。
3つの質問に対し、メンバーがそれぞれ答えていくと言った内容。
一つ目の質問は「橋口靖正の魅力とは」。
音楽性や歌声ユーモアのある人柄や周囲の人との繋がり方、姿勢と思い思いの魅力を語る。アーティスト性というより作家性に近い印象を受けました。(これは僕が執筆界隈にいるからそう感じるのかもしれないけど)
二つ目の質問は「アルバム「(-5)」を初めて聴いた際の思い出」。
橋口さんに初めて聴かせてもらったシチュエーションや-5というアルバムの持つ物語、おもちゃ箱、最後に「朝の光」を持ってくることによって見える人物像や難解なことをポップに容易くやっているように感じさせる橋口さんの名刺代わりのアルバムと語った。友人としてもファンとしてもこのアルバムの完成を楽しみにしていたこと、ミュージシャンとして自分も作ってみたかったかたち、とも。
最後の質問は「あなたにとって橋口靖正とは」。
「役者」「なかなか飲み終わらない友達」「革命」「追いつけない先輩」「スタンド」「恩人」「友達」「人生観を変えてくれた人」「かけがえのない人」「宝」
ここはまとめずにそれぞれの言葉を並べさせてもらった。メンバーの橋口さんへの想いをひとりひとりが自分の言葉で言語化していく様子が切なくてあたたかくて、Vが始まってからずっとうるうるとしていたのがこの質問でとどめを刺されてどっと涙が溢れた。誰がどれを言ったかは、想像してもらいたい。きっと当たるから。

第二部の始まりは「Top of the world」
Vで散々泣かせにかかったのをそっとかき消すようにちょび髭の中澤さんとこんちゃんのデュエット。そういえば生配信でメンバーそれぞれで橋口さんの曲を歌ったVTRを持ち寄った時も、中澤さんはこの曲をセレクトしていたなぁなんて思っていたらタロウさんも登場!りっちゃんとのデュエット。
曲あけのMCで照れ隠ししたのは何もこの曲で真面目にふざけたことだけではないことは、彼らを見てきた誰もが感じたと思う。

そこから「メグ」「Kind of crossover」と幸せに曲は進み、次第にアルバムの最後へと向かっていく。
アルバムと同じ曲順での進行は、アルバムの世界観をより色濃くすると同時に終幕へのカウントダウンも、アルバムを聴き込んだ分だけ明確にした。毎度毎度、こうも終わってほしくないと感じさせてくれるライブを演ってくれる彼らには感謝しきれない。

そして本編最後の曲は「朝の光」。
この曲を歌う桃野さんを見ると、毎回monobrightの頃の「別の海」を歌う桃野さんを思い出していて。曲中が切ないスローテンポだから、というわけでないのだけれどうまくそれを言語化できていなかった。それが今回のライブのVではまちゅんが「朝の光」を「(橋口さんが)自分にかえる曲」と表現してくれたことで、「別の海」も桃野さんが自分の原点へかえるイメージをどこか感じていたから「朝の光」を歌う桃野さんと重なってしまうんだと気づくことが出来ました。ありがとうはまちゅん。自分の感情や思考の紐付けや原点、理由を紐解くことに幸せを感じるタイプのオタクなので腹落ちできて良かった。
これからもHGYMの愛の歌を聴かせてください。大好きです。

アンコールは3曲。僕がHGYMにドハマりしたきっかけの曲、「春色の君はかわいい」。
クリスマス前のこの時期にぴったりな「Noel」、そして彼らのテーマである「HGYM」。
本当にあっという間だった。HGYMのライブは時間を早送りする魔法なのかもしれないなんて思ってしまうほど。
この日のライブも足を運んで本当に良かった。

この日の多幸感

ほぼほぼ箇条書きに近いかたちで感じたことを羅列させてください。

HGYMのライブについての記事で毎回書いているけれど、彼らのライブは一言で『多幸感』だと思う。ステージのひとりひとりと、橋口さんその人や橋口さんの楽曲への想いが毎回これでもかと詰め込まれていて。それでいてメンバーそれぞれへの尊敬も同じくらい感じられるのが観ていて聴いていてどこまでも幸せなんです。そんなわけでメンバー紹介で、みんなが揃っているところに改めて嬉しいと尊いがない混ぜになってた。
コーラス隊のふたり優しい世界すぎる。平和の塊じゃん。微笑ましい300%のかわいさ。
ギター&ベースの弦楽器隊の四者四様の“職人”感がはちゃめちゃにカッコイイ。それぞれタイプは異なるけど4人とも職人なんですよね。カッコイイ。最高。
りっちゃんかっこいいいいいいいいい!!!!HGYMの男性陣はみんな可愛いからりっちゃんが一番イケメンなのでは?と毎回思う。ドラム叩いてる姿ほんとかっこいいんだ。笑顔でかっこいいのだ。
もう全員の笑顔が尊い。ノンストップで尊い。最高。大好き。
ライブよ終わるな、終わらないでくれ。

1年9ヶ月。有人ライブが出来なくてもこまめに配信などで定期的に元気な姿と、楽しい企画を提供し続けてくれた。
この日のライブは単なる久々の有人ライブじゃなかったと、参加してひしひしと感じました。あれは、全員でHGYMという幸せを紡ぎ続けてくれた結果だった。楽しむことを、ファンと想いと時間を共有することを諦めなかったことの結晶だった。
1年9ヶ月の間には、メンバーを応援するファンの誰もが安否含めて体調などを心配したし、自身の健康を保つことでまた会いに行きたいと願った。元気で楽しくしている様子を見せてくれることがどれだけありがたかったか。

HGYM、ありがとう。これからの状況はわからないけれど、少なくともこのライブの日までHGYMを紡ぎ続けてくれてありがとう。
これからもとめどなく溢れる多幸感をライブで見せてください。

君は、美しい。




書ききるまでに1週間かかってしまった。けれど残してよかったと思う。



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