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【Nobelhart & Schmutzig: サルティナブル・レストランに行き、食の奥深さを知る】

皆様、ごきげんよう。バーテンダーの安部直柔(アベ ナオナリ)です。現在はメルボルンでバーテンダーをしています。
2023年12月末までロンドンで約2年間バーテンダーをしていました。その間に、ヨーロッパへ旅行に行くこともあり、からその旅先で出会ったオススメの場所、レストランやバーなどをいくつか紹介していこうと思います。

前回の投稿で『バーテンダーがゆく、ベルリン旅行 : 2023年9月』について綴ったので是非そちらも読んでみてください。


今回は『Nobelhart & Schmutzig: サルティナブル・レストランに行き、食の奥深さを知る』について。

前回、投稿したベルリン旅行の記事の中で『Nobelhart & Schmutzig』というレストランに行ったことを少し書きました。その際にレストランで食べながら感じた事や、その後に凄く感銘を受けたことがあり、改めて詳しく書きたくなったので、その事を綴ろうと思います。

Nobelhart & Schmutzigとは?

ドイツのベルリンにある高級レストランです。2015年にビリー・ワグナー(Billy Wagner)によって設立され、レストランのコンセプトは『Brutally Local』(厳密に地元産)で、できるだけ近隣の農家や生産者から直接食材を仕入れています。ワグナー氏は、食材の選択や料理の提供に対して非常に情熱を持っており、地元の農家や生産者との強い結びつきを重視しています。彼のアプローチは、サステナビリティや地域経済の活性化に寄与することを目指しています。ミシュラン・ガイドで星を獲得しており、ドイツ国内外で高く評価されており、世界中の食好き達が訪れています。

オーナーのワグナー氏って、どんな人?

ワグナー氏は、Nobelhart & Schmutzigの創設者であり、ソムリエとしても知られる人物で、彼はドイツのワイン業界で経験を積んだ後、自身のレストランを開くことを決意し、現在に至るそうです。もちろん彼は、現在もレストランでオーナー・ソムリエとして、現場に立ち続けていて、私も彼がセレクトしてくれた、ワインを飲ませていただきました。

また、ワグナー氏は顧客との対話を大切にしたいと語っており、レストランでの食事体験が単なる食事以上のものとなるよう努めているそうです。

そもそも、サスティナビリティとは?

私自身は、『サスティナビリティ= 持続可能性』という認識ではありますが。
でも、本来どういったことなのか、流行りのChap GPTに聞いてみました。

『サスティナビリティ(持続可能性)は、社会・経済・環境の三つの側面が調和しながら、将来世代のニーズを満たす能力を保ちながら、現在のニーズを満たすことを指します。簡単に言えば、「地球や社会を壊さずに、みんなが幸せに暮らせるようにすること」です。』

とのこと。

Nobelhart & Schmutzigは、レストランとしてサスティナビリティを体現し発信しています。私が感銘を受けた彼らの取り組みをいくつか紹介します。

 1. 生産者達と価格交渉をしない。彼らの作る食材には価値があり、品質がある、そこに敬意を示すことが大切だと言ってます。

 2. 一貫した高い品質を提供する為に、年に2回レストランを休業している。個々で休みを取るのではなく、チームとして休むことを大切にしているそうです。

 3. 学生達へのプラン。若いうちから質の高い食に触れることが重要である。だが、どの高級レストランも値段設定が高いのは当たり前である。N&Sでは、学生向けに€100- で同じコース料理を提供している。

などなど。

他にも彼らの取り組みや哲学はいくつかあるが分かりやすいものをご紹介しました。

料理のスタイルは?

店内のデザインはシンプルかつ洗練されており、店内のBGMはレコード。オープン・キッチンのスタイルでゲスト側からシェフの調理を間近で見ることができます。キッチンを囲む20席くらいのカウンターとテーブルが30席くらい。
料理は地元の材料を使ったシンプルなスタイルだが、古典的かつモダンで独創的。素材の持つ本来の味を引き出すことに重点を置いています。そして厳選されたワイン、ビール、スピリッツなどなど。

シグネチャー料理は、特定の一品というよりも、季節や地域の食材を活かしたメニュー全体にあります。ただし、いくつかの特に人気のある料理があります。
その一例として、地元で採れた新鮮な野菜を使用した料理が挙げられます。例えば、焼きネギやビーツのサラダなど、素材の持つ自然な風味を引き立てるシンプルな調理法が特徴。また、地元の魚や肉を使った料理も人気で、特に地元産の豚肉や魚のグリルなどが評価されているそうです。
全体的にそれぞれの料理がシグネチャーと言えるほどの高いクオリティを誇ってる印象です。

私が食べた中で、1番衝撃的に美味しかったのが自家製のバター、なんと3ヶ月熟成。自家製のライ麦バケットと一緒に提供してくれたんですが、人生の中で1番美味しいバターでした。色んなレストランで高級バターや、自家製バターを食べた事がありますが、ここでいただいたバターに奥行きと何層かの味わいを感じたのが今でも忘れられません。あのバターを超える、バターは無いかもしれません。

印象的だった料理を載せておきます。

コース・メニュー
食感がユニークなパンプキン
地元のトマトと出汁の効いたスープ
子牛のグリル
ベイクドポテト&アップルソース
黒スグリのデザート

ただし、料理や価格に対しての賛否両論もあるように感じました。
料理の味わいと見た目があまりにも、シンプル過ぎるが故に、それに対してお金を払う価値がないと言う人もいるようです。

私もいくつかの料理の味付けが薄いと感じるものはありました。ですが、私は行く価値のあるレストランだと思ってます。それは季節の食材の味わいを感じれることに変わりはなく、彼らの哲学に共感できるからです。
和牛を輸入して使えば、美味しいお肉が食べれるでしょう。ですがそれは、彼らがやりたいこと、ゲストに伝えたいことではない。
彼らがレストランという場で、食をどう伝え、表現したいのか、深く考えさせられます。

実は行った後に気づいたんですが、基本的に写真はお断りしているようです。

恥ずかしながら知らずに料理の写真を撮っていました。ただ注意はされませんでした。おそらく、1人だったのと、料理の写真しか撮ってなかったから無害だと思われたんでしょう。とは言え、郷に入っては郷に従え。ハウスルールは守りましょう。

私が訪れたその後に、彼らはTHE WORLD'S 50 BEST RESTAURANTS 2024 で No.43に入り

さらにSUSTAINABLE RESTAURANT AWARD 2024も受賞していました。2024年の世界を代表するサスティナブルなレストランの証である。

こういった、ディスティネーション・レストラン(行く価値のあるレストラン)が世界中にあり、その場所でしか味わえない料理と体験価値を提供してくれます。もちろん日本にもそういったレストランやレストラン以外の場所にもあるので、帰国したら訪れたいなと思ってます。

では次回まで!ビス・バルド!

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