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MANGA ART HOTELで“漫泊”してみたレポ

「マンガ読まないと損」な状況ってすごく新鮮でした。

満喫によく行く人の中にはもしかしたら暇つぶしや終電逃したとかって理由以外に、ちゃんと「マンガを読むために行く」人もいるんだと思う。だけど僕は人生で満喫に行ったことが3~4回程度しかない。マンガは大好きだけど、だからといって魅力的には映っていなかったんだろうね。
だからMANGA ART HOTELで感じた「マンガ読まないと損」って感覚が新鮮でわくわくした。


MANGA ART HOTELで漫泊!

MANGA ART HOTELは神田(駅は小川町や淡路町の方が近い)にある。
その名の通り漫画を読む宿泊で“漫泊”というのをコンセプトにしているホテルです。子どものころからマンガがとにかく好きな僕にとって、マンガ×ホテルというのは非日常的かつ魅力的だった。
2019年2月のオープンから程なくして、Twitterでその存在が知られ少しばかりバズったのを覚えている。
マンガをアプリでも読むようになったここ3,4年ほどは、1コマもマンガを読まない日はないと思う。毎日なにかしらの作品が公開されているし、SNSで気になった作品はとりあえずアプリで探して、無料で読めるなら随時お気に入りにいれて読んでいるから自然とそうなってしまった。(それ以前も毎日のように読んではいたけど)
何かの合間や移動時間でもない、集中していて良いマンガを読むためだけのひとときを僕も体験してみたい!そんな風に思っているのと同時に、ホテルが住まいのある都内にあることから「行こうと思えばいつでも行ける」とも思っていたのが悪かった。あっという間に「外出自粛」や「おうち時間」の世の中に突入してしまい、残念ながら漫泊は実現できていなかった。

実は今、僕は9年弱勤めた職場を離れようとしていて、絶賛有休消化中の身なんです。次の職場が決まっていないので、転職活動をしながら家事をする毎日にもそれなりに満足していて。毎日家事をして過ごす僕を見たパートナーである彼女は、家事以外にも時間のある今だからこそ出来る、やってみたかったことをやってみたほうが良いと勧めてくれた。それもそうだ。
「せっかくだから好きなところに旅行に行ったり泊りに行ったりしてみたら?」と提案してくれたことがきっかけで、MANGA ART HOTELへの宿泊を決めました。

平日の宿泊は1泊3000円以下。
個室に鍵もない、簡易宿泊所的なホテルとはいえ安い。宿泊エリアが男女で階が分かれているのでその点も安心。(Xジェンダーとはいえ身体は女性なので)
5000冊以上のマンガが僕を待っているのだと、ドキドキしながら予約をして、その日を待った。


到着~散策

当日。
チェックインは15時だけれど、少し遅れて15:30にチェックイン。
ビルの5F、4Fがホテルになっていて、受付は5階。


エレベーターを降りると、ロゴの形をしたネオンと共に小さな受付が現れました。
受け付けの上にちょこんと置かれたタブレットを使用してリモートでの受付。4階、5階のエリアに入る為のドアキーの番号とこの日使っていい個室?ベッド?の番号を教えてもらった。これでチェックインは完了。
パジャマは500円でレンタル出来て、5階に料金を入れる箱があったのでついでにレンタル。


この日の僕のベッドはこれ!
足元がカーテンになっていて、ベッド下のスペースにはキャリーケースなどの荷物を入れることが出来ます。
ちょっと秘密基地みたい!もしくはドラえもんの押入れベッド?


中はこんな感じ。ハンガーが2つと、貴重品を入れるための金庫。置き型のミニファンもありました。(空調がフロア管理のため、個人で調整が出来ない)
ライトも付いています。つまみ式なで調光もちゃんとできたので意外と機能が整っているなと思いました。

この暗さめっちゃ落ち着くやつじゃん……
ベッド?部屋?いやこれは巣穴だ……読みながら寝落ちしないか心配。


荷物と巣穴の中を自分仕様に整えて、とりあえず中を散策!
これは窓際のベンチ。ベッドで読んでも良いし、こういう館内のベンチや椅子で読んでもOKです。


4階。女性フロアなので女性作家や女性人気の強い作品が多く置かれていました。
このホテルでは異性のフロアへ行けるのが15~19時なので宿泊する4階に置いてある作品はそれ以降読む作戦に。
さーっと一通りおいてある作品をチェック。今晩のメイン作品(ちょっと長編)はこの段階で決定。


お風呂はシャワーでした。
シャンプー、コンディショナー、ボディソープは備え付けがありますが僕は試供品を持参。なんとなく。お湯の勢いも普通でした。


洗面台は4つ。朝込み合ったりもしなさそう。


ベランダでも読むことが出来ますが、残念ながら外で何やら作業か工事をしているようで少し騒がしかった。なので今回は利用せず。なにもなければここでも読みたかったな。


5階の男性フロアへ!
新刊コーナーを5階に設置するのはちょっとズルいですぞ!!!
ここでも一通り作品をチェック。
気になっていた作品を選んで早速読書タイム開始です!


読書の記録と感想①

『あげくの果てのカノン』①~⑤ 米田恭
憧れの先輩との再会~不倫のストーリーにデストピアを掛け算するとこうなるんかという純粋な驚きでサクサク読めました。『怪獣8号』や『デッドデッドデーモンズデデデデストラクション』のような既に怪物や侵略者が地球にやってきた後の世界。舞台は東京。そんな世界での日常(読み手にとっての非日常)がしっかり描かれているのに説明的でないのが読みやすい印象。先輩が善人の皮被ったクズなんだけど、最終的にとても人間臭くて良き。先輩の奥さんが先輩を分析する様子が割と好き。というか先輩の奥さんが好き。メメちゃんの暴走シーンでの絶望感とその奥にある愛情という心情の奥行きがよかった。絶対に幸せになってほしい。
ハッピーエンド?と首をかしげたくなるのに、後読感に胸糞さが残らなくてテーマの割にさっぱり読めたなと思いました。かと言ってメリバでもなくて。僕としてはいい終わり方だったなぁ。重たすぎないけど心には残る。この日最初に読んでよかったかも。


『光が死んだ夏』① モクモクれん
話題作だったので手に取ってみた。オリジナルBL作品(古の腐女子なのでどうしても商業BLと言いたくなる)作品、、このところドラマ化されたりで一般のジャンルのマンガと同じように扱われてきましたね。
BLだけど性描写がない分(1巻は)全年齢って感じ。商業BLの性描写必須感を考えると、商業BLと「BLを扱った作品」はまた違うのかもしれない。光が死んだ夏は後者。かと言ってあまりジャンルを細分化してもキリがないし、最終的にはBLも百合も異性愛も全部「恋愛マンガ」の括りになればいいと思う。
山岳信仰とか土着の文化・信仰にオカルト的な意味で興味があるのでこの作品はそっちの描写が最高に良かった。人ならざる者との遭遇や、それを感じ取ることが出来る霊力のある人たちの描写はしっかりホラーしてた!
光に隠れて能力者に会った後のよしきに光が嫉妬する場面では、嫉妬の中に光に成り代わっている“何か”のルールが混ざっていて、ちゃんと土着信仰×BLしてる。よしきが何かが光に成り代わっていることに気付いたのは恋心から、というのも能力を超えた愛だった(過去形であることが大事)感じがね……いいよね…… お前のことだから気づけたんだ的なね……誰よりもお前を見てきたんだ的なね……
同じ土着信仰×BLをテーマにした『秘め恋』も今年に入って読んだけど、そちらはBLと恋愛要素に振り切っていた。ザ・商業BL。それはそれで大好きなんだけど、同じテーマでも結構違うんだなと思って読みました。今後も追いたい。ラストのオチはメリバと予想した。


『ごはんのおとも』①、② たな
フルカラーお料理コミック。今回の漫泊で泣いてしまった作品が2つあるんだけど、それがその内のひとつ。
路地にひっそりと佇む、なんでも食べることが出来る料理屋「ひとくちや」を中心とした、オムニバス作品。各話毎に主人公が異なります。話の最後に見開きでその話に登場したちょっとした料理のレシピがイラストで入っていて、作中含めもうほんと―――――――に美味しそう。めちゃくちゃお腹がすく作品なので読む時間に注意。しかもなんかこう、ストーリーもとても心温まる感じでついつい涙腺もゆるむ……幸せは日常の中にあるんだよ系作品。最高。
レシピは材料も最小限で内容もとても素朴で簡単!ひとりぐらし始めたてとか、普段あまり料理をしない人にいいかも。もしくは僕のように日々あり合わせの材料での“名もなき料理”ばかり作る人にもおススメしたいです。名前のある料理が作れる人は料理上手だなと思う。
なのでかえって普段から料理する人には簡単すぎて物足りないかもしれません。ただ、料理したい欲はガンガンに刺激されるのでそこは注意。因みに僕は翌日のチェックアウト後、本屋に寄って購入しました笑
しかもそのまま自宅最寄りの八百屋とスーパーに直行、この本のレシピから晩御飯も作ったほど。肉みそ、なめたけ、お刺身漬け丼を作りました。どれも美味しかったー!特になめたけは自分で作ること自体初めてだしとても簡単でした。七味かけるとなお良し!
(そのあと肉豆腐と鳥そぼろもつくった)
大好きな作品に出会ってしまった。


漫泊グルメとお風呂で小休止

なんだかんだと読み始めが遅くなったこともあり、ここで19時少し前。
5階をあとにして4階の巣穴へ戻ります。

じゃん!

早速散らかしているの図。
寝れないかもしれないので、家感を出すために枕用としてフェイスタオルも持ってきました。ディズニーで買ったポップコーン柄のお気に入りのタオルです。

夕食とシャワー後読むものを先に4階で選書。
これも家感を出すために連れてきたうさ(from食べっこどうぶつ)に巣穴の警備を頼んで僕は外へ夕飯を食べに行ってきます。

「いってらっしゃい」


夕飯はホテルの裏手にある、鶏ポタラーメンTHANKへ。

ラーメンが食べたいけど、1杯でいいからお酒も飲みたい。ということはラーメンの他におつまみも食べたい……
と思っていたので、メニューにミニラーメンがあったのが決め手でした!こんなわがままな欲望も叶えられてしまう気の効いたメニュー展開に感謝。

スープの濃さは濃い順で「ぽてり・とろり・さらり」の3段階から選べました。もちろんぽてりを選択。
一緒に手羽焼き、メンマ、味玉のおつまみ3点セットとレモンサワーを発注!

めちゃうまぁ……!!!!
もう全部美味しい。食べれば食べるほどお腹が減る悪循環が発生するレベルで好みの味。
注文時気になった手作りシュウマイもこの勢いなら食べられそうということで、追加注文。
これもうまぁ………!!!!

最後にライス(豆サイズ)まで頼んでスープにぶち込みリゾットに。
めっちゃ美味しかったまた行きたい。


お腹いっぱいになったので巣穴へ帰ります。

「おかえり」

「ただいま~」
ちょっとだけ食休みをして、そそくさとシャワーへ。なかなか水からお湯に切り替わらなくて一瞬焦ったけどそれ以外は特に問題なし。備え付けのドライヤーの風量が強くていい。我が家と同じくらい?
レンタルした部屋着もなかなか着心地がいい。荷物も減ったし、借りてよかった。宿泊代がそもそも安いから借りた方がいいと思う!

「早く次読んだら?」
そうね。メインの長編も控えてるしそろそろ読み始めようか。


読書の記録と感想②

左:『教室の片隅で青春がはじまる』谷口菜津子
宇宙人と交換留学したりが普通なSF要素のある女子高生日常マンガ。
主人公の破天荒をちょっとはき違えたまりもとはじめての友人である宇宙人の女の子ネルを中心とした、オムニバス構成の1冊読み切り。絵が好みでジャケット選書。なんと宿泊日の朝発表で、作者の谷口菜津子さんが第26回手塚治虫文化賞の新生賞を受賞していた。(レポを書いている段階で知った)

受賞の経緯の「多様性を柔らかな筆致で描いたことに対して」という箇所そのままに、登場人物たちの多様な願望や悩みを深刻で痛々しいものではなく、あくまで柔らかく思春期だからこそ抱いてしまう刺々しさも包み込んでいるような印象でした。多様性と言えばそうなんだけど、それが彼女たちの日常の中に当たり前に存在していて特に意識していないように感じた。
まりもやネルはクラストでのカーストは低めなんだけど、自分の願いに忠実なところが眩しい。それを笑うカースト上位の女の子たちにも、それぞれ心にわだかまりがあったりしていて。それが解消されていくと案外いい子たちなのが凄く救いのある作品だったなぁ。どの子にもその子にとっての願いや楽しさや幸せがあってそれに気づいていくことが丁寧に書かれていてきれいだった。生まれた星が違うと価値観が異なったりもしていて、そういうところでSFが効いていた。
読んでよかった。人に勧められる1冊。

右:『金の国水の国』岩本ナオ
経済発展をしたけれど水不足に悩むA国と、水も自然も豊富だけれど経済発展できなかったB国がそれぞれの国に「国一番の美人」と「国一番の賢い男性」を伴侶として贈ることから始まるラブストーリー。
実際は嫁候補でも婿候補でもなく猫や犬が贈られてしまったのに、ひょんなことからB国から婿をもらう予定だったA国93番目の姫のサーラと、A国から嫁をもらう予定だったB国の技師ナランバヤルがそうとは知らずに出会ってしまいます。実直なふたりが誤解したりされたりしながらも、愛を育みそれぞれの国の発展に繋げていこうとする姿が美しかった。
話の冒頭から童話のようで、それでいてすごく聡明な作品だなと感じました。
そしてとにかく作画がいい。それぞれの国の比較が美しくて、文化的な文様や建築や街の在り様など書き分けがされていて世界観の構築がとても繊細でした。お互いの国の状況も踏まえ、一概にどちらの国の方が素晴らしいとも言えないところもいいなと思った。なによりサーラとナランバヤルのふたりの心が素直かつ誠実で、やり取りなんかを見ていてもほんとうに微笑ましくて。応援したくなるカップルで可愛い。
ファンタジー特有の派手さは強くはないかもしれないけれど、そこに暮らす人々の生き方のようなものが読み取れる作品は心を穏やかにしてくれる。これも読んでよかった。

この後メインに控えている長編が割と……いやかなり重い作品なので、印象が柔らかいこの2冊から読み始めてみました。大正解。


そして今回のメインの長編作品へ。読み切るまで寝れま10(テン)。

『累 -かさね-』①~⑭ 松浦だるま
以前、途中までアプリの無料分で読んだことがあった(読み返したら3巻分だったみたい)から続きが気になってたので選書。
主人公の淵かさねは絶世の美貌を持つ今は亡き女優を母に持つ醜い顔を持つ少女。その少女が母の形見の口紅を使い、美しい女性の顔と自分の顔を交換して演劇の世界へ羽ばたいていく現代を舞台にしたダークファンタジー。
外見のコンプレックスと差別の視線は、美しさを持って生まれた者にはわからない屈辱。それが顔を交換して上がる舞台の上では、すっかり消え去ってくれる。演劇の持つ魔力というか、演劇に魅入られてしまったかさねの執着の炎に何度もゾクッとさせられた。かさねだけではなく、登場人物すべての業が煮詰まった作品。本当に業が深い。終盤に差し掛かるにつれて色んな思惑と真実が明らかになって、それにつれて序盤で謎に包まれていた母、淵透世の人物像が見えていきどんどん人間味を増していくのもグッとくる展開だった。
高校時代、僕も演劇部に所属していて五十嵐幾が演じた「祭りよ、今宵だけは哀しげに~銀河鉄道と夜~」を上演した経験があったのでそれで続きが気になっていたのもあったので。読めたことでスッキリ。

僕はジョバンニではなくお種ばあさんと元人力飛行機のパイロットのゾンビ(弊校の解釈)ミシェル役でした。二役!おばあさんやったらはけて、着替えて上からゾンビメイクして、また着替えて頭から布羽織って顔と頭をかくしておばあさんやった笑 大好きな舞台。

3巻までしか読んでいなかったので知らなかったのですが、後半だいぶ民俗学的でオカルトな展開になっていくんですね。オカルト展開になった瞬間、「僕の目に狂いはなかった……!」と謎の感動を覚えました。やっぱりオカルトが好きだから。
でもオカルトよりも“舞台”の持つ魔力や魔性的な魅力はオカルトであるとも思っていて。僕も初舞台でミシェルとして長台詞を言っている時に見ていた、世界が白んで見える前灯りの煌々とした眩しさは、今でも忘れることが出来ないでいます。だからってかさねのように俳優は目指さなかったけれど、あの光にかさねは魅入られてしまったんだと思う。
またラストの終わり方ったらない。これはメリバなんでしょうかね。かさねにとってはこれからというところでもあるけれど、彼女は「これでよかった」とも思っていそうで。僕にとってはバッドエンドだけど、もしかしたらかさねにとってはハッピーエンドだったのかも……。

そんなことを考えながら巣穴の電気を消し、アイマスクをしました。
時刻は午前3:30。9:00すぎには起きたいけど、ある程度も寝たいから愛用のアイマスクを持参。
そしてそのアイマスクの裏側を、かさねを思って濡らしながらやっとの思いで眠りについたのでした。

愛用のアイマスク。福岡のお土産のあいつ。(頂き物)
実際アイマスクがあると結構ぐっすり眠れるので、持参をオススメします。
他の方の足音とか生活音結構聞こえるから、必要な方はアメニティの耳栓もセットで。


読書の記録と感想③

翌朝。9:00すぎ起床。
30分ほどで身支度と荷物を整え、あとは出るだけの状態でチェックアウトの11:00までがっつり読んでいきます。ラストスパートだ!

『往生際の意味を知れ』①~③ 米田恭
元カノとの再開と結婚を望む主人公の市松は、ある日突然その元カノである日和から連絡をもらう。喜び勇んだのもつかの間、彼女は「出産シーンの撮影」と「そのための精子の提供」というとんでもない内容を彼に依頼してきた───
というところから物語は始まり、日和の依頼の目的(と動機)が自分たち3姉妹を題材にコミックエッセイを描いている母親への復讐である、という新しい切り口での復讐劇なんです。
ちょうど宿泊日の朝、実在のコミックエッセイストとその娘の確執についての記事や娘さんのブログを読んだりしていて。その際この作品のモデルなのでは?なんて噂が出ていたのでついつい読んでしまった(野次馬根性)
そんなことを別にしても日和の突飛であまり常識的とは言えない提案と、それを完遂せんとする市松のクリエイター特有のギラつきには釘付けになったし、今後の展開も楽しみでしかたない。
市松は元から下心を一旦横によけて置けないからはじめから日和に行為を寄せている。しかもあんな要求をされても、それをチャンスだと受け取ってしまうズレがコミカルな一面を見せてくれているので、母娘の確執・復讐や出産(命)という重たいテーマを屈折させて飲み込めるように咀嚼してくれている感じがする。まだ展開として日和側の狂気を色濃く描いているけど、母がエッセイコミックを通して日和に与えた狂気も更に明らかになっていくんだと思う。
ストーリーの奥行きとして、今後母側のエッセイに対する考えが見えてくるといいなぁ。母親をとことん悪者にしたパターンでもいい。どちらに転んでも面白い(と言うとアレだけど)展開になると思うので、まだ巻数が少ない内に揃えたい作品でもある。


『太陽と月の鋼』① 松浦だるま
前の晩読了した『累』の作者の最新作ということで。3巻まで発行されていますが、時間の都合で1巻だけ。
侍として武家に生まれた鋼之助は生まれつき金物に触れることが出来ない。触れようとすると、刀だろうが剃髪用の剃刀だろうが必ず彼の肌に触れないように刃を逸し形を歪めてしまう。これが原因で侍として働くことすら出来ずにいる、という出だし。そんな彼になぜか多額の持参金と一緒に嫁がくる。
同じ作者ということで累とどうしても比べたくなってしまう。
累とはまた違う呪いのようなものを扱った作品で、また違った忌まわしい特徴を生まれ持った主人公でした。累が呪いによって生まれ持ったコンプレックスを乗り越えようとする(解消しようとする)のに対し、鋼之助は呪い自体がが生まれ持ったコンプレックス。しかも1巻のラストでマイナスの要素だった鋼之助の呪いが能力に覚醒したかのように見える展開がアツい。もしかしたら生まれ持ったコンプレックス(呪い)が能力に変化することで武器になっていくのかもしれない。そう考えると累とは違う呪い(コンプレックス)との向き合い方の話になりますね。2巻以降も気になる。
舞台が天保、江戸時代のせいか現代に続く妖怪話や怪談話の原型(こうして○○という妖怪が生まれた、的な)ものを読んでいる気になった。少し不思議な感覚。オカルト好きにとしても興味深い作品。


チェックアウト

11:00のチェックアウトギリギリまで読んで、合計28冊読破。
これが多いのか少ないのかは正直わからないw
15:00ちょうどにチェックインしていたらもう1、2冊は読めたかもしれないしセリフの多い作品だともっと少なくなると思う。
それにしても集中してずーっと読み続けていていい環境はすごく楽しかった!
また泊りに行こうと思う。

お昼ご飯はこちらのカレーを。

チキンカレー。
美味しかった。
グルメも楽しめた1泊2日。
パートナーだけ実家に帰る日とかにまた利用しようかな笑

都内に遊びに来る方は“もう1泊”の余裕があるとか、夜に予定が入らなそうであれば宿泊先としても安くておススメです。予定のある日に前泊しちゃうとか!

よかったらぜひ泊りに行ってみてください!



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