同じ場所の異空間。
ハープの教室は昔住んでいた家の辺り。
レッスンまで1時間ほど時間があった。
ちょっと歩こうかな。
久しぶりに昔の家の前を通った。
「武家屋敷」と言っていた借家は
今流行りのシンプルなシュッとした家に
生まれ変わっていた。
近所の音楽機動隊の建物は
大型スーパーに
総合病院の建物は
リフォーム資材のお店に
全く違うモノになっていた。
新しいモノを見つけるたびに
心がギュッとつねられた。
建物があるから思い出すのか
思い出がある建物だったのか
その時間さえ、許されない。
切り取られたところにある
真新しい建物は
昔から居る様な顔をしていた。
あの頃と同じ場所にいるのに
私は迷子になっている。
ふと空を見上げた。
あの頃の空も、もうそこにはなかった。
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