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おもしろい記事はいらない!? デジタルマーケティングにおける編集者の在り方

「おもしろい記事は、ぶっちゃけいらないんですよね」

とあるお客さんから、今の会社で働くようになって間もなく言われたこと。そこそこ長く編集者という立場でさまざまな記事を作ってきましたが、こんなことは初めてでした。まさに青天の霹靂。

編集者とはおもしろい記事(読者の興味を惹く記事)を作ってナンボだと思い込んでいた私は、絶句とはこれいかに、みたいなリアクションをしてしまったのですが、記事を作る目的がSEOであったことを考えれば、極論とはいえ、おっしゃっていたことに納得はいきますよね。

そんな出来事の際に起こった私の意識改革について、デジタルマーケティングにおける編集者の在り方について書いてみます。

SEO記事ってなによ?

私は、いわゆるクライアントワークをしたこともありましたが、キャリアのほとんどは雑誌やWebメディアを運営していました。よって、「いかに多くの読者の目を惹く記事を作ることができるか」というのが、編集者としての至上命題。
いかに他にないアプローチの企画ができるか、どれだけ濃い情報を提供できるか、ということを第一に考えていました。

以前、私が所属していたWebメディアは、ありがたいことにSNSのフォロワーがそこそこいるメディアだったこともあり、まずはSNSで拡散してもらうことが重要で、(少なくとも私の在職中は)SEO対策なるものをまともに考えたことがなかったんですよね…。

そんな編集者が、SEOに強いデジタルマーケティングを扱う会社に入ると、さまざまなカルチャーショックに見舞われるわけです。なぜなら、「SEO記事」なんて作ったことないんですから(よく入社できましたね)。

今でこそすっかり慣れましたが、「狙っているキーワードの検索結果上位に位置している記事の内容を踏まえて構成案を練る」という作り方も独特で、最初は要領を得なくて苦労しました…。
同じ企画立案でも、それまでとは違う脳の領域を使っているようなイメージですね。

「おもしろい記事はいらない」の真意

SEOの目的は、検索を通じてビジネスを成長させること(SEO HACKSより)。つまり、われわれ編集者は、いかに検索上位に制作する記事を表示させるかを考えなければなりません。

つまり、検索者のニーズに合致していればいいので、かなり雑に言ってしまうと、必要な情報が理路整然と掲載されてさえいれば、ひとまずテキストを制作するという意味においてはいいのです。
それが「おもしろい記事はいらない」という言葉になったわけですね。

しかし、編集者の性といいますか、癖といいますか、つい「他のメディアとアプローチを変えてみたら…」とか、「この見せ方のほうが良くない?」とか、ああだこうだやりたくなってしまう。
ただそうすると、場合によっては必要以上に制作費用がかかってしまったり、そもそも求められていることから外れていってしまったりもする。
すると、限られた予算の中でなるべくたくさん記事をアップして成果をあげたいと思っているお客さんの逆鱗にふれてしまう…という流れ。

※SEOの成果を出すための作り方もさまざまなので、いろいろ一概にはいえません。言い方が難しいのですが…と一応エクスキューズもしておきます。

私の「あるある」ともいえる「良かれと思って…」が、「余計なこと」になった瞬間です。でも、当然すぎるほど当然。お客さんは単にメディアをおもしろくしてほしいわけではなく、それを使って利益につなげたいのですから。

でも、「おもしろい記事はいらない」とはっきり言ってもらった瞬間に、ハッ!と私の脳が覚醒した感じがありました。
「提案が受け入れられなくて哀しい」「なんでわかってくれないの?」といった独りよがりな感情ではなく、今の自分の立ち位置――デジタルマーケティングにおけるコンテンツディレクター/編集者――としての意識レボリューションが起きたのです。

「これがおもしろいでしょう!」とエゴイスティックに考えるのではなく、「クライアントの事業に貢献するコンテンツを作る」「コンテンツはあくまでもマーケティング施策の駒の一つである」ということをしっかり認識して臨むこと。それが私の最重要任務だということに、遅ればせながら気づいたのです。クライアントワークに慣れていない編集者は、わりとある話ではあると思うのですが…私だけでしょうか…。

常に意識するべきなのは「読者」

そういったマインドセットで制作に臨むようになってからは、業務をよりスムーズに進められるようになった気がします。

ただ、編集者として絶対に忘れてはいけないこと。それは、たとえSEOを目的とした記事を作るにしても、意識するのは検索エンジンだけでなく、その向こう側にいる読者にとって価値のあるものにすることです。

世の中には、もっともらしい感じで書かれた記事でも、検索エンジンのために作っているんじゃないかと思うような記事がたくさんあるように感じます。確かに、検索エンジンのことを第一に考えていれば、順位はつくかもしれません。でも、本当の意味で読む人のためにならなければ何の価値もないと言い切りたい。

最近ではGoogleのアルゴリズムもどんどん賢くなって、より読者フレンドリーな記事に注力できるようになっていますが、そのときのGoogleさんのご機嫌をうかがっているだけでは、読者のニーズを満たす記事を作ることはできないなーという葛藤はつきまといます(そこでコンサルとの軋轢が生まれたりも…)。

ただ、そのあたりをうまくバランスとりながら作っていくのが、プロフェッショナルの仕事というのでしょう。
自分が作った記事にたどり着いた人に、どんな顔をして読んでもらいたいのか、欲しい情報をちゃんと盛り込めているか――そこをただの思い込みではなく追求し、より良いアプローチの記事を作ることが、コンテンツマーケティングの文脈だけでなく、SEOにおいても、コンテンツ編集者が考えなければならないことなのです。

最後になんか熱くなってしまいましたが、今回はそんな感じです。これからも、マイペースに編集者のお仕事にまつわることを書いていこうかと思っています!

さらに、Twitterも同時に始めました。noteも更新していく予定ですが、こちらも併せてよろしくおねがいします。

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