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ゴジラ -1.0がこんなに面白いなんて聞いてない

GW後半戦に入って間もなく。
離れて暮らす父を連れて午前中から築地にご飯を食べに行くべく、仕事へ向かうよりも30分ほど早く起きた。

眠い目を擦りながらリビングの扉を開けると、我が家へ前泊していた父が映画を観ていた。
Amazonプライムで公開がはじまったばかりの、』ゴジラ-1.0』。

「おはよう。」
「おはよ……ゴジラ観てんの?」

父はライトな映画ファンで、メインで見ているのはアクション映画や任侠物。これまでゴジラを観ているのはみたことがない。
だからこそなのか、たまには観てみるかと思って、と父。僕が起きる前にコンビニで買ってきてくれたらしいハムサンドを受け取り、なんの気無しに僕も一緒に観始めた。

場面はちょうど、アカデミー賞受賞時によくニュースで流れていた主人公たちが乗る小船をゴジラが追いかけるシーン。VFXの効果が素晴らしく、手がけたスタッフの技術の高さがよくわかる場面。

「あ、ここのシーンニュースでやってたよ。CGがすごいって。」

ハムサンドをもぐもぐと頬張りながら、ひとり言みたいに言いながら視線は画面に向けていて。そこまで興味はなかったはずなのに、食べ終えても立ちたくなく、仕方ないから着替える前にせめてメイクをしようかと顔をつくりはじめる。
しかし顔をつくり終わっても、僕はテレビの前から離れることが出来なかった。それどころか、「ゴジラってこんなに面白いの!!??続き気になって家出れないんだけど!!??」と父にやつ当たっていた。
これまでにちゃんと見たのは幼少期のタイトルも覚えていない映画と、シンゴジラだけの僕は、この日父との食事後別れたその足でまだ上演が残っていた劇場に足を運んでいた。

ここからはネタバレです。
面白かった部分をネタバレ全開で書きます。叫びです。










ニュースにもなっていた、上記の小舟でゴジラと対峙した場面。
CG凄すぎませんか。なんだあれ。本当にゴジラっているんじゃないかってくらいリアルだし、シンゴジラで見た時よりずっとゴジラが「獣」だった。獣の持つ理不尽さが全面に出てて怖かった。
自宅で途中まで(後半の援軍到着あたりまで)観た時は、「これは映画館で観たいやつ」なんて思ったけど、映画館で観たらめちゃくちゃ怖いじゃん!!!!!ゴジラめっちゃこわいじゃん!!!!!!迫力がある、なんてレベルじゃない。ゴジラいるじゃん(動揺)

銀座を歩くゴジラすんげぇ怖い。なんでゴジラって有名な観光地ばっか来るの?銀座和光ビルなんてめっちゃ銀座じゃん。一番銀座。お上りさんなの?かわいいなゴジラ。
でもいざ作戦決行しようとしたらゴジラが船を港に投げつけてくるの煽ってるよね絶対。煽り力も高いぜゴジラ。

個人的に農村部をドシドシ歩くゴジラは良かった。なんだか神様感がある。昔ばなしに登場する、鎮めなければならない神様ってきっとこんな感じ。ゴジラが神様で鎮められるなら生け贄だって捧げるんだろうな、なんて考えた。
思い切り踏まれていた民家の飼い犬も、よく見たら無事逃げられたようで良かった。こういう映画でペットが死んでしまうの結構辛いよね。
ところで銀座に現れたゴジラの残した肉片からは放射能の残量が強く見られたようだけど、ゴジラが歩いた後の田んぼは大丈夫なんだろうか。田植えのあとだったし、もちろんその年は耕したりなんだりできっと駄目なんだろうけどそのあとも稲作を続けられる土地なんだろうか。実家が兼業農家で、もうやめてしまったけれど以前は田んぼもやっていたので、車を他所様の田んぼに落としてしまったら大変という話は聞いたことがあった。ガソリンやなんかでしばらく農作に使えないから、車の持ち主はその分のお金を払うしかないと。だとしたら放射能を放つゴジラの場合はどうなんだろう。国は保障してくれるんだろうか。無事に逃げられたとしてもその後戻ることになった時、農家さんはちゃんと食べていけるのだろうか。妙に心配になってしまった。

銀座を歩くゴジラの場面でも典子の目がゴジラを捉えるとともにテーマ曲がかかってかっこよかったけど、後半の作戦中はもっと良かった。ゴジラが戦艦に向かって熱線を吐くとともにかかる。その演出があまりにかっこよすぎて鳥肌が立ちっぱなし。あんなのみんな好きでしょ。ずるいよあんなカッコいいタイミングと演出するなんて!自宅で観ていた段階ではこのシーンで完全にオチてた。面白い。面白過ぎる。ゴジラってこんなに面白いのか。なんでみんな教えてくれないんだ!!(八つ当たり

でもこの日こんなに急にマイゴジ(と言うらしい。さっき調べた。)にハマれたのは、以前シンゴジラを観ていたからだとも思うのです。シンゴジはアマプラに追加になった頃、比較的すぐに視聴していて。当時は働いていたブラック企業のある土地がゴジラにめちゃくちゃにされるのを面白がっていました。焼き尽くせ───!!!!と。弊社爆発せよ、な精神でした。だからかはわからないけれど、シンゴジラはゴジラ作品をほぼ履修したことがない状態でもかなり楽しむことが出来ました。新幹線に爆弾を載せてぶつけた後、今度は在来線にも爆弾をぶつける。なぜ新幹線→在来線の順かと言うと新幹線よりも在来線の方が爆弾を多く積載出来るからだ!なんて情報を当時のTwitterで観たりして興奮した。今思えばマイゴジよりもシンゴジはゴジラ自体のキャラクター感も強かったような気がします。蒲田くんとかまさに。ちょっとかわいさすらあって、「特撮映画のキャラクターだな」って感じがするというか。マイゴジはその点「ゴジラマジでいるのでは?」と錯覚してしまうリアリティがありました。獣特有の不条理さと、荒ぶる、人間の思うようにはなってくれないあの感じが自然災害を神様の怒りとして、時代がもっと古ければ神様として祀る感じが本当にいるもののようで。最後倒した後にゴジラが瓦解して海中に崩れ落ちていく様子も、土塊で出来た神様を殺める、神殺しのように見えました。そこが良いね。「ゴジラ」という名前も冒頭の島の現地人がそう呼称していたというのも土着信仰系のオカルト話・心霊怪談によくあるパターン。そのパターンも大体が神様に近いような人智を超えた“何か”であることが多いし、ゴジラもそうなんだと思わせた。
話は逸れましたがシンゴジラのおかげで、今回ゴジラ-1.0を観るにあたってのハードルがかなり下がった状態だったと言えます。シンゴジはゴジラ初心者の導入としてのポテンシャルがかなり高かったのだと思います。観ておいてよかったよ。ありがとうシンゴジラ。シンゴジラのおかげでマイゴジめっちゃ楽しめました。

個人的にはシンゴジラよりも関係各所の数が少ないのでストーリーにより集中出来たなと思います。
キャラクターもそれぞれとても立ってましたね。
主人公の敷島は演じているのが神木くんってところがもうハマり役だし、ハマり役通り越していっそ癖です。神木くんのための役だって敷島は。神木くんが元特攻隊員だよ?軍国少年の成れの果てだよ???似合うに決まってるじゃないそんなの!!!!
作戦参加後の敷島の、あの死に場所を探してるような感じも無鉄砲な強さと儚さが凄く……よかった……
典子と明子を家に置いてやる、一連の、あの三人が少しずつ家族になっていくところもとても良くて劇場で泣きました。(その後の展開を知った状態で観てるから)だから作戦開始後は艇長と一緒になって「明子ひとりぼっちにしたら許さねぇぞ!!」と拳を強く握りしめてスクリーンを観ていました。
自分の中の戦争が終わってないから典子を嫁に出来ない、というところも冒頭の特攻から逃げたり、島でゴジラを撃てなかった、「一歩踏み出せない」彼のキャラクターの一部になっていて切なかった。

僕は青木崇高さんが出ているともれなく惚れそうになってしまうところがあるので、今回も「橘さん……!」てなってました。島では整備兵仲間を想い、だからこそ撃てなかった敷島を恨んでしまう情の深さ、敷島にまっすぐ怒りを向ける強い正義感……好きです。
個人的にはもっと出てきてほしかったし、日本に戻って来てから彼は何をしていたのかとか、家族のこととか、ゴジラ対峙までの島でのこととかもっと知りたい。
橘さん(カッコいいめっちゃカッコいい好き)が敷島に会いに来たところもね。気絶させたり起こしたり忙しいシーンのその後!!!!!!
「あなたの戦争も、終わってませんよね」
って言われて踏みとどまってしまったあのシーン!!!!!!!
くぅ──────────────────ッッッ!!!!!!!!
良いシーン過ぎで自宅で巻き戻して観た。
橘さん、作戦決行というその時「生きたいみたいです」と言う敷島に、「あの日死んだ奴らもそう思ってた」って言った上で脱出装置の説明するんだよね。あの日死んだ奴らも生きたかったのだから同じようにお前も死ねではなく、死んだ奴らの分も生きろ、生きて良いんだぞなんだなと思うと涙が止まらなくなった。
だって敷島、ずっと死に場所を探してるようにしか見えないんだもの。橘さんにはそれがわかったんだろうな……だからきっと飛び立つ彼に向けた敬礼は、あの島で整備兵としてして繰り返してきた、命を送り出す敬礼とは違ったんだと思うよ。戻ってこいよの敬礼だったよきっと。
結局敷島のことも許しているし、彼にゴジラの脅威に曝されない未来や、仲間たちの仇、未だ終わってくれない橘本人の「戦争」を託せてしまうあたり心底情の深いいい男だなと思います。カッコいい。好き。

新生丸の三人も良いキャラでしたね。
艇長も豪快で義理人情の人で、水島くんはなんか無神経なところがあるのに素直でみんなの役に立ちたいって気持ちが強くて実行力も伴って頑張っちゃうからほんと憎めないし……
そして野田さんですよ。吉岡秀隆さんはやっぱりコトー先生のイメージが強いんですけど、なんですかあの色気は。吉岡さんもハマり役でした。へらっと柔らかく笑う温厚さと、武器の製造に携わってきて今回も作戦のブレーンとして活躍する時のギャップが良い。艇長や水島くんとのかけあいしてる時なんか、ほんとかわいい人なんだから、野田さん。艇長とやいのやいの言いながらも息が合ってる感じも良いし、水島くんが「小僧」って呼ばれるのを「その呼び方どうなんですかね?」なんて言うのに自分もしっかり水島くんのことを見守っているし、敷島が元特攻隊員だから無茶するのではと案じているのも彼の優しい人柄が色濃く出ていて良いなと思う。

忘れてはいけない、敷島のお向かいさん。安藤サクラ演じる澄子さんは、最初は意地悪そうで冷たい印象だったけど明子の存在をきっかけに、助けてくれて。メインではないけれどとても多角的に描かれた、すごく人間臭くて愛しいキャラクターだなと思います。だって普段生活してても、心から憎い人間って案外ひと握りじゃないですか。大抵は嫌いだわ〜という部分と、ちょっと良い人かも?なんて思う面の両方を持ってて。だからこそ人間関係って簡単には切れないことが多くて難しくて悩むじゃないですか。そんな多角的な人間性を映画のサブキャラとしてしっかり描けているのがとても好感を持てました。

はぁ……もっと感想は続いてしまいそうなのでこの辺で。
最後もね、ハッピーエンドなのがいいよね。エンタメ映画はこうでなくちゃ。きっと3人はこれから家族として生きていくんだろうなって希望をちゃんと抱えて帰らせてくれる……のはエンドロールで帰った方たちだけなんですが笑
エンドロールの最後、暗い画面に音だけでゴジラの足音が流れて。それがどんどん近づいて来て最後に大きな鳴き声で終幕するのも良いよね……僕が子どもだったらほんとに外にゴジラいるんじゃない?!って震え上がったと思う。嘘、大人の今でもそう感じました。

自宅で一度(途中から途中まで)、二度目は劇場で、昨晩三度目を家で観てもなおマイゴジは面白かった。たぶんあと50回くらいは面白いと思う。
ゴジラ-1.0がこんなに面白いなんて聞いてなかったけど、観れて良かった。今度四度目観ます。



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