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【機能性食品を取り巻く環境①】栄養価と栄養”感”

この記事でわかること【一般消費者・食品事業者向け】
1. 栄養、その受け止め方の変遷
2. 栄養”感”の実態調査

1.「栄養」の受け止め方の変遷

 TVの情報番組や料理番組を見ていると
「これって栄養ありますよね」というコメントをよく耳にしますよね。
”ムムム、栄養って・・・”と「モヤモヤ」するのは筆者だけでしょうか?

 戦後の日本の栄養不足は大変深刻なものでした。これを改善することで日本人の寿命は極端に延長し、現在を迎えているということについては、以前お話ししました。このように”真の栄養不足”はヒトの寿命の極端な短縮につながるものです。現在も尚、アフリカ諸国の中には、平均寿命が50歳代の国もあるくらいです。(https://note.com/naoosa007/n/nbbb44a4566a8

 先進国では現在、医療や公衆衛生の発達によって、100歳を超える長寿の人は珍しくなく、真の栄養不足によってその半分の年しか生きることができないという状況は、世界的に改善しなければいけない課題でしょう(SDGs③すべての人に健康と福祉を)。

 一方、現在では(欧)米を中心に「スーパーフード」なる食品群が広まっています。「スーパーフード」なる食品には、
スピルリナ(藻の一種)・マカ ・クコの実・カカオ・チアシード・ココナッツ・アサイー・カムカム・ブロッコリースプラウト・麻の実(ヘンプ)
などがあり、その定義は以下の通りだそうです(日本スーパーフード協会HPより

https://www.superfoods.or.jp/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%89%E3%81%A8%E3%81%AF-2/%EF%BC%89

-------------------------------------------------------------------------------------(1)栄養バランスに優れ、一般的な食品より栄養価が高い食品であること。あるいは、ある一部の栄養・健康成分が突出して多く含まれる食品であること。
(2)一般的な食品とサプリメントの中間にくるような存在で、
料理の食材としての用途と健康食品としての用途をあわせもつ。
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 しかしながら、これらの食品の栄養成分を調べてみると、少なくとも栄養学で言われている”栄養価”高い食品ではない ということが伺われます。

栄養価とは
その食品に含まれる五大栄養素(糖質・脂質・タンパク質・ミネラル・ビタミン)の量を示す値です。
給食の献立表の右側に書いてあった「あれ」です。

五大栄養素と給食の献立表の右側に書いてあった「あれ」の関係

日本では「日本食品標準成分表品成分表」というデータベースに基づいた栄養価を用いて、様々な栄養管理が行われています。例えば、学校給食、病者や特定保健指導における栄養管理などです。https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html
「日本食品標準成分表品成分表」には、五大栄養素の詳細(例えばミネラル組成や脂肪酸組成など)も収載されているので、一部の栄養の「質」に関する情報を得ることもできます。

 但し、その情報は国内に流通する典型的な食品に限られています。
もちろん「スーパーフード」は収載されていません(カカオ・ヘンプ以外)。それらの栄養価については、USDA Database(https://fdc.nal.usda.gov/)を参照ください。

 筆者は高度成長期の一億総中流社会に育ったためか、
熱が出て通院し、医者から”栄養を摂って”と指示された時に出てくる、
”おかゆ”や”うどん”、加えて”バナナ👍”や”プリン✨”を
「栄養(価)がある食品」と捉えていました(ほぼ糖質ですが)。
 加えて、肉か魚、プラスして野菜料理がある食卓を”豊かな食卓”
と認識していました。が、この感覚がおそらく「昭和」なのでしょう。
恐らくそのせいで、冒頭の「モヤモヤ」感が生じてしまうのかもしれません。

2. 栄養”価”と栄養”感”

 ところが現在では「これって栄養ありますよね」というのは、
前述の「スーパーフード」のように

一般的な食品とサプリメントの中間にくるような存在

であり、五大栄養素以外の健康成分(食物繊維、ポリフェノール、カロテノイドなど)が豊富に含まれるものを指していような気がします。
 栄養学的(古典的?)な「栄養(価)」と今の「栄養”感”」には、
このように大きな隔たりが生じているのが現状のようです。

国分グループ本社株式会社と株式会社リンクアンドコミュニケーショが2016年から実施している「健康と即、栄養に関する調査」(インターネットアンケート調査、10-80代男女、2000-4000人、以下はhttps://www.kokubu.co.jp/news/2019/より改変)の結果によると、積極的に摂取したい栄養素として、食物繊維やたんぱく質に加えて、乳酸菌・ポリフェノール・イソフラボンといった非栄養素が並んでいます。

https://www.kokubu.co.jp/news/2019/  より改変(赤字は非栄養素)

 栄養素については、小学校の生活、中学校の技術・家庭科で学んでいるはずなんですが・・・。それよりも私たちを取りまく「情報バイアス(下記参照)」に左右されているということでしょうか?

 


 


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