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弁護士が解説するAIイラストの法律問題-著作権で保護される/保護されないAIイラスト



MidjourneyやStable Diffusion、NovelAI、mimicなどのAI(人工知能)を使って画像を生成することのできるサービスやアプリが話題になっています。



このようにAIを使って作成するイラストや画像に対しては、ネット上などで「人間ではなく機械が作ったものだから著作物とは呼べず、著作権は発生しない」と説明する記事がたくさん出されています。

確かにこの結論は一般論としては正しいのですが、法的に厳密に考えると必ずしもそうとも言い切れないケースがあることも事実です。

そこで本記事では著作権など知的財産(知財)を扱う弁護士の立場から、AIによって生成されるイラスト(=AIイラスト)について、著作権が認められるケースと認められないケースを詳しく解説します。

なお、本記事に書かれている内容についてはより詳しく解説した電子書籍も出していますのでご興味のある方はぜひご一読ください。

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本記事の執筆者について


この記事を書いているのは知財と中小企業の法律問題を主に取り扱う弁護士です。中小企業庁の所管する公的な経営相談所である「よろず支援拠点」のほか、知財の専門相談窓口である「知財総合支援窓口」にも在籍・登録して多数の相談対応を行っています。

執筆者:谷 直樹(弁護士・長崎県弁護士会所属)
■ 長崎国際法律事務所代表
■ 弁護士(長崎県弁護士会所属)
■ 認定知的財産アナリスト(特許)



AIイラストが生成される仕組みについて


AIイラストに著作権が発生するかどうかを考える前提として、まず、AIがどのようにイラストや画像を作り出しているのか、その仕組みをおさえておきましょう。

私はAI分野の専門家ではないため技術的な説明は省略しますが、Midjourneyなどの画像生成の仕組みは大雑把に言うと、次の通りです。


① インターネット上などに無数に存在するイラストや写真などをもとにAIに機械学習を行わせる。

② AIに対してScript(「呪文」などとも呼ばれる)という指示文を与える。

③ AIが機械学習の成果に基づき、与えられた指示文に沿った画像を出力・生成する。



画像生成のポイントは2つあります。

1つは、「AIが生成する画像はすでにネット上に存在している画像を機械学習した成果により出力されるが、既存の画像そのものをコピーするものではなく、基本的に別個の新しい画像が生成される」ということ。

そして2つ目は、「AIは人間の与える指示文に沿った画像を出力するが、画像の生成自体に人間は関与しておらずAIが自動的に行う」ということ。

では、このような仕組みで作られるAIイラストに著作権が発生すると言えるのでしょうか。

著作権が発生するための2つの要件


著作権とは、「著作物を独占的に使用することのできる権利」です。そのため、著作権が発生するためにはその対象が著作物である必要があります。

何が著作物なのかについては著作権法という法律で決められています。具体的に言うと、次の条文です。

著作権法第2条
1 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
① 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
(以下略)

著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)より抜粋


つまり、著作物=「思想又は感情を創作的に表現したもの」ということです。

なお、「文芸、学術、美術、音楽の範囲に属するもの」ということも書かれていますが、これは著作物の例示と考えられており、あまり意味を持っていません。たとえば、プログラムのソースコードやデータベースなどは厳密にはこの4つに含まれなさそうですが著作物として認められています。

では、「思想又は感情を創作的に表現したもの」とはどういうものなのかですが、これについては私はよく次のように説明しています。

「思想又は感情を創作的に表現したもの」=「作者の個性があらわれている表現」

つまり、著作物とは「作者の個性があらわれている表現」のことです。この意味について以下で簡単に解説しておきましょう。

著作物の要件① 作者の個性があらわれていること


著作物であると認められるためにはそれが個性的なものでなければなりません。

「個性的」というのは「誰が描いても(書いても)同じになるものではない」という意味です。

たとえば、「高い山の絵」という同じテーマでAさんとBさんが絵を描いたとしてもそれぞれ出来上がる絵は違うはずです。この場合、Aさんが描いた山の絵とBさんが描いた山の絵はどちらも作者の個性があらわれていますから著作物の要件を満たします。

たまに、「著作物とは芸術作品と呼べるくらいのクオリティやオリジナリティがあるものでなければならない」と考える人もいますが、これは正しい理解ではありません。すごく下手くそな絵だったり、凡庸な絵だったとしてもその人が自分なりに描いたのであれば著作物となります。たとえば私が3分で描いたこのラクガキのような絵でも立派に著作権が認められます


このようなラクガキであっても著作物となる


このように、著作物が認められるためのハードルはかなり低いことがわかります。

逆に、著作物として認められないものにどういうものがあるのかというと、それは「誰が描いても(書いても)同じになる定型表現」です。

私がよく例にあげるのはビジネスレターの冒頭に書く時候の挨拶です。「時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます云々」というあの文章はどれだけ完成度が高くても、いくつかのパターンが決まっていますから、手紙を書く人ごとの個性が発揮されているとは言えず、著作物とはなりません。

著作物の要件② 「表現」であること


では、個性的でありさえすれば何でも著作物になるのかというと、そうではありません。

著作権はあくまでも人間の表現活動を保護するための権利ですから、著作物と認められるためにはそれが「表現」である必要があります。たとえば、絵画、イラスト、詩や小説などの文章、音楽などは全て表現ですから著作物となります。

「表現」と認められないものとしては理論、思想、アイディアなどがあります。たとえば、キリスト教の教義やアインシュタインの特殊相対性理論は表現ではなく思想や理論ですから著作物とはなりません。

もちろん、キリスト教の教えが記された聖書は抽象的な教義ではなく文章で書かれた表現物ですから著作物として保護されます(ただ、聖書自体の著作権自体ははるか昔に切れています)。アインシュタインの書いた相対性理論の論文ももちろん著作物です。

AIイラストが「著作物ではない」と言われるのはなぜか


ここまで、「作者の個性があらわれており、かつ表現と呼べるものであれば著作物となる」ということを説明してきました。

では、この著作物の要件に照らしてAIイラストは著作物と呼べるのでしょうか。

まず、AIが生成する画像は人が目で見て鑑賞可能な絵画やイラストと全く同じですから「表現」であることは確かです。

また、MidjourneyやStable DiffusionなどのAIが作り出す画像を見たことがある人はわかると思いますが、どれも人間が描くイラストと同じか、場合によってはそれ以上に個性的な表現です。少なくとも定型的でありふれた表現とは呼べず、「個性的」という要件も満たすように思われます。

しかし、少なくともAIが生成した画像そのものは著作物とは言えないというのが著作権法の知識に照らした正しい理解です。なぜかというと、画像の生成自体を行っているのが人間ではなく機械(AI)だからです。

前述したように、著作権というのは人間の表現活動・創作活動を保護するための権利です。そのため、人間以外が作り出したものに対しては著作権の保護を与える必要はないということになります。

具体例を挙げると、「自然の景観」がまさにそれです。たとえば、悠久の時間の流れにより作り出された鍾乳洞などを思い浮かべてみましょう。

それ自体、とても神秘的・幻想的で美しいものかもしれませんが、だからといってそれを作り出した「自然」に対して権利の保護を与えても意味がありません。権利を与えられたからといって「自然」が一層がんばって美しい景観を作り出すために努力するかというとそんなことはありえないからです。

このように、「人間以外が作り出したものに対しては著作権は与えない」というのが著作権法の大原則になります。先程挙げた著作物の2つの要件に引きつけて説明すると、要件①の「作者の個性があらわれた」の「作者」とは人間でなければならないと理解することもできるでしょう。

したがって、画像の生成に人力が関与しないAIイラストには著作権が認められないというのが原則的な結論となります。

AI関連技術の発展のためにはAIイラストに著作権を認めるべきという議論は妥当か


ここまでお読みになって、このように考えた人もいるかもしれません。

「著作権が人間の創作活動を保護するための権利だということはわかった。しかし、画像を生成するMidjourneyのようなAIプログラムは多大な人間の努力の成果だ。AIが生成する画像に著作権を与えなければそのようなAIを開発した人間の創作活動に報いることができないのではないか」

しかし、結論から言うと、AIの開発に人の手が加わっているということはそのAIが生成する画像に対して著作権の保護を与えることの正当化根拠とはなりません。

なぜかというと、AI技術の開発行為を奨励するためにはそのAIのプログラムに対して著作権や特許権による保護を与えれば十分だからです。それを超えて、開発されたAIを使用して作られる画像にまで著作権を与えるのは行き過ぎです。

たとえば、従来品と比較してはるかに描きやすい絵筆を開発した人がいるとしましょう。その絵筆を使うことで従来品ではありえないほど精緻な絵画を描くことができるようになったとします。しかしだからといって、その絵筆の開発者に対して、その絵筆を使って描いた絵画の著作権を与えるべきということにはならないでしょう。開発者に対しては絵筆自体について特許権などを与えれば十分だからです。

この例の絵筆をAIに置き換えたのがAIイラストの問題です。つまり、テクノロジーの開発者に対してはそのテクノロジー自体について権利保護を与えればよく、そのテクノロジーを使って作り出されたものについて権利を与える必要はないということがわかります。

著作物として認められるAIイラストにはどんなものがあるか


ここまでで述べた通り、AIが生成する画像(AIイラスト)は人間の手が加わっていないことから著作物とならないのが原則です。著作物ではないということは著作権が発生しないため、他人が無断使用しても誰も何も主張できないということになります。

しかし、AIが生成した画像であっても著作権が認められるケースはありえます。それはAIが作った画像に対して人間が手を加えて作品を完成させた場合です。

具体的には、次のような形で人間が関与することで最終的にできあがった作品は関与した人間の著作物として認められる余地があります。


  1. AIが生成した画像に対して人間が編集や加工を加えて作品を完成させるケース

  2. AIが生成した画像を素材として使用し、人間がそれに加筆等を行って作品を完成させるケース

  3. AIが生成した複数の画像を人間が組み合わせて作品を完成させるケース

  4. AIが生成した複数の画像から人間が特定のものを選定して画集等を制作するケース




以下ではそれぞれの具体例について詳しく解説します。


著作物として認められるケース① 人間が編集・加工を行って完成させる


1つ目のケースは、AIが生成した画像に対して人間が編集や加工といった手を加えて作品を完成させるケースです。この場合、最終的に完成した作品には人間の手が加わっていますから著作物として認められる余地があります。

ただ、編集・加工などを行いさえすれば必ず著作物として認められるというわけではない点に注意が必要です。前述した通り、著作権とは人間の創作活動に対して保護を与える権利ですから、編集や加工が創作的なものと呼べるレベルに達していることが必要になります。

たとえば、AIが生成した画像に対して、IllustratorやPhotoshopなどの画像編集ソフトを使って元の画像にある描線を何か所も細かく修正したり、画像内の物や人物の位置を独自の美的観点から変更・修正するなど、実質的に見て元の画像とは別の作品と呼べる程度の編集・加工を加えた場合には著作物として認められる可能性があるでしょう。

これに対して、画像のサイズ変更、トリミング、色調の補正を行った程度では創作的な編集・加工とは呼べず、著作権は発生しないと考えられます。

元画像の描線を削除したり、描線を描き足したりしたケースであっても、たとえば元画像のデッサン上の狂いを訂正しただけであるとか、ノイズを削除したりしただけである場合など、誰が行ってもそれほど違いが生じないと思われるような編集・加工であればやはり著作物とは認められない可能性が高いと言えます。

著作物として認められるケース② AIイラストを素材として利用する


AIが生成した画像に加工・編集を加えるケースと似ていますが、AIイラストを一種の素材として用いて作品を完成させた場合も著作物として認められる可能性があります。

具体的には、AIが生成した街並みなどの画像を背景素材として使用し、そこに人間のイラストレーターがキャラクターのイラストを描き込むなどして作品を完成させるケースなどが考えられます。あるいは逆に、人間が描いた背景画像にAIで生成したキャラクターを載せるケースもありえます。

この場合、最終的に完成した作品には人間の手が加わっていますから著作物として認められる可能性がありますが、注意点もあります。それは、「AIが生成した画像を使用した部分と人間が描いた部分を切り分けることができる場合、AIが生成した画像の部分だけをコピーしたとしても著作権侵害にはならない」という点です。

たとえば、AIが生成した街並みの背景をそのまま使用し、そこに人間が描いたキャラクターを載せただけの作品である場合、その画像全体を誰かが無断でコピーすれば著作権侵害となりますが、背景として使用されているAIの画像のみをコピーしたとしても著作権侵害にはならないということです(下図参照)。

AIと組み合わせて完成した作品が著作物として認められることはありうる。
しかし、AI生成画像の部分だけをコピーしても著作権侵害にはならない。



すなわち、あくまでも人間が創作的に作り出した表現にのみ著作権が与えられる以上、人間が関与せずに作られた画像部分だけを使用する行為は著作権侵害にあたらないということです。これは「人間が描いた部分に著作権が発生したとしても、それと単に組み合わせただけでAI画像に著作権が与えられることにはならない」と言い換えることもできます。

そのため、AIが生成した画像部分についてもコピーされたくないという場合にはケース①のようにAI生成画像自体に創作的と言えるレベルの加工を加える必要があるでしょう。

著作物として認められるケース③ 複数のAIイラストを組み合わせる


AIイラストに対して人間が加工・編集・加筆を加える以外にも著作物として成立する可能性がある作品形式として「コラージュ」があります。

コラージュとは、既存の絵やイラストなどを切り貼りして制作する絵画技法のことです。この場合、切り貼りされる素材自体は著作物であってもよく、著作物でなくても構いません。完成した作品自体に作者の個性が発揮されていれば作品全体として一個の著作物と認められます。

このコラージュの素材としてAIが生成した画像を使用した場合、完成した作品は著作物として認められます。たとえば、AIにより画像を複数枚生成した上で、各画像からモチーフを切り取って貼り合わせるなどして制作するケースです。

もっとも、コラージュとして著作物性が認められるためには素材の切り貼りの仕方に創作性が認められる必要があるでしょう。使用するモチーフ自体はAIの生成する画像ですから、それがどれだけ個性的で奇抜なものだったとしても、切り貼りの仕方や作品全体の構図などに個性が発揮されていると言えなければ著作物性は認められないと考えられます。

たとえば、AIが生成した画像を全て四角く切り取るなどして機械的に貼り合わせただけの作品などは、著作物として認めるのは困難だと考えられます。そのような切り貼りの方法は誰でも考え付くありふれたものだからです。

また、コラージュの場合も、ケース②と同様、著作権侵害が成立する範囲について制約がある点も注意が必要です。コラージュの著作物性はあくまでも素材となった画像の組合せや切り貼りの方法に創作性が認められるものですから、そうしたコラージュ作品の全体がコピーされないと著作権侵害となりません。もしくは、部分的な作品のコピーについて著作権侵害が成立するのはその作品の全体的特徴がわかる広い範囲についてコピーがなされた場合だけです。

つまりどういうことかと言うと、AI画像を素材として使ったコラージュ作品の場合、素材として使用されたAI画像自体をコピーされたとしても著作権侵害にはならないということです。

これは考えてみれば当然のことです。元々著作権が発生していなかった画像を組み合わせて作品を作ると、素材として使われた画像単独でコピーされても著作権侵害が成立するようになる(つまりコラージュ作品を作ることで本来著作権が発生しないはずの素材にまで著作権が生まれてしまう)というのはおかしな話だからです。

以上より、AI画像のコラージュ作品については、次のように言うことができるでしょう。

  • 素材としての画像の組合せ方等に個性が発揮されていれば作品全体として著作物として認められる可能性はある。

  • しかし、その場合であっても素材として使用されたAI画像自体をコピーする行為は著作権侵害とならない。


著作物として認められるケース④ 複数のAIイラストを選別して画集を制作する


ケース④はケース③と少し似ています。これも複数のAIイラストを組み合わせることで著作権が発生するケースです。しかし、ケース④はコラージュのように一個の作品を作るのではなく、複数のAIイラストをまとめて画集やイラスト集を制作するケースです。

著作権法には複数の素材を選定・配列して作る「編集著作物」という類型があります。念のため条文を載せておきましょう。


著作権法第12条
1 編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。
(以下略)

著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)より抜粋


つまり、複数ある素材の選び方(=選択)や並べ方(配列)に個性が発揮されているものは著作物として保護されるということです。

編集著作物の具体例は作家の文集や詩集などです。たとえば、明示・大正期に活躍した文人・詩人の中から編者が独自の観点で10名を選出し、その各10名の作家の作品から1作ずつを選んだ上でまとめた文集があるとすると、この文集には「素材」である作品の選択に編者の個性が発揮されていますから編集著作物と認められます。

編集著作物として著作権が発生すると、その文集なり詩集なりをコピーすると編者の著作権を侵害することになります。この場合、もちろん文集や詩集の中身の作品の著作権侵害も成立する可能性がありますが、それとは別に編者も著作権侵害を主張できるということです。

上の例では編集著作物を構成する「素材」は他人の著作物でしたが、著作物以外の素材だったとしても編集著作物は成立します。たとえば、アジアの伝統的な織物の図柄パターンを100個選定して作ったデザイン集などであれば、掲載されているパターン自体は著作物とは言えない(あるいは大昔に著作権が切れている)可能性がありますが、だからといって編集著作物であることが否定されることにはなりません。

このように著作物以外の物を素材とする場合であっても編集著作物は成立しますから、この素材がAIの生成した画像であってもやはり編集著作物として認められる余地があります。

具体例を挙げると、AIが生成した数百枚の画像から「猫の王国」というテーマで20枚のイラストを選定して画集を作ったとすると、これは素材の選択の仕方に個性が発揮されていますから編集著作物として著作権が発生すると見てよいでしょう。

ただ、ここまでお読みになればおわかりになるかもしれませんが、編集著作物として保護されるのはその素材の選択や配列の仕方のみです。編集著作物の中で使用されている素材自体には権利は及びません。これは、上記の「猫の王国」の画集を例にとると、次のように説明することができます。

  • 「猫の王国」の画集全体をコピーした場合、編者の著作権を侵害することになる。

  • しかし、「猫の王国」の画集に含まれているイラストを単独で抜き取ってコピーしたとしても著作権侵害にはならない。


これもケース③と同様ですが、元々著作権が発生していない素材だったのに、それが単に編集された結果単独で著作権の保護が与えられるようになるというのは不自然だからです。

したがって、AIが生成した画像を単独で独占使用したいと希望するのであれば、ケース①のように創作的なレベルでの加工・編集を行って作品を完成させる必要があるということになるでしょう。

本記事のまとめ


以上、この記事では近時話題になっているMidjourney、Stable Diffusion、NovelAIなどの人工知能を使った画像の生成技術について、著作権法の観点から検討を行いました。

こうしたAIによって作り出される画像については著作権が発生しないのが原則ですが、例外的に人間の創作的な関与が加わる場合には著作権の保護を受けられる場合があります。

最後に本記事の内容を簡潔に箇条書きでまとめておきましょう。

  • AIが生成する画像をそのまま使用する限り、それは人間が作ったものとは評価されないから著作権は発生しない。

  • AI画像に対して単なるトリミングや色調補正などではなく創作性を有するレベルでの編集や加工を加えて完成させた作品は著作物と認められる余地がある。

  • AI画像を素材として使用して制作される作品も著作物と認められる可能性があるが、その場合、他人がAI生成画像の部分だけをコピーしたとしても著作権侵害とはならない。

  • 複数のAI画像を独自の観点から選定・配列して作る画集やイラスト集は編集著作物として保護される余地があるが、その場合も画集等に掲載されるAI画像単独のコピーでは著作権侵害とはならない。


本記事にて解説したAIイラストと著作権その他の法律問題については書籍「弁護士が教えるAIイラストの法律の教科書」でより詳しく解説を行っています。kindle unlimitedの読み放題でも読むことができますので、興味のある方はぜひお手に取ってみてください。



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