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メンズ•カーディガン革命

英国ではメンズ•カーディガンはリタイアしたじいさんが着ているイメージが根深く染み付いている(いた)。英国に来た当初(90年代)、この事実に驚いた。初めて日本でユニクロに行ったとき、元夫へのお土産にカシミアカーディガンを買って帰ったのだが、喜んだ様子が見えず、? そういえば、確かに日本の田舎にいた当時は学校の先生や市役所/県庁職員がよく着るアイテムかな、と。その後東京で暮らしだすと、それがそうでもない事がわかった。アイビーファッションの草分けVANを大学生や、ちょっとこじゃれたサラリーマンが着こなしていた。まぁ、アメカジですね。しかしここは伝統の国、英国。アメリカの文化は、はすにかまえる感じ。そんな中でアメリカの大ヒットコメディ、'Seinfeld', 'Friends'や 'Frasier'が80's後半から90'sがもしかしたらこの流れを少しずつ変えて行ったのではないかと私は睨んでいる。

遡るところ2019年、Nirvana のリードボーカルKurt Cobainが'MTV Unplugged' で着用していた鼠色のモヘアのカーディガンがオークションで$334,000(4千500万円ほど2023年現在)で落札された。史上最高額のニットウエアということだ。
近いところではNetflixドラマBeefの中で、George役のJoseph Leeは花柄やアンゴラ素材のソフトなイメージのチャンキーなニットウエアを着ている。
昨今のメンズファッションの流れとして、この、ソフトなイメージというのがキーワードになっているように見えるよねぇ。
その他ではメンズの真珠のジュエリーもちらほら見るしさ。多くの人たちは、真珠って女性がつけるものというイメージがあるよね。日本は冠婚葬祭、ここ英国では以前は、ミドルクラスの叔母さんがつけているイメージ(亡エリザベス女王もプライベートな写真とかではよく見かけた)だったけど。でも、歴史的には16世紀キング・チャールズ1世の肖像画には、片耳だけ大粒の真珠のイアリングをしているし、18世紀に入って、インドのマハラジャがジャラジャラ身に纏っているじゃないか。そう、真珠は富と権力の象徴だったのだよ。

Portrait of Charles I, c.1637 by Sir Anthony Van Dyck

なんでも、アストロジーの世界では木星と土星の位置関係で社会の流れがガラリと変わっていくらしいわ。事実、昭和世代の私。今は十代の私が想像もしなかった未来になっているよなあぁ。(1999年でこの世の終わりが来るとノストラダムスの大予言が大層話題になったしさ)

このようにファッション一つを取って見ても、あらゆる物/事の境界線が薄らいでいる実感があるよね。ピンストライプ•スーツからモヘア•カーディガンへ。ポリティカルからコミュニティへ。

'Kate effect' (英国王室、キャサリン后妃の地味だけど確実に人の心を鷲掴みにしちゃう影響力)という言葉がある。義理の妹メガン公爵夫人と、とても対照的な立ち位置。多分人によっては、パッシブ・アグレッシブ(直接、不満や怒り、攻撃性を相手に示すのではなく、表面的にはやわらかい物腰で、暗に怒りや抵抗を表現して相手を攻撃すること)と、取られる可能性もあるけどね。

世の中は確実に'SOFT POWER'の方に軍配が上がっているようだ。だから「上手く立ち回れ」と私が言っているなんて、ゆめゆめ思うなかれ!

いつも心に太陽を!
温かくってモヘアのカーディガンみたいにふわっと、人を包み込むようなやさしい気持ちで日々を過ごしたい!
忘れんなよぅ、自分!
今日も混みっこみのバスに乗り、仕事へ向かうのだ。

アディオス!

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