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「焼鳥今井」今井充史さん、4月18日の答。

―再開。もう1週間様子を見る―

下町の千駄木で10年、2016年に外苑前へ移転。10席のカウンターは3倍の大きさになって、たったひとりで焼いていた「焼鳥今井」今井充史さんは7人のスタッフを抱える親方になった。2018年には隣に「とんかつ七井戸」も開店。しかし4月、彼は「焼鳥今井」を10日間閉めた。14日から再開したものの、5日が経ってなお増え続ける感染者数と国の方針に揺れ動き、変わりゆく、その通過点での答とは。

スタッフ一人ひとりに合わせた言葉で

4月4日土曜から13日月曜まで、いったん店を閉めました。
「このままでいいのかな?」と考えたからです。というのも、「焼鳥今井」は前週まですごく忙しかった。キャンセルが出ても、当日に予約が入って結局ちゃんと埋まるんですけど……ただ「『焼鳥今井』を楽しみにして来ました」という普段のお客さんの感じとは、なぜか、どこか雰囲気が違うんですよね。

違和感があるからなのかコミュニケーションも取りづらくて、満席なのにお店の活気がない
スタッフも元気がなくなってきて、「売上はあるけど、この状態で営業を続けて、お店のためになるのかな?」と。
この時点では感染の危機感よりむしろ、そっちのほうが心配でした。

それで今後のことをじっくり考え、準備をするために10日間。(隣で営む2店舗目の)「とんかつ七井戸」のほうは開けてもよかったんですけど、走りながら考えても中途半端になるので、思い切って足を止めてみようと。

最初の2日間は世のなかの動向を見ていました。
4月頭は、休業を決めるお店が急に増えた時期です。「今、営業していると世間の目が冷たい」とも聞こえてきましたけど、僕はあまり気になりませんでした。

それから7名のスタッフ一人ひとりに、「どう考えてる?」と投げかけてみた。話し合いでなく、LINEです。全員を集めると、どうしても誰かの強い発言に同調してしまう人が出てくるんです。自分の意見を言える人と言えない人がいる。
でも、1対1で訊けば、みんな何かしら意見を持ってるんですよね。性格は全員違うので、個別に、その人に合わせた言葉で訊いたほうがいいなと。

「正直不安だけど、働かざるを得ない」「気にしない」「遠距離の仲間をカバーして、自分が長時間働いてもいい」とかいろいろ出てきましたね。
安倍総理の緊急事態宣言が4月7日ですから、直前の4、5、6日あたりはみんな落ち着かない精神状態で、「早くロックダウンしてほしい」ってジリジリしながら、というところでした。

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