9歳の友だち関係の悩み
こんにちは!先日、娘が絵を描きながらボソっと漏らしました。
「今日、Karin(仮名)が教えてくれたんやけど…Merry(仮名)がKarinに、"○○(娘)って時々、イライラするやんな?"って言ったらしい。何でそんなこと言うんかな…悲しくなった」
おぉ〜、やってきました人間関係の悩み。少し涙目になりながら絵を描き続ける娘に気づいていないフリをしながら、キッチンから料理をしながら話を聞いてみたのです。
人間関係の悩みは発達の過程
「すべての悩みは対人関係の悩みである」これはアドラーが言った言葉ですが、9歳という年齢を迎えて、ついに社会性の中で本格的に生き始めた娘の存在に「大きくなったな〜」と感じました。
娘に話を聞くと、どうやら自分が仲良くしたいと思っていた(仲が良いとも思っていた)友だちが、自分の知らないところでそんなことを言っているということが結構ショックだったようです。
「私は仲良いと思ってたけど、そんなことないんかな」と心配そう。
「まぁ、まず1つ言えるのは、9歳くらいになるとそうやってあの子と遊びたいとか、あの子は嫌とか、ちょっとした友だちの行動が良くも悪くも気になったり、気が合うとか合わないとか、そういうことを感じ始めるってことやね。それは別に○○(娘)に限ったことではないから、心配しないでも大丈夫やとママは思う」
「へぇ〜そうなんや。ママもそうやった?」
「うん。そんなこといーっぱいあったで。後でパパにも聞いてみ。」
「うん、聞いてみる!」
友人とももめ事やいざこざは、人が人と関わって生きている以上つきものです。大事なのは、それが良いとか悪いとかではなく「そういったことは起こるもんなんだな〜」と知っておくこと。娘は妙に納得していたようでした。
Karinは自分をかばってくれた
「Karinはそうやって教えてくれたんやけど、"私は別にそうは思わないけど"って言ったらしい。それは嬉しかった」
「へぇ〜。そうなんや。自分がどう思うか言ってくれたんやね」
「うん。でもKarinは私がそれを聞いて結構ショック受けたから"あぁ、いらんこと言っちゃった…"って顔してた。私は"気にしてないよ"って言ったけど。でも気になる…」
「なるほど。ところで、Merryがそういうことを言うようなことがあったん?何か思い当たることとか?」
「いや、ない。でも、これまでは一緒に遊んでたけど、休み時間に"Sarah(仮名)と遊びたいから、一緒には遊べへん"とか言われたことがあった。それで、しょんぼりして座ってたらSally(仮名)が"大丈夫?"って聞いてきてくれて励ましてくれたことがあった」
「そうなんや。でも原因はわからんのやね。けど、そうやって"大丈夫?"って聞いてくれる友だちがいて嬉しいね」
「うん。何か最近そうやってあっちのグループとか、こっちのグループとか、このメンバーとか、あのメンバーとか…Merryがそういうことをよく言ってる。ちょっとメンバーが変わったりもするし、そうじゃないこともあるし…私はそういうの好きじゃないなって思う」
「そうか〜。○○(娘)はそういうのは好きじゃないんやね」
「うん。まぁでもこの人と遊びたいって時に途中から入って来られてどうしたら良いかわからんことは私もあるから、その時はたまたまそうやったんかなとか思うけど…でも、私はMerryと遊びたい。楽しいねん。ママ、どう思う?」
と娘は続けます。
直接聞いてみるのはどうなん?
「まぁ例えばやけど、仮にKarinが言ってくれたことって本当なんかもわからんよね。Karinはとっても良い子やし嘘をついたりしないやろうなとは思うし、よかれと思って言ってくれたんやろうけど。ママなら…ママやったらやで?直接、Merryに聞きにいくかな?そんなこと本当に言ったん?って。それで、それは何でなん?って聞くかな〜。自分に悪いところがあるんやったら、Merryの意見を聞かなあかんこともあるかもしれんしなぁ」
「えぇ…それはちょっと勇気がいるな(苦笑)。でも、私も知りたいねんな。私はみんなに好かれたい。もし自分に悪いところがあるなら直したいけど、そうやって聞いたらちょっとびっくりされそう。笑」
「まぁね〜。その気持ちもわかるよ。でもさ、人のことをその人がいないところで悪く言うのってちょっとねぇ。それやったら自分に直接言ってよって思わへん?だって、わからんと直せへんやん。ほんまに傷つけるようなことをやっちゃってたかもしれんし。もちろん言い方は大切やけど、○○(娘)も学校でPSP(オランダの市民教育)の中でそうやって習うやろ?」
「うん、それはそう」
「誰かのことを好きとか嫌いとかは別に悪い気持ちではないよ。でも、それはその本人に伝えたら良いことで、別の人を巻き込んでわざわざ知らせる必要がないこともあると思う。別の人から聞いたらドキっとするやん?」
「うん、すごくドキドキした」
「あと、みんなに好かれたいっていう気持ちはすっごく素敵やけど、○○(娘)が無理してまで誰かに好きって思ってもらう必要もないとママは思うよ。誰かが"こうして欲しい"と思うことが自分にとってしんどいことやったら、無理して好かれようとしなくて良いと思う。○○(娘)のあんまり好きじゃないところもあるけど、好きなところもあるし、やっぱり友だち!って思ってくれる人が素敵な友だちなんじゃないかな。自分がこうして欲しいから…って誰かのことをコントロールしようとする人は、○○(娘)のことを本当に大切に思ってくれているとは言えへんのちゃうかなってママは思うな。わかる?」
「うん、わかるよ。でも、聞いてみようかな。私が知らんうちに何か悪いことしたんかもしれんし…。でもKarinが言ってたのは、Merryは私が色々細かいところが嫌なんやって。でも私は自分が大切にしてる文房具とかはあんまり雑に使われたくないねん。すぐに"やめて"って言うところがあるんかな…」
おぉ〜。話をしているうちに彼女の中で色々つながってきているんだな〜。と思いました。
「でも、本当に嫌やったら嫌って言ったら良いんちゃう?笑 例えば、して欲しくないことがあれば"△△するのはやめて欲しいんやけど、それでも良かったら使って?"とか。ちゃんとわかるように伝えたら相手もどうやって使ったら良いかわかるかも?」
「それがそういう時にちゃんと言えなあかんやんな〜。言うの忘れちゃうねんな〜」
「まぁ、そういうこともあるやろうね。そんなすぐに何でも出来ひんくても大丈夫よ。笑」
そして、キッチンへやってきた娘を抱きしめたのでした。
リベンジはしない
「あと1つママが思うのは、リベンジはしないってことかな」
「リベンジって何?」
「仕返しのこと。"Merryにこんなことされて嫌やったから、思い知らせてやる!"って○○(娘)が同じことをMerryにすることね。それはママは好きじゃないなって思う。それやったら、仕返ししなくて良いから、本人に聞いた方が良いかもね。仕返しし合って良いことなんてたぶんないから。」
「それはするつもりはないよ!そんなこと私はしない」
「そうですか。笑」
「やられたらやり返す」というのは、私は嫌いな方法で、どんな関係であれ仕返しをして「お互いよかったね!」なんてことはほとんどないと思っています。
この時は「こうしなさい」よりは「ママはこう思う」というのを伝えました。
「話したい」と思えるタイミングがある
前述しましたが、こういった悩みは発達の過程の1つです。私も経験したことはあるし、そういった光景を友人同士の中に見たことがある人もいるでしょう。
また、子どもを含め、「人の悩み」というのは時間を設定されたら打ち明けられるものでもありません。「話したい」と思ったタイミングが整ったら、自然と出てくるものだと思います。
そういった意味で、娘は向かい合って話すことよりも、私が料理をしながら聞いてくれる時間を「話すなら今!」と思ったのかもしれません。「目を合わせて話すよりも何かをしながら聞いてほしい」そんな欲求があったのかもしれません。
こういった「話ができた」とか「聞いてくれた」という経験はいつか、異性との悩みや、性の悩み、人間関係の悩みを打ち明けるための礎になるかもしれません。娘の悩みを聞く時は出来るだけジャッジをしないようにしています。もちろん親として「私はこう思う」というのは伝えますが、基本的に本人は「聞いて欲しい」と思っているだけなので、自分の意見を聞かれるまではできるだけ「あなたはどう思っているの?」とか「あなたはどう感じたの?」ということを聞いてみるようにしています。
そういった意味で、学校でも家庭でも「自分が話したいと思うえるように話を聞いてくれる人」の存在はとても大切なのではないかと思うのです。
「何か謝ってきた」
そしてその翌日、娘が学校から出てきて、
「今日の学校はどうやった?」
といつもの通り聞いてみると、
「何か、Merryが急に謝ってきた。なんでかわらかんけど、それから一緒に遊んだ」
とのこと。
「そうなんや。理由とか?何がごめんとかあったん?」
「なかった」
「で、それでどう思ったん?」
「うん、それで良いかなって。何かごめんって言いたかったけど、何てごめんって言ったらいいかわからん感じやったから"いいよ"って言った」
「そうなんや。ちょっとスッキリ?」
「うん、そうやね!」
とのことでした。笑
こうやって、子どもたちは人間関係の中で成長していく。保護者はそれを聞いて、緊急性(傷つけられたとか、酷い言葉を一方的に浴びせられたとか)でなければ、一喜一憂する必要もないのかなと思います。
「小学校はコミュニケーションを学ぶところ」
以前、オランダで育った友人がそう言っていたことを思い出しました。やってきた年齢相応の悩みを「成長」として捉え、子どもの声に耳を傾けていきたいと思います。
私たちの活動内容に賛同いただける方々からのサポートをお待ちしています。ご協力いただいたサポートは、インタビューさせていただいた方々へのお礼や、交通費等として使わせていただきます。よろしくお願いいたします!