見出し画像

観てきた!特別展 工藝2020-自然と美のかたち- at 東京国立博物館 表慶館

現代作家の作品が大集合する、豪華な工芸の展覧会。
しかも会場は、展示がないとオープンしない大好きな表慶館。
そして会場構成は、伊東豊雄建築設計事務所が担当!
これは行くしかないと思っていました。
が、なんと!!!大変ありがたいことに、インタビュー連載のお仕事をさせていただいている美術館情報サイト「OBIKAKE」編集部さんと、内覧会にお邪魔してまいりました!!!本当に貴重な機会をありがとうございました。
ですので今回は、許可を得て展示室内で撮影した画像とともにレポートをお届けします!!!

ちなみにOBIKAKEさんのサイトはこちらです♪


会場に一歩足を踏み入れると、もう、めくるめく美空間。本当に眼福すぎました。


工芸、なんだかよくわからん、という方もご安心を。難しいことを考えずに楽しめますし、工芸の初歩の初歩を知りたい、という方にもぴったりの展覧会です。秋の上野へお散歩がてら、ぜひ!ぜひどうぞ!!!

場所:東京国立博物館 表慶館(東京・上野)
会期:2020年9月21日(月・祝)~11月15日(日)
時間:9:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
   (金・土曜日は~21:00まで)
休館:月曜
事前予約:必須

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


◎観に行こうと思ったきっかけ

開催を知ったのは先月末。展覧会情報のネットパトロール中でした。詳細情報が出る前からもう、これは!!!と、すぐ手帳に会期をメモしていました。

それにしても今年は、あの夏の国際的スポーツイベントが開催予定だったおかげで、日本美術や日本の伝統工芸、文化芸能に関する展示・展覧会が、本当にたくさん。
臨時休館でなくなってしまった展示がいくつもあって残念でしたが、こうして開催していただけて、心の底からありがたい限りです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◎どんな展覧会?

日本では、自然との共生による密接な精神的感性と固有の生命感が芽生えて我が国特有の工芸を発展させてきました。それは、長い歴史と文化が形成される中で、変化に富む地形と四季折々の気候、そして豊かな風土に育まれた自然観を要因とすることが大きいと考えられます。
82名の作家らが自由な感性によって多彩な芸術表現を発揮した、優れた近年の工芸作品82件をご覧いただきます。 (特設サイトより)

この展覧会は、何百年も前から伝わる偉大な作家たちの作品、ではなく、現代の、いまを生きる作家の方々の作品がずらっと並んでいます。

工芸品はその多くが、土や木、生物、植物、鉱物などの”自然”を素材にし、作家が培ってきた技術と、火や水の力を融合させて、かたち作られています。

展示室内は、それら自然との共生を4つの空間・テーマに落とし込み、1階と2階をぐるっと巡りながら楽しめる構成となっていました。

会場へお出かけの前に、こちらの「見どころ」ページをさらっとご覧になると、どんな展覧会かが、ざっくりつかみやすいかもしれません。


工芸の展覧会、と言えば、つい先日終わってしまった「和巧絶佳展 令和時代の超工芸」展が記憶に新しいかと。(わたしも楽しんできました!)

非常に多くの方が会場に足を運び、作品に驚いてらっしゃったかと思いますが、今回の展覧会も、ぜひぜひ!会場で観てほしい!!!
こちらはとても良い意味で、正統派、というか、トラディショナルな工芸の世界をじっくり味わえます。そもそも作家さんの人数が多いですし、工芸の魅力がより多面的に感じられると思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◎美しい作品のための、美しい会場構成・・・!

展示室内でまず驚いたのは、作品がほぼすべてケースに入っておらず、そのまま直接、鑑賞できること。

画像2

最近は、とても透明度が高くライトの反射も少ない展示ケースが多くなっていますが、何も隔てるものがない状態で作品を鑑賞できる機会ってやっぱり貴重だし、全然違いますね。

しかも、作品一つひとつ、前後左右360度から楽しめるように展示されています。お気に入りの作品はぜひ正面から、だけでなく、ぐるっと見つめてみてください。

ちなみに、ついついもっと近寄って行きたくなりますが、足元のドットラインまでですよ、ご留意くださいませ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ドットラインと言えば、お分かりになりますか、この展示台のデザイン

漆塗りのようにツヤっと美しい漆黒の部分と、ややマットで柔らかな白のコントラストがステキですが、横から見ると、どうでしょう。

すっとなめらかな曲線で、まるで床から生えてきたようなフォルムです。

画像5

画像4


んん?これどうやってここに設置したんだろう???
わたしは不思議でなりませんでした。

これはぜひ皆さまも、会場で確かめてみてください。美しいですよ。

画像2

画像3


展覧会の展示室って、作品の実物そのものを鑑賞して楽しむことがもちろん大きな目的です。

ですが一歩引いて、作品をより魅力的に見せてくれる照明、展示室内の内装や、展示台のような什器ひと息つくベンチなどなどに注目してみると、またちょっと違った視点で展覧会を楽しめますよ~。

わたしは学芸員課程の勉強や展示の実習を経験してから、ますます気になるようになってしまいました。そして、一つの展示が出来上がるまでって、本当に本当に大変だ、ということも、身をもって知りました・・・
展示をすみずみまでしっかり観よう!と、ますます思うようになったのは、言うまでもありません。

例えば照明は、どの照明器具を使うか、はもちろん、作品保護の観点から、使われている素材ごとに当てていい光の強さが決められています。さまざまな制約の中で、作品がより美しく魅力的に見えるよう、どこからどうやって光を当てるか・・・
これ、単純なようで奥がとっても深くて難しいんですよ!!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今回、この美しい会場構成を担当されたのが、建築家の伊東豊雄さん。
幸運なことに、映像の収録中だったご本人を展示室でお見掛けしました。
柔和な笑顔でお話しされていて素敵でした。どこかで映像を見られるのかな、楽しみです。

ちなみに、今治市にある伊藤さんの建築ミュージアムでは、今こんな企画展が開催中だそう。伊藤さんのメッセージを読んでとても観たくなりました。
いつか訪れてみたいです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◎気になる作品・作家さんが目白押し!!!

展示されているのは、82名の作家さんによる82点の作品です。

展示室内の解説パネルは最小限で、音声ガイドもありません。
そうなんです、この展示、細かい解説や知識はどっかに置いておいて全然いいんです!

これすごい!どうやって作ったんだろう?何でできてるんだろう?
なんかかわいいなぁ。ずっと見つめていたくなるなぁ。
これでお茶を飲みたいなぁ。お花を生けたいなぁ。
お家に置くとしたら、これがいいなぁ。リビングにはこれかなぁ。

なんて、自由に、そして身近なもののように感じながら、目の前の作品一つひとつを、味わってみてください。
かく言うわたしも、いつもこんな感じで楽しんで鑑賞しています。

ちなみに、出品リストをご覧いただくと気づくかもしれませんが、ほとんどの作品が個人蔵です。つまり、たぶんもう一度、実物にお目にかかるのはとても難しいものばかりなんですよ。
なのでなおさら、図録で楽しめる、と思わずに、できれば現地で実物をご覧いただくことをおすすめします。
サイズ感とか質感とか、細かな細かな手仕事の軌跡とか、写真ではとらえきれない魅力が満載です。本当に、すごいですから。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

もし、作品の作り方や素材を知りたくなったら、会場の2階に大きな解説パネルがあります。「漆工」「人形」「陶磁」「染織」「金工」「木竹工」「七宝・ガラス・截金」の分類で紹介されていますよ。

画像6


◎グッズ&図録は?

忘れられない作品や、作家さんのことがもっと知りたい!方は、ぜひぜひ図録をどうぞ。
美しい写真とともに、展示の企画を手掛けた研究員の方や、伊藤豊雄さんの文章、解説パネルの文章などもじっくり読むことができます。

ちなみのこの図録、写真集やアート関連の書籍で有名な青幻舎さんが手掛けています。会場で迷ったら買わずに帰っても大丈夫、後で書店やAmazonなどから購入できますよ~。


会場の特設ショップはスペースの都合でこじんまりしていますが、多数の作品のポストカードや、関連書籍などが手に取れました。

ちなみに、トーハクのミュージアムショップといえば本館に大充実の売り場があります。展覧会のチケットでそのままハシゴできますので、ぜひのぞいてみてください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◎まとめ&トーハク内でハシゴのすすめ

展覧会は日時指定の事前予約制です。
ちょっとお手間ではありますが、特設サイトから購入をどうぞ。



これは個人的な意見ですが・・・10/8から、同じトーハク内の平成館で、特別展「桃山」が予定されています。たぶんこちらが始まると、トーハクの敷地内や本館などは少々混雑するかと。

こちらとハシゴするのもとても楽しいと思いますが、ちょっと見どころありすぎてハードかもしれません・・・


お時間の都合がつきそうでしたら「工藝2020」展だけでもお早めに。
そして休憩をはさみつつ、本館や東洋館、法隆寺宝物館へのハシゴを、ぜひ!!!

もちろんわたしはたっぷりハシゴして、丸1日楽しかったのですが、特に、本館2階で展示中の、江戸時代の陶磁器や漆器、蒔絵などが美しい暮らしの調度品の数々や、

画像8


江戸のお着物の展示エリアが本当にステキでした。
しかもこちらは、先日の「きもの」展を思い出すような豪華なお着物の数々に感激&びっくり。

よくよく解説を読んだら、「きもの」展を企画していた研究員の方が手掛けてました。納得!

画像7

画像10

画像9



ちなみちなみにハシゴといえば、今年も開催中の日本伝統工芸展もおすすめです。わたしもさっそく行ってまいりました!

この「工藝2020」展でお見掛けした作家さんの作品もいくつか楽しめますよ。(しかもこちらでは、買うこともできます!!!)
こちらについても、後日noteで書きたいな、と思っています。

記事を読んでいただきありがとうございます。いただいたサポートは書籍購入などに使わせていただきます。何よりそんな広く優しい心をお持ちの方には きっといいことがあるはず✨メッセージも合わせて書いていただけたら必ずお返事いたします✏︎